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2020年12月 3日 (木)

中川日医会長怒る

 昨日放送のTBSテレビ《ゴゴスマ》を観ていたら,途中で日本医師会・中川俊男会長の記者会見の中継が入った.
 北海道と大阪で医療崩壊が目前に迫っている現在,11/25の記者会見時よりもさらに切迫したメッセージを国民に発した.
 日本医師会や東京等の医師会が「最大の経済対策は感染拡大を阻止することだ」と真剣に訴えても,菅内閣はGo To トラベルキャンペーンを止めようとしない.また国民も,医療崩壊なんぞどこ吹く風とばかりに遊び歩いている.
 東京の飲み屋の多くは営業時短に応じようとしない.
 そんな状況下に,とうとう東京の新規感染者は昨日,水曜日として最多を記録した (検査数の関係で毎週水曜日は新規感染者が少なく報告される).
 私は想像するのだが,各地の病院で身を削るようにして奮闘している医療従事者に対して,あろうことか露骨な差別的振る舞いを行っている愚か者どもは,Go To トラベルで遊びに行く馬鹿どもと重なっているのではないか.
 札幌が Go To トラベルから除外されるや,観光旅行馬鹿たちは,どうしたか.札幌に近い小樽に旅行先を変更し,そこから札幌に遊びに行っているとテレビが報道した.小樽のホテルは予約が激増だそうだ.
 日本医師会長の悲痛なメッセージを真摯に受け止めるならば,Go To 札幌除外の抜け道を探して旅行に行くなどということができるはずはないと私は思う.
《コゴスマ》レギュラー・コメンテーターの古館一郎が「政府は飲食店の時短補償にお金をつぎこむのではなくて,頑張っている医療機関が経営危機に陥っているという,そこに資金を投入すべきだ」旨のコメントを述べた.
 すると,リモートでコメンテーターに招かれた丸田佳奈医師が「お金のことだけじゃなくて,医療スタッフが精神的にも肉体的にもぎりぎり疲弊しているのです.だから感染者を減らす政策をして欲しい」旨の意見を述べた.
 もう一人の医師 (お名前を失念した) も,何としてでも Go To トラベルを止めようとしない政府に「怒りを覚える」と言い切った.
 
 私は先日の記事《マスクをしよう》に次のように書いた.
 
新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとのあいだで干渉が起きているのだと主張する少数の研究者がいるが,エビデンスはない.
 ウイルスの「干渉」は細胞レベルあるいは個体レベルのミクロな話であり,今現在,両ウイルスの「干渉」が日本全国で起きているマクロな現象であると考えるのは非常に無理がある.
 ではなぜインフルエンザの流行が見事に抑制されているかというと「手洗い,消毒,マスク着用,三密を避ける」などの新型コロナウイルス感染防止対策が国民のあいだに普及したからであると多くの医師たちが説明している.
 言い方を変えると,マスク着用と手洗い等の基礎的対策で流行を抑制できるインフルエンザウイルスに比較して,新型コロナウイルスはもっと感染拡大防止が困難なウイルスであるということだ.
 
 日本医師会・中川会長は記者会見 (12/2) で,季節性インフルエンザは例年より大幅に少ない状況が続いていることに触れて次のように述べた.《総論 (最近の新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて)
 
季節性インフルエンザが激減する程の感染防止対策をとっているにもかかわらず、感染拡大を防ぐことのできない同ウイルスの感染力の強さを強調。「仮にマスク無し、手洗いも励行しない以前のような生活を送っていたとすれば、感染の拡大はとても今のような程度では済まなかったのではないか」と治療や予防法が確立している季節性インフルエンザと同様には扱えない理由を解説した。
 
 私の記事と中川会長のメッセージは同じことを述べている.これが今,専門家と国民のコンセンサスが得られている重要な見解である.
 さて中川会長がメッセージを読み上げたあと,司会者がメディアからの質問を受け付けた.
 ところがこのとき,社名は聞き落としたが,女性の記者が2021年度の薬価改定について質問した.
 中川会長はムッとした表情で,「それは,今の私の話とは関係ないことですよね,それでも答えますか?」と言った.
 中川会長が新型コロナウイルス感染症について真剣なメッセージを発したのに,この記者は全然聞いていなかったのである.国民が知りたいことに無関心なメディアに何の存在価値があるのか.中川会長の怒りはもっともである.

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