不潔なマスク
私は十日ほど前の記事《嘘をついても平気》[掲載日 4/10] の末尾に次の通り書いた.
《ところで,私が野党議員なら,アベノマスクの製造者名あるいは販売者名を公開するように政府に求める.そこに不審な点はないか,国民は知りたい.》
案の定であった.読売新聞《政府配布の布マスクに「汚れ付着」「虫が混入」…不良品の報告相次ぐ》[掲載日 2020年4月18 22:25》は下のように伝えた.
マスクは衛生用品である.テレビで報道されたので見た人は多いだろうが,マスク製造に乗り出したシャープは,クリーンルームで不織布マスクを製造している.衛生用品を製造するならそれが当然なのである.そして品質管理には専門的な知識が必要だ.
ところが上の記事にある「変色」は,汚れたまま長期在庫してあったガーゼで作ったことを意味している.「髪の毛が混入していた」は,製造作業者が清潔な作業服と清潔な帽子 (キャップ) を着用せずに作業したことを意味している.
いずれも,その製造者 (会社) が,これまでマスクを作った経験がない事をあからさまに示している.おそらくアパレルだろう.
ネット上では,この不良品騒動はクレーマーの嫌がらせだとしている人が多い.しかし企業で品質保証の仕事をしていた私からみると,これは実際に,そして頻繁に起こり得る品質事故である.
布マスクは,不織布マスクと違って,クリーンルームで製造することが不可能である.なぜなら布から大量の微細な糸クズが出て,室内に浮遊するからである.不織布マスクはその心配がない.
アパレル業者の作業員は,いつも糸クズだらけの作業室で働いているからマスクもそれと同じ感覚で,普通の作業室で普通の作業服を着てミシンを踏んだに違いない.そういう状態ではマスクへの毛髪混入は必至であった.
業者を選定したのは経産省なのか厚労省なのか不明だが,たぶんマスクの製造に求められる衛生作業マニュアルなんかには全く無関心な部署が選定を担当したのだろう.
では何を根拠にしてその製造会社を選定したか.それが問題である.メディアは,製造会社名を調べてみるといい.そこから何か出て来るだろう.
[追記]
日刊ゲンダイも今日付けの記事で,この点を追求している.アベノマスク配布が発表された時点で追及して欲しかったけどね.ちょっと遅いなあ.
《日刊ゲンダイDIGITAL《466億円かけたアベノマスク 厚労省がメーカーヒタ隠しの怪》[掲載日 2020年4月18 6:00]》
| 固定リンク
「新・雑事雑感」カテゴリの記事
- 男たちの自分探し(2023.01.27)
- Seriously Good(2023.01.25)
- アイリスオーヤマ製の貼るタイプ使い捨てカイロ(2023.01.24)
- 「日本語って不思議な言語だなぁ~」というアホ(2023.01.23)
最近のコメント