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2020年5月20日 (水)

無駄なことをしていた

 朝日新聞《定食の大戸屋、おかずを冷凍食品に さば塩焼きも》[掲載日 2020年5月20 07:30] に,現在ではやよい軒の後塵を拝するところにまで落ちた大戸屋の新しい取り組みが取り上げられている.
 
定食チェーンの大戸屋は20日、おかずの冷凍食品を店頭で発売する。新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込むなか、下支えを狙う。まずは一部の店で売り出し、9月下旬には全国で販売する。
 定食のおかずとして人気の、鶏と野菜の黒酢あん(税込み580円)や、さば塩焼き(520円)など8品目を扱う。デミハンバーグ(550円)など冷凍食品限定の商品もある。
 店内での調理を「看板」にするが、冷凍食品は外部の専用工場でつくる。試作を繰り返し、店の味を再現できたものから商品化していく。
 
 数年前からビジネス誌で,定食店チェーンの大戸屋が不振だと言われてきた.例えばPRESIDENT Online《大戸屋からじわりとお客が離れている理由 自らのクビを絞める「手作りの味」》[掲載日 2018年3月8 9:00] には冒頭にこんなことが書いてある.
 
定食店チェーン「大戸屋」の客離れが止まらない。既存店客数は3年連続で前年割れ、営業利益も過去5年で最低に落ち込んでいる。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は、「売りである『店内調理』がコスト増を招き、メニューには割高感がある。このままでは深刻なレベルでの客離れが起きかねない」と分析する――。
 
 私はあまり大戸屋で食事はしない.なぜなら「この値段で,この内容かよー」と思うからだ.上の記事に《メニューには割高感がある 》とある通りだ.
 他のビジネス誌の記事でも大同小異で,つまりは大戸屋の再生には,同社のウリである店内調理をいつやめるか,がキーポイントだという.
 朝日の記事で重要な点は,大戸屋は《冷凍食品は外部の専用工場でつくる。試作を繰り返し、店の味を再現できたものから商品化していく 》だ.
 冷凍で《店の味が再現でき 》るのであれば,わざわざ店内で,人件費と割高な原材料費をかけて調理する意味がない.
 すなわちこれまで大戸屋がやってきたことは,「店内調理は冷凍専用工場で作った料理よりもおいしい」という演出だったのである.
 大戸屋の店内調理は,真の付加価値ではなく,付加価値があるかのように見せかけてきたのだ.
 その,欺瞞とまでは言わぬが,フィクションを,コロナ禍が終焉させたのである.
 
 この種のフィクションは,食品産業界においてはごく当たり前のように存在している.
 スーパーやデパ地下で販売されている普通の食材は,現下のコロナ禍においても堅調に売り上げが伸びている.野菜の中には価格上昇しているものもある.家庭内の消費が伸長しているからだ.
 その一方で,かつて高級料亭に出荷されていた最高級和牛は価格が暴落しているという.暴落してもなお売れないため,高級和牛は畜舎に繋がれたまま飼われているという.高級和牛というのも,フィクションの一つだろう.
 いつの間にか日本人の暮らしは,見せかけの付加価値で構築された砂上の楼閣と化していたのである.私たちの生き方を見直す契機に,この災厄はなるかも知れない.

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