正蔵の言いたいこと
毎度のことだが,朝は四時前に目が覚める.一昨日の日曜日の早朝五時,テレビをオンにしたらNHKで《林家正蔵の演芸図鑑》をやった.
この番組は出演者紹介の前に,正蔵が落語のようにしてマクラをふるのだが,昨日のそれは「横書き」の話だった.
ある日,正蔵のところに来た手紙を開いたら横書きだったとのこと.テレビだろうが sns だろうが,今はすべて横書きの世の中であるが,正蔵は,やはり手紙は縦書きがしっくりすると言った.
「絶対に横書きにして欲しくないのは,飲み屋の壁に,冷や奴などと書いて貼ってある品書きの短冊ですな.
それから寄席では高座の脇に噺家の名前を書いた「めくり」が置いてありますが,これが横書きになった日には,わたしは噺家をやめようと思っております」
ま,そんな話を少しやって,おもむろに正蔵は手に持っていた証書ファイル (こういう文房具) を開いた.
このファイルには,出演者の名が書かれている.
カメラは正蔵の手元を上から見下ろした.
すると,ファイルに納められた紙には,左ページに「出演者」,右ページの上の行に「春風亭ぴっかり☆『湯屋番』」下の行に「三遊亭遊馬『道具屋』」と書いてあった.横書きで.w
テレビ画面に横書きで林家正蔵とか三遊亭遊馬などと表示されるのは普通だし,画面サイズは横長だからそれが読みやすい.またウェブサイトに和文が横書きされているのは技術的な問題 (というか横書きがグローバル・スタンダードだ) で致し方ないが,正蔵が持っていたのは番組制作スタッフが作った印刷物だ.寄席なら「めくり」に相当するものである.
だとすれば噺家の名をわざわざ横書きに印刷する理由がない.
その朝,落語を楽しんだあとで私は考えたのだが,この番組のナビゲーターである正蔵は,常々NHKが「めくり」に噺家の名を横書きにすることに不満で,それでマクラで「めくりは縦書きで書くものですよ」と示唆したのではなかろうか.きっとそうだと思う.
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