続・ファミマの落日
ウイスキーや焼酎を飲むのには氷が要る.(私はお湯割りは嫌いなので)
その氷だが,私はコンビニで買ってくる.コンビニで売られているかち割り氷は,自分ちの冷蔵庫の製氷室で作るキューブ氷よりもずっとうまいからだ.
コンビニは,自宅のすぐ近くにファミマがあるので,そこを利用する.
ところがこのファミマ,朝の時間帯に行くと袋入りの氷が二十袋位補充されているのだが,昼過ぎに行くと売り切れてしまって一つもないことが多々ある.今日もそうだった.
そこでレジバイトのお嬢さんに,今日は氷の補充は何時になる?と訊いてみた.
すると彼女は「このお店は朝と昼の二回だけ補充があるんですけど,昼過ぎに棚がカラッポになっても,次の朝まで補充は,ゼーッタイにないですと答えた.「ゼーッタイに」は強い声で言った.
私は,コンビニの商品補充は一日に三回はあると思っていたので,つい驚いて「えーっ,二回だけなの!」と言ってしまった.
そしてこのファミマの棚がカラッポのことが多い理由が分かったと思った.午前中に売れた弁当類やおにぎり,パン類を昼に補充して,それが売り切れても翌朝まで補充がないとすれば,そりゃ棚はカラになるわな.
顧客のニーズを無視してでも,食品廃棄を減らすという本部方針は徹底されているようだ.
氷が買えないのには困ったが,仕方ない.ファミマとは逆方向にあるローソンにでも行くかと諦めた.
しかし手ぶらで帰るのもナンなので,飲み物でも調達するかと店内を物色したら,店内が模様替えされているのに気が付いた.
何が変わったかというと,野菜コーナーがこれまでの二倍以上に増えた.そして,前回に書いたことだが,バナナの実の全体がスイートスポットでおおわれた黒いバナナがたくさん並べられていた.見た目が悪すぎて,こんなバナナは誰も買わんだろう.バナナというものは,黄色い見た目のきれいなものを買ってきて,ダイニングとかリビングのテーブルに置かれたしゃれた果物籠に入れておき,そのまま少し熟させた状態か,スイートスポットが少し出てきたなあという頃合いに食べるものだからである.だからスーパーやデパ地下のバナナはそういうニーズに適した状態のものが売られている.
ファミマの店頭で過熟して真っ黒になった「焼きバナナ」なんぞ誰が買うかい.w
たぶんこのコンビニのオーナーは,近所のお客さんの手前,恥ずかしくてこんなバナナは売りたくないだろう.しかし「バナナを売れ.そして皮が黒くなっても廃棄するな」というのが本部指示なら恥を忍ぶしかない.結局は廃棄される運命のバナナだが,ファミマの社長は真っ黒バナナが好きなんだろうとしか思えない.おそらく現場に出て現実を直視するのが嫌いなタイプの経営者だと思われる.
で,バナナが増えたのには驚いたが,もっと驚いたのは,例の漬物コーナーが拡充されたことである.
売られている漬物は,観光地の土産物屋で販売されているタイプの,「いつ製造したんだよ,これは」と言いたくなるようなポリ袋入りの醤油漬けだ.しかも大袋.w
本来の意味の漬物は発酵食品だ.従って常温に保存すると発酵がどんどん進んで味が変化し,遂には劣化する.観光地の土産の漬物は店頭に置かれる期間が長いので,非常に長期の賞味期限が必要なのだが,製造日から長期間が経過すれば必然的に味が劣化する.それを食い止めるためには加熱して発酵を止めるしかない.そしてそれだけでは腐敗するから,食品添加物を使用して保存性を高める.このようにして賞味期限の長い漬物は劣化スパイラルを転落していく.ファミマの社長は,これについて見解を持っているのだろうか.ただ単に観光地土産タイプの漬物は廃棄ロスが少ないから良い商材だとしか考えていないような気がする.
ところでうちの近所のファミマは,野菜コーナーと漬物コーナーを拡充したお陰で,店頭から消えた商品があるわけだ.エロ本がコンビニ各社から撤収されたのは去年のことだ.
商店街を歩いていると,店が撤去されてポッカリと空き地ができていることがある.だがそこにどんな店があったのか思い出せないことが多々ある.それとおんなじで,ファミマで漬物の棚が拡充される前に,そこにどんな商品が置かれていたのか思い出せないでいる.
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