窃盗現行犯の内閣官房参与
昨日放送されたテレビ朝日《大下容子ワイド!スクランブル》で,コメンテーターとして招待された医師 (お名前をメモし損ねた) に,レギュラー・コメンテーターが,欧州における新型コロナウイルス感染症重症患者のトリアージ (患者の重症度に基づいて治療の優先度を決定して選別を行うこと) について質問した.
その医師は,コロナに限ったことではないが,治療するかどうかを「年齢と基礎疾患の有無」と「年齢」ですっぱりと分けているようだと回答した.
欧州で膨大な感染者が発生しているにも関わらず,医療が崩壊せずに持ちこたえているのは,治る見込みのない重症患者に対するトリアージを実行しているからのようだ.
トリアージは具体的にどうしたらよいか.
死にそうな患者が二人いるとして,しかし医療資源は一人分しかないとする.この場合,どちらを救うかを医師に決めさせてはならないことは誰でも理解できる.そんなことすれば医師のメンタルが崩壊してしまうからだ.
従って,治療するかしないかの線引きは機械的に行うことが必要になる.そしてその「線引き」の条件は政府が決めることになる.
欧州の例に倣えば,七十歳がその分け目になるのだろう.
私は七十過ぎだし,循環器の既往症がある.だからこのまま日本で新型コロナウイルス感染拡大の第三波が激しく進行して医療崩壊が起きた場合,私はPCR陽性になっても治療を受けることができない可能性が高い.
七十過ぎの基礎疾患持ちが全員死ぬわけではない (治療が受けられている現状では死亡率約20%) から,治療してもらえないのは無念だが,日本の医療を守るために潔く死んでくれと言われればやむを得ない.
とはいえ末期の水の前に酸素は欲しいが,そもそも入院させてくれないかも知れないから,無いものねだりだろう.自宅の布団の上で,薬ももらえずに死ぬのだ.会社員の時に思い描いていた老後の生活とエライ違いだが,これは定めと言うものだろう.南無.
しかし私の野垂れ死にのあと,残される老いた愛犬が不憫でならぬ.それが心残りだ.
そんな覚悟を決めたら,トリアージについて色々気になることができてきた.
例えば,の思考実験をする.
十二月二十七日の夜二十三時五十分頃,六十九歳の患者が重症の肺炎を発症して,救急車で救急外来に運び込まれたとする.
この患者の誕生日は十二月二十八日であるとする.病院側はただちに患者をカートに乗せて集中治療室 (ICU) に移送開始したのだが,ICUのドアの前まで来たところで時刻が二十八日二十四時になってしまった.
政府が決めた法的措置により,満年齢七十歳以上は治療を受けられないとすると,この患者はICUに入る資格がない.
そこで患者を乗せたカートはくるっと向きを変えて,病院の救急外来入口に戻ることになる.そして再び救急車で自宅へ搬送されるのだ.
もう一つのケース.
人工心肺に繋がれて治療している患者がいるとする.医療スタッフの懸命の働きで,次第に状態が良くなり,あと少しで人工心肺を外すことができる見込みとなった.しかしここで誕生日を迎え,七十歳となってしまった.スタッフは断腸の思いで人口心肺を外し,患者は自宅へ搬送されることになった.
患者の年齢でトリアージするのには,色々と複雑な問題が発生するようである.
さて,ニッポン放送《飯田浩司のOK! Cozy up!》の,水曜日担当コメンテーターは,菅内閣で内閣官房参与になった数量政策学者の高橋洋一だ.
高橋洋一といえば東京練馬区の温泉施設 『豊島園 庭の湯』の更衣室で高級腕時計や財布などを盗んだ現行犯で事情聴取された事 (2009年3月) で知られる人物だが,それはさておき,今朝 (11/25) の放送で,医療崩壊について阿呆なことを言っていた.
高橋洋一が言うには,いまさら医療崩壊がどうのこうのと言っている者はおかしいのだそうだ.
というのは,「ある事態が生じることが予想されていて,かつそのための予算措置が講じられていれば,政治的にできないことはない」のだからと高橋は言う.
そして,(1) 感染拡大の第三波が来ることは予想されていた,(2) 今年度の第二次補正予算で病床の拡充は資金的に確保されていた,のだから,本来なら医療崩壊が起きるはずがないと言う.
これに司会の飯田浩司が「中国がやったように,プレハブでもいいから病棟を建設し,機械を運び込めば感染拡大に備えられたですよね」と言うと,高橋は「そうです」と答えた.
馬鹿か,この二人は.
大学病院や各地の基幹病院の責任ある立場の医師たちが,テレビで繰り返して訴えていたのは,病床数というのはベッドの数ではないということだ.
機械の数でもない.
医師と看護師の数なのである.こんなことはコロナ禍に関する情報の基礎の基礎である.
事実,大阪府は新型コロナウイルス感染症専門の病院を建設し,十二月から稼働する予定だが,必要な看護師は必要数の半分以下しか確保できていない.その結果,吉村知事は,周辺自治体や他県に看護師派遣支援を呼びかけざるを得ない状態に追い込まれている.
こんなことも隠蔽して視聴者を欺こうとする高橋洋一の目的は何か.医療崩壊が発生した場合に政府を免責し,責任を日本医師会,各地の医師会,基幹病院に押し付けようとするのだろう.さすが菅首相のお気に入り窃盗男である.
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