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2020年4月23日 (木)

陰陽師安倍晋三の呪

 現下,テレビの情報番組は放送時間の3/4が新型コロナウイルス感染症のことを取り上げ,残りをスポーツ関係の話題に振り当てている.誰それが不倫して妻と別居中だとかいう話がほとんどなくなったのは,まことにめでたい.
 それはいいのだが,番組に招かれるゲスト・コメンテーターが公衆衛生や感染症制御の専門家であるせいか,治療薬の話題になると隔靴掻痒のコメントしかしてくれないのがもどかしい.
 
 国政における政策面の観点からして,安倍首相には何の専門性もないことが今や国民の眼に明らかになってしまった.
 対策会議や記者会見で時々新型コロナウイルス治療薬のことに触れるが,アビガンの名を出せば「よくわかんないけど何かやってる感はだせる」と思っているのがあからさまで,我々国民としては同情すら覚える.
 そもそもこの内閣は,新型コロナウイルス感染症対策の当事者である厚労相からして医学にも医薬にも全くの素人で,NHKの特別番組にでると言い間違いを連発してキャスターにいちいち訂正される始末.こんな状態だから,我らが首領様にレクチャーすることができない.官邸の安倍首相側近もまた同じで,精一杯知恵を絞った結果がアベノマスクだった.
 昔,石原慎太郎都知事は,その末期の頃には週に二回しか都庁に登庁しなくなってしまった.自宅にこもって出てこないので実質的な都政は官僚がやっていたという.それよりは安倍首相はマシだと私は思っていた.夕方になると記者会見での質問に答えようとせず,そそくさと会食に出かけてしまうとしても,だ.
 しかし室井佑月さんが,こんな(↓)ことを書いているのを読んで,私はへなへなと脱力してしまった.(《室井佑月「こっちも自粛中?」》)
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 仕事時間約1時間40分.orz そのあとは料亭へ.orz orz
 リビングで犬を相手に,ひまそうにくつろいでいる例の「勝手にコラボ」動画は,演出ではなく事実だったのだ.
 
 さて本題.首相の妻の昭恵のスピリチュアル (昔はオカルトといった) 方面への,のめり込みは有名だが,文春によると安倍家そのものが先代の時からオカルト傾向にあった.(文春オンライン《止まらない昭恵夫人の大分旅行 騒動のカギは「思想」「スピリチュアル志向」か》[掲載日 2020年4月21日])
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 神道でも仏教でもキリスト教でもイスラムでもヒンズーでもない,なんだかわからないものに夜になると祈りをささげる首相安倍晋三.
 どれほど妻昭恵の不始末を野党に責められても,晋三が決して頭をさげなかったのは,夫婦がオカルト的信仰でかたく結ばれていたからなのであった.
 私見だが,安倍晋三の信仰は言霊信仰ではないか.言霊信仰とは,古代,この国が中国の文字文化 (漢字) に触れた結果,反作用的に人々が大和言葉に精神的基盤を求めるようになって発生したものだ.原始的なアニミズムに近いもので,その信仰の表現は呪術である.安倍昭恵の証言にあるように,安倍晋三が毎晩《声を上げて、祈る言葉を唱えてい 》るのがまさにそれである.
 言霊信仰がどのようなものかは,夢枕獏の連作『陰陽師』で安倍晴明が「呪 (しゅ)」と呼んでいるものに近いと考えればいい.この信仰は「呪」すなわち言葉そのものに霊的な力が宿っているとし,まず言葉が先にあり,言葉を発する (呪をかける) と,次にその言葉の意味するところが実現すると考えるのだ.
『陰陽師』はファンタジー文学としてとても魅力的な作品だが,これが安倍晋三と何の関係があるか.
 実は安倍家は,安倍晴明の傍系末流を自称しているのだ.PRESIDENT《なぜ、安倍総理は「神憑り」「霊能師」を信じるか》[2015年5月4日号] の一部を下にスクリーンショットで引用する.
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 安倍晋三は安倍晴明の末流として,自らを陰陽師であると思い込んでいるように私には思われる.
 その根拠が,他ならぬ緊急事態宣言だ.
 普通の人は,まず実現したい状況が頭の中にあり,その実現のための行動に取り掛かる時に「行動開始する」と宣言をする.そして行動に移す.
 ところが陰陽師である安倍晋三は普通の人間ではない.
 安倍晋三は「緊急事態を宣言します」と言葉を発して,新型コロナウイルス感染が収束するように「呪をかけた」のである.
 望む状況を実現するのに何かを行動する必要はない.具体的な感染阻止対策を行う必要はない.必要なのは行動ではなく言葉だ.現代の陰陽師たる安倍晋三がウイルスに「収束せよ」と呪をかけて,収束しないはずがないのである.何を慌てる必要があろうか.
 そう考えたからこそ,安倍首相は西村大臣に「二週間の様子見」を指示したのであった.
 さらにもう一つ,安倍晋三がかけた呪があった.アビガンである.
 新型コロナウイルス感染症の治療薬は,緊急性に鑑みてまずは既存の医薬から有効なものを探す手法で研究が開始された.現在既にいくつかの候補が見出されている.(《新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ》[掲載日 2020年4月17日])
 その中で最も有望なのは抗ウイルス薬のレムデシビル (日本国内での治験は既に開始済み) であるが,なぜか安倍首相は対策会議や記者会見では「アビガンが……」としか言っていない.
* 日本医事新報社《新型コロナ治療薬として「アビガン」正式承認へ─安倍首相が「治験プロセス開始」を表明》[掲載日 2020年4月1日]
* 日本医事新報社《安倍首相、医療現場でのアビガン使用「できる限り拡大」―緊急事態宣言で記者会見》[掲載日 2020年4月8日]
 
 なぜ安倍首相はアビガンをイチオシなのか.周知のように安倍首相は滑舌が悪く,本会議でも委員会でもやたらに噛んでいる.そんな首相がレムデシビルを発音したらどうなるか.きっとレムデチビル,レムデシベル etc. になる.
 だがどんなに滑舌が悪くてもアビガンなら言える.早口で五回言ってごらんと言われても,アビガンアビガンアビガンアビガンアビガンと言えるだろう.これこそ,医学知識も薬学の知識もない首相がやたらにアビガンをイチオシする理由であると私は睨んでいる.orz
 それは冗談だが,安倍首相がやたらとアビガンに固執するのは,アビガンがどのような薬か全く知らないからだ.
 というのは,アビガンには,重大な欠陥が存在するのである.その欠陥を,テレビに出て来る医師たちはもっと強い言葉で指摘するべきだと私は思う.それについては次の記事を読んでいただきたい.やさしく書かれているので,理系の人でなくても内容を理解できる.
* ITmediaビジネスONLINE《期待のアビガンが簡単に処方できない理由》[掲載日 2020年4月21日 10:00]
 
 この記事にあるように,つまりアビガンは「もはやこれまで」という最後の救命手段だ.その危険性の全貌があきらかになっているわけではないのである.
 感染しているのに沖縄へ仕事と称してゴルフをやりに行って発症入院した芸能人が,アビガンを投与されたとメディアのインタビューに答えている.アビガンを投与した医師の説明を簡単にペラペラとしゃべるこの男は倫理的にどうかと思うが,元々そういう軽薄さで知られた男だから仕方ないか.
 
 話が横に逸れた.
 アビガンがどんな医薬だか全く知らぬ安倍首相が,アビガンアビガンと言うのは,何を隠しましょう,あれは呪をかけているのだ.
 新型コロナウイルス感染症の特効薬が日本発であるとなれば,国内メディアのみならず海外メディアからも指導力のなさを嘲笑されている安倍首相の無念至極な立場がひっくり返せる.そう思って現代の陰陽師は乾坤一擲の呪をかけたのである.
 だがしかし.
 陰陽師安倍晋三のかけた呪である緊急事態宣言の言霊はどうであったか.
 緊急事態宣言から二週間が過ぎて,専門家会議は「人と人との接触八割減」ができていないと明言した.要するに緊急事態宣言は失敗した.宣言に言霊はなかったのである.
 東京都の感染者数は今日現在,横ばいの兆候を示しているが,このまま毎日百人以上の患者が発生していけば,いずれ遠からず医療機関も感染者隔離用の宿泊施設も崩壊する.記者会見する小池都知事の言葉は柔らかいが,マスクをとればそこに必死の形相を私たちは観るだろう.とにかく家にいてくれ,お願いだから,と.
 アベノマスクは品質不良のため,取り扱い業者二社が政府に納品した製品のうち未発送品が回収されることになった.物作りということを舐めてかかった業者は,責任を問われて然るべきである.
 例の「勝手にコラボ」は笑いものになった.緊急事態宣言は失敗した.この有様を見るに,アビガンにかけた呪が功を奏する見込みは薄い.二十一世紀の日本で,陰陽師安倍晴明の末裔安倍晋三は何事をも成し得なかったのである.

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