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2020年10月 1日 (木)

小児病的な支配欲 (追記あり)

 FNNプライムオンライン《日本学術会議候補者 一部を首相“任命せず”》[掲載日 2020年10月1 23:12] の冒頭を下に引用する.
 
科学者らによる政策提言機関「日本学術会議」をめぐり、菅首相が推薦された候補者の一部を任命しなかったとして、野党が反発している。
これに対し、加藤官房長官は、「任命する立場で精査するのは当然だ」と説明した。
 
 戦後の一時期,日本の復興を牽引したのは,優秀な官僚群であった.彼らは官僚としての理想国家像を持っており,政治家の奴隷ではなかった.
 田中角栄ら私欲にまみれた数人を除く保守党政治家も,官僚をよく使いこなしてきたといえる.
 だが安倍前首相と菅現首相は,官僚の能力を政治に生かすのではなく,人事権を握ることで彼らを支配しようとした.
 その結果,官僚の一部は権力に「忖度」して行政を行うようになった.
 味をしめた菅首相は,学問の世界も,人事権を行使すれば何とでもなると思いあがったようだ.
 
 日本学術会議法は前文にこう宣言している.
 
日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。
 
 日本学術会議は,科学者の総意の下に運営されるのである.
 従ってその会員は日本学術会議が自ら選考する.(註;日本学術会議法第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。)
 
 学者というものは,自然科学はもとより,人文科学の世界でも,意見が異なろうとも論敵には敬意をもって対し,論敵を学問以外の手段を用いて排除しない.
 政府もまた,時の政府に反対の立場をとる学者をも排除せずに学術会議会員に任命してきた.これは従来の政府が科学者の世界を尊重してきたからである.
 しかし菅首相は,学術会議が推薦した候補者の一部を任命しなかった.これは,自分が日本の「優れた研究又は業績」を査定するのだ,学問の世界を支配するには人事権をもってするのだと宣言したことになる.すなわち菅は,歴代首相の誰一人として手を出さなかった日本学術会議を後先の見境なく支配したいという子供じみた欲望を顕わにした.
 これほど支配欲 (低レベルの) の強い政治家はかつていなかった.顔は地味だが,実はモンスターかも知れない.
 
(9/2午後追記) TBSテレビ《ひるおび!》でこの件を取り上げた時,МCの恵俊彰とコメンテーターの田崎史郎は,菅首相は任命拒否の理由を説明すべきだと述べたのに対し,司会兼コメンテーターの八代英輝は「学術会議が政府機関である以上,国民による選挙で選ばれた政府がコントロールする必要がある」と述べた.保守党寄りの恵や,あの田崎史郎ですら疑問を表明した今回の菅首相による任命拒否を支持する弁護士 (矢代) がいることに私は驚いた.
 また梶田隆章日本学術会議会長 (東大宇宙線研究所長) は,任命拒否の理由説明と,任命されなかった候補者の任命を首相に要望すると述べた.
 この件については《日本学術会議の会員任命拒否は何が問題か》[掲載日 2020年10月2日 11:46] に丁寧な解説がある.

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