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2020年11月 7日 (土)

印章のこと

 朝日新聞《河野氏投稿は「蛮行だ」 ハンコ業界、二階幹事長に抗議》[掲載日 2020年11月6日 20:09] から下に一部を引用する.
 
印章の産地として知られる山梨県の長崎幸太郎知事は6日、自民党本部で二階俊博幹事長と面会した。河野太郎行政改革相が「押印廃止」の印影と印章の写真をツイッターに投稿したことに抗議し、印章業界の窮状を訴えて支援を求めた。
 
 この件の発端は,平井卓也デジタル改革相が河野氏に「押印廃止」と刻印した印鑑を贈ったことである.お調子者の河野太郎大臣は深慮なくこの印鑑の件をネットに上げたので騒ぎになった.
 平井デジタル改革相といえば,テレビで最近の国会中継を観た私たち暇な年寄りは,平井大臣の答弁を聞いて不安を覚えたのではないか.こいつは上っ面の知識をひけらかしてペラペラしゃべるお調子者なんではないか,と.
 河野太郎は,父は衆議院議長を務めた河野洋平.かつて農林大臣を務めた河野一郎は祖父で,参議院議長を務めた河野謙三は大叔父に当たる.
 河野一郎,河野謙三,河野洋平の三氏は,いずれも保守党の中にあって重鎮という言葉が相応しい人物であった.
 それに比較して河野太郎は,広く報道される記者会見の場で,気に入らぬメディアの質問を小馬鹿に見下した態度で無視するという子供じみた男である.華麗なる河野一族の中のできそこないだ.「売り家と唐様で書く三代目」を思い出す.
 平井卓也といい河野太郎といい,お調子者コンビが悪ふざけして印章業界を小馬鹿にしたのである.
 ではあるが,行政手続きにおける押印廃止の動きはもはや止められない.
 それに,押印廃止で困るのは,機械彫刻で安価な「ハンコ」をネット受注して製造している業者のはずである.山梨県知事が心配することではなかろう.実印や銀行印に用いられる手彫りの格調高い印章を作っている職人は,それほど影響を受けないのではないかと思う.
 
 昔は,認印に使う印鑑も手彫りだった.私の卒業した群馬県前橋市立第一中学校は,卒業生に手彫りの認印を記念品として贈った.
 印鑑が,社会人となる者が持たねばならない品であった時代である.
 私の場合は,大学を卒業して会社員となった時に銀行印を誂えた.
 次に蔵書印を注文して手に入れた.蔵書印は昭和の読書人必携であった.こつこつと金をためて買い揃えた『日本化学会編 実験化学講座』(丸善) 全巻に蔵書印を押した日の感激は今も覚えている.
 そして結婚した時に実印用の印鑑を手に入れた.このように人生の節々に,印鑑の思い出があるのは私だけではないだろう.
 山梨県の印章業界だけでなく,あちこちの街中にある古い印舗も衰退の一途を辿るだろう.菅首相の号令下にお調子者の大臣たちが銀行印や実印の廃止にまで手を突っ込む可能性がある.なんとかこの伝統工芸を保護する策はないものだろうか.

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