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2020年5月17日 (日)

読者をミスリードする報道

 読売新聞《湘南の渋滞再び…4キロ超、住民「気の緩み心配」》[掲載日 2020年5月17 22:26] に下のことが書いてあった.
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 この記事を読んだ人は,東京からやってきた若い人たち (無症状感染者とか多少の発熱なんか気にしない感染者を含む) が藤沢から鎌倉にかけての湘南海岸に押し掛けて,それで地元の人たちが感染拡大を心配している,という内容だと理解するだろう.
 しかし地元民はよく知っているのだが,江ノ島から鎌倉にかけての一帯は非常に駐車場が少ない.だから鎌倉へデートだとか寺巡りに来る若者たちはクルマでなんか来ないのである.上の記事にあるような,海岸通りの渋滞にハマっている連中は,江ノ島鎌倉がどういうところだか知らないシロウトさんなのだ.彼らの大部分は結局,クルマから降りることなく (= 地元民に接触することなく) 東京へ帰っていくのである.
 そうではなくて,鎌倉の人たちが心配しなければいけないのは,小田急やJRで鎌倉にやってくる観光客だ.そこんところを記事にしなければ見当外れも甚だしいことになる.国道134号上り線で何キロ渋滞しようが,それは新型コロナウイルスの感染拡大には無関係といっていい.「海岸通りが渋滞した」を,すなわち「観光客が押し掛けたので地元の人の感染リスクが高まった」と読者に思い込ませるのは,よくない報道の見本だ.
 
 京都新聞《「年寄りは後回しか」10万円給付の窓口混乱 業務時間短縮でマイナンバー取得に手間も》[掲載日 2020年5月16日 19:40] によれば,京都市内の区役所に「マイナンバーカードの暗証番号を忘れた」「マイナンバーカードの交付を申請したい」とする市民が詰めかけている.その記事の中で,マイナンバー通知カード (紙のカード) を受け取っておきながらそのままにしていた爺さん (八十代) が出てくる.この爺さんは,例の十万円給付をオンライン申請するにはマイナンバーカードが必要だと聞いて,区役所にやってきた.ところが周知のように通知カードを受領したあとマイナンバーカード交付を申請すると,交付まで一ヶ月ほどかかる.ということは通知カードを持っているがマイナンバーカードにする手続きを怠っている場合,オンラインで十万円給付の申請をすると,郵便で申請するよりもむしろ給付が遅れる結果となる.
 そのことを区役所の窓口で聞かされた爺さんは次のような文句をたれた.
 
「感染が怖いから本当は来たくなかった」。12日、同区に来庁した80代の男性は職員の説明を聞いてカード取得を断念。「開庁時間短縮は仕方ないが、カードの有無で支給時期に差が出るから混乱する。ネットに詳しくない年寄りは後回しということか」と漏らした。》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 この爺さんが,通知カードを受領しておきながら,マイナンバーカードの交付を申請しなかったのは,ネットに詳しいか詳しくないかということとは無関係だ.単にこの爺さんは,めんどくさいことは先送りにするという性格だというだけのことである.
 テレビの報道でもやっていたが,マイナンバーカードの暗証番号がわからないという人たちが役所の窓口にやたらとたくさんやってきているらしい.私は断言するが,こういうダラシナイ性格の人間は役所の窓口が三密でも気にしない.
 それをいかにも「年寄りに優しくない行政」という方向に読者を誘導するのは,よくない報道の見本だ.


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