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2021年1月10日 (日)

ポスト『深夜特急』

 昔,小田実という人がいた.世界を旅した体験記『何でも見てやろう』(昭和三十六年) で有名になったが,当時の海外旅行事情のためか,小田流の放浪旅に追随する青年はあまりいなかった.
 私と同世代である沢木耕太郎の『深夜特急』は,小田の旅行記よりも遥かに大きな影響を青年に与えた.私の書架にはスペースがないので,初版本を売り払ったあと,文庫を買い直して今も並べてある.そういう高齢者は多かろうと思う.
 沢木が実際にユーラシアを旅した時期と『深夜特急』刊行の時期は異なっているのだが,Wikipedia【深夜特急】に次のような解説がある.
 
刊行後は、バックパッカーの間でいわばバイブル的に扱われるようになり、80年代と90年代における日本における個人旅行流行の一翼を担った。その後、台湾で中国語版、韓国で韓国語版の翻訳が出版された。あくまで個人の旅行体験記なので、旅行ガイドとしての使用には不向きだが、1970年代前半当時の交通事情、宿泊事情などを知ることもできる。さらには、途上国の貧困さの一端も巧まずして表されている。
 
『深夜特急』は旅をする青年にとって,今もバイブルである.
 ところで,最近のネット上で評判の高い五箇野人のコミック『つかれたときに読む海外旅日記』を遅ればせながら買ってみた.
 読後,才能のあるコミック作者を見つけたと思った.笑いのセンスが,いしいひさいち や カマタミワ に似ている.
 この作者がどのような暮らしぶりの人か全くわからないが,ポスト『深夜特急』の世代といっていいかも知れない.
 

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