飲食店における感染対策の実態
テレビのニュースをみていたら,旭川の飲み屋の様子が画面に映された.
その飲み屋には「こあがり」(テーブル席とは別の,奥行のない畳敷きの客席) があった.そこは座卓の下が掘り炬燵式になっていて,客は脚を正座しなくても済む.
で,店長らしい店の人は「うちはちゃんと感染対策をやっています」と言いながら,座卓の上に並べたアクリル板のパーティションを指さして胸を張った.
そのパーティションは高さが30センチくらいで,席に着いた客の首あたりまでしかなかった.
つまり客が対面して座ると,顔と顔とのあいだに全く遮るものがないのであった.
相手の顔に飛沫を飛ばし放題の,まことに立派な感染対策である.
また別の店.
テーブルの消毒は入念にやっていると言い,実際にやってみせた.
店員は,消毒用アルコールのボトルを右手に持ち,シュッシュッと噴霧すると,間髪を入れずに左手のタオルで拭き取ってしまった.
ウイルスではない細菌での実験結果 (原理的に,新型コロナウイルス等のエンベロープ型ウイルスでも同じ) だが,塗装されたテーブルの光沢面にアルコールを噴霧し,天眼鏡で拡大して観察すると,点状に液滴が付着していることがわかる.そしてこの状態では消毒効果が全くない.
そこで,吹き付けたアルコールを吸収しないように,あらかじめアルコールでビショビショに濡らした不織布の布巾を用いて,アルコールをテーブルの全面に塗り拡げる.そして細菌や,アルコールで失活するタイプのウイルスは,アルコールで瞬間的に消毒されるわけではなく,十秒とか二十秒とかの時間を要するので,ひと呼吸おく.
こうすると初めて消毒作業の効果があらわれる.
アルコールを噴霧してすぐに拭き取ったのでは,何もしていないのに等しいのである.
この誤ったアルコール消毒作業方法が,全国の飲食店で行われている.正しい方法を宣伝啓蒙しないのは,厚労省の怠慢である.
家庭でも,食卓やドアの取っ手などをアルコール消毒している人は多いだろう.
その際,アルコールを噴霧してすぐに拭き取ってはいけない.アルコールを含侵させた濡れティッシユが市販されているから,それを用いて,アルコールを噴霧した食卓の上乃至は取っ手を充分にアルコールで濡れた状態にし,それからゆっくりとタオルで拭き取るのがよい.
正しい方法で家庭内のアルコール消毒を行うと,アルコール蒸気が室内に充満するので,必ず窓を開けて行うこと.
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