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2020年11月26日 (木)

見出しも中身も恥ずかしい記事

 デイリースポーツがやっているニュースサイト「デイリー」が情けない記事を載せていた.《堀江貴文氏、桜前夜祭問題に「赤字でたら誰が補填するのかな?」…寄付行為に疑問》[掲載日 2020年11月26日 21:32] だ.
 報道というものは言葉を用いて行うのであるから,報道記事に言葉の誤用があってはならぬ.低級三流紙といえどもデイリーはニュースサイトなのだから,無知な者に記事を書かせてはいけないのである.もし記者全員が無知なのであれば,無知は無知なりに,記事を掲載する前に辞書を開くくらいのことはしろと言いたい.
 まず,記事のタイトルからして馬鹿丸出しである.
 この記事を書いた記者は「寄付行為」の意味を知らないのだが,それが新聞記者として情けない.「寄付行為」には,「寄付という行為」や「寄付をする行為」という意味はないのである.
 Wikipedia【寄付行為】に,寄付行為の定義が書かれているので引用する.
 
寄附行為 (きふこうい) とは、財団である職業訓練法人、財団である医療法人、学校法人及び私立学校法64条4項に基づく法人 (専修学校又は各種学校の設置のみを目的とする法人) において、
1. 法人である財団(財団法人)の設立者がその設立を目的として作成した、その財団法人の根本規則、又はそれを記載した文書・書面のこと。
2. 法人である財団を設立する行為そのもの。
 
 詳しい解説はしないが,要するに「寄付行為」は定義された法律用語なのである.メディアの人間が,勝手に他の意味に使うのは恥ずかしい間違いである.
「寄付行為」の意味は常識とは言えないが,法学部出身者なら基礎知識であるし,その他の分野の教育を受けた者でも,社会に出てから意味を知ることはある.現に私は理系だが,「寄付行為」の何たるかは承知している.
 しかるにこれを,超低級三流紙とはいえ,新聞記者が知らないというのは,唖然として声も出ない.これが全国紙の記者だったら,報道から販売へ配置転換されること間違いないくらいの赤っ恥である.
 
 次に,記事の内容が情けない.
 堀江貴文は有名人だが一種のならず者みたいな男で,コロナ禍をネタに世間を騒がせるのをおもしろがっている.
 テレビや新聞など一般のメディアが堀江を取り上げて記事にすることはまずないが,スポーツ紙やネットニュースが好んで堀江の発言や行動を記事にしているのは,堀江がやらかす迷惑行為(*) を英雄視する幼稚なシンパがいるためだ.
 (*)堀江がやった最近の迷惑行為は,広島の餃子店を休業に追い込んだことだ.(Business Journal《堀江貴文、餃子店との騒動から新たな火種が勃発…榊原郁恵に「何も知らないアホ」》[掲載日 2020年10月6日 18:40])
 それはまた別の話として,デイリーの記事に呆れたのは,次の箇所である.
 
こうした報道を受け、堀江氏は「これ、赤字でたら誰が補填するのかな?参加者から一人一人足りなくなったんで1人1000円ずつお願いしますっていう感じにするのかな?」と指摘。一般論として、食事会などで予算が不足した時に主催者が補てんすることを「寄付」と認識することへの違和感を示した。
 
 上の記事は,安倍晋三前首相側が「桜を見る会」前夜に開催された懇親会の費用を一部負担していた事実が明らかになったことについて,堀江の主張を取り上げている.
 安倍前首相が「桜を見る会」の懇親会費用を負担したことが問題になっているのは,有権者らへの寄付を禁じた公職選挙法違反罪が適用される可能性があるからだ.
 堀江は《食事会などで予算が不足した時に主催者が補てんすることを「寄付」と認識すること》に違和感があるとデイリーの記事は書いているが,食事会等で結果的に決算が赤字になったことと,最初から赤字予算が組まれていることは全く別の話である.公職選挙法が問題にするのは,後者のうち,政治家が赤字予算でイベントを行うことである.すなわちこの種の赤字予算を是認すると,有権者に無制限に金銭金品を供与することが可能になるからだ.
 無論,堀江は,一般の食事会等で赤字決算になったらどうするかという話と,「桜を見る会」の不正を,ツイッターの読者に意図的に混同させようとしているのだが,堀江のデマをそのまま無批判に記事にしたデイリーは,堀江貴文の太鼓持ちを買って出た格好だ.たぶんデイリーの記者は,公職選挙法の条文なんか一行も読んだことはないに違いない.こういう輩がニュース記事を書いているのは,まことに情けない.

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