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2020年5月24日 (日)

ミツカン「鶏釜めし」

 私は米の飯が三度の飯より好きで w ,炊き込み御飯を作るときは自分で季節の材料を整えるが,市販の「釜飯の素」はどんなもんだろうと思い,ミツカンの「鶏釜めし」を買ってみた.商品情報はこちら
 
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 包装の裏面に次のことが書いてある.
 
好みで選べる2つの味! 2合で炊けばしっかりした味付けに 3合で炊けば上品な味付けに
色々試せる2袋入り! 1回目はそのまま、2回目は旬の素材を加える などお楽しみいただけます。
 
 また公式サイトの商品情報ページにはこう書かれている.
 
国産の鶏肉、にんじん、こんにゃく、油揚げが入った「鶏釜めしの素」です。風味にもこだわり、鶏脂を加えたコク のある豊かな風味が具材の味を引き立てるので、そのまま食べても、旬の素材をプラスしてもお使い頂けます。2 ~3合用×2袋入りで、お好みに応じて『しっかり』、『上品』2種類の味をお楽しみいただけます。(●鶏肉、にんじんは国内で生産されたものです。●こんにゃく、油揚げは海外産原料等を使用し国内で製造されたものを使用しています。)
 
 この説明を読んで私は驚いたのだが,こんにゃくは原料を輸入している.私はこんにゃく芋とその加工品 (こんにゃく粉等) はほぼ完全に群馬県産で,少量が栃木県産だと思っていたからである.そこで調べてみたら,農水省のサイトに資料【こんにゃくいもの動向】があった.説明の一部を下に引用し,表とグラフを添える.
 
こんにゃく製品の輸入
 板こんにゃく、しらたき等のこんにゃく製品は、総菜等の業務用を中心に、輸入されている。平成26年産の輸入数量は、24,037tとなっている。

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 ミツカン「鶏釜めし」の「こんにゃく」は輸入原料を国内で加工しているのであるが,その輸入原料が「こんにゃく粉」かどうかはわからない.「板こんにゃく」を輸入して国内でカットと調味をしているかも知れないが,東南アジアから「こんにゃく粉」(精粉という) を輸入して「こんにゃく」を製造している会社から調達しているのかも知れない.いずれにせよこの「鶏釜めし」で使用する「こんにゃく」は大した量ではないのに,なぜ輸入品を使うのかは不明である.
 ちなみに同じ農水省のサイトに資料《こんにゃくいもの輸入 》があり,次の通りに書かれている.
 
平成19年4月のLDC (後発開発途上国) に対する無税無枠措置の適用以降、 ミャンマー、ラオスからの輸入が増加している。
 
「こんにゃく」はいつの間にか完全自給ではなくなっていたのだ.これについては別稿を立てて書く.
 さて,ミツカンの「鶏釜めし」の話である.
 炊飯器の内釜に無洗米のコシヒカリを二合計り入れ,内釜の二合の目盛りに合わせて水加減した.無洗米専用の計量カップが販売されていて,170ミリリットルである.無洗米は通常よりも乾燥しているので水の量を多くしなければいけないというのがその理由だが,実際に炊いてみると180ミリリットルのカップで計った白米を無洗米一合としても全く問題がない.誤差の範囲の話だと思う.無洗米専用カップをわざわざ購入する必要はない.
 次にここに「鶏釜めし」を一袋投入した.
 あとは普通に炊き上げて,熱々を飯椀に盛って食べようとしたのだが,「?」と私は首を傾げた.
 微細なにんじんの切れ端は色が赤っぽいからすぐ目についた.糸こんにゃくの切れ端のような「こんにゃく」も探したらあった.
 だがしかし,肝心の鶏肉は椀の中に見当たらなかった.
 そこで炊飯器内釜の中を精査したところ,五ミリ角ほどの黒っぽいものが発見できた.どうやらこれが鶏肉らしい.しかしカップヌードルに入っている「謎肉」よりも存在感がないのには驚いた.
 さらに飯粒の間を隈なく捜索すると,暗褐色のゴミみたいなものもみつかった.ルーペで子細に観察すると,これは油揚げの破片であることが判明した.
 ミツカン「鶏釜めし」は醤油が濃口だから,炊き上がった釜飯の色が大変に濃い.そこに五ミリ角の鶏肉と油揚げの破片が入っていても,私ら老人の目には,ないに等しい.これはもう「鶏釜めし」ではなく「にんじんとこんにゃくの切れ端釜めし」と言うべきだと思う.
 
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 上の画像はパッケージに描かれている「調理例」だが,実際には「調理例」で飯の上に載っている具材が,二合の米を炊いた飯の中に分散隠滅されている.私は久々に大胆不敵な「調理例」を見た.
 だがしかし私はここで,パッケージ裏面に《色々試せる2袋入り! 1回目はそのまま、2回目は旬の素材を加える などお楽しみいただけます 》と書いてあることにハタと思い至った.そうかっ,なるほどっ.この文言は「この商品には具材がロクにはいっていないので,二回目は自分で旬の素材を加えてお楽しみください」という意味だったのだ.ちゃんと辻褄は合っている.大胆不敵な「調理例」だ,などと貶してまことに申し訳ないことをした.さすが一流食品会社のミツカンであるなあ.よかったよかった.
 というわけで,もう一袋は具材を加えて炊いてみた.
 冷蔵庫にはちょうど買ったばかりの赤魚の粕漬がある.二枚に下した身を二枚,つまり丸々一尾分を焼いて,身をほぐしたら,飯茶碗にたっぷり二杯分あった.
 あとは常備している油揚げを一枚.元々は関西のものだが,油揚げを小さな短冊に切って,うどんに載せて食う.このように切った油揚げを「刻み揚げ」という.鶏飯に限らないけれど,飯に炊き込む油揚げはこの位の大きさの短冊が普通だ.しかし少し前に「上沼恵美子の おしゃべりクッキング」で辻調の先生が,「お揚げは五ミリ角くらいのみじん切りにするとおいしいです」と言っていたので,そのように切った.
 こうすると,元々ミツカン「鶏釜めし」に入っていた ゴミみたいな 破片のメンツがつぶれずに済む.何事もメンツは大切にするのがよい.
 赤魚粕漬は炊いたあとに加えるのが,たぶんおいしい.鯛飯のようにしたのでは,炊いた飯全体が同じ味に均一化してしまうので,せっかくの粕漬のおいしさが薄れると思う.飯は醤油味で,具の赤魚は酒粕風味,というわけだ.
 ただし油揚げは出汁みたいなもんだから,最初から加えて炊く.
  
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 さあ上の写真ができあがりの様子だ.
 赤魚といっても色々あるけれど,私がいつも買う赤魚粕漬は近海ものじゃなくて,一年中安価に店頭にでているものだ.
 赤魚は本来はアコウと読み書きする.「赤魚」は当て字くさい.鯛になぞらえて赤魚鯛とも書き,アコウダイと読む.キンメを金目鯛,キンメダイと呼ぶのと一緒だ.
 このアコウダイは漁獲量が減って今では超高級魚である.これの代替として粕漬にしたり,切り身で売られているのは,アラスカメヌケタイセイヨウアカウオだとのことである.いずれもあまり体色は赤くなく,ピンク色だ.
 これらの他にも色がかなり赤い魚があって,総称が赤魚だが,スーパーで見かけることはない.大き目の鮮魚店で目にすることはあるが,タイセイヨウアカウオなどの赤魚とは差別化するためか,和名あるいは通称で販売されている.
 昔と魚種は変わってしまったが,赤魚の粕漬は食べ応えがあって庶民の食卓の友である.これを一尾,二合の飯に混ぜれば,ミツカン「鶏釜めし」のチープ感を吹き飛ばせる.ま,もうこの釜飯の素は買わないけどね.

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