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2020年3月22日 (日)

問題の切り分けができない人たち

 朝日新聞DIGITALに《フリー給付金4100円「ふざけるな」 立憲・蓮舫氏》(掲載日 2020年3月11日 17:22) が掲載されている.
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 トリミングの関係でこの記事の末尾が切れてしまっているが,《事がなくなった方たちの明日の不安にこたえることはできない。(11日、参院会派の会合で)》である.
 また上の引用は断片的でわかりにくいが,新型コロナウイルス対応に関して現在実施中の小学校等の一斉休校要請につき政府が打ち出した施策に関するものである.(制度の名称は小学校等であるが,障碍のある子どもについては中学校以降の教育課程も含む;詳細は厚労省のサイトに掲載)
 小学校等が一斉に休校すると,子供の世話のために仕事を休むあるいはセーブしなければならない人たちが発生することは,既にメディアが繰り返し報道しているところである.この事態に対して政府が打ち出した対策について簡単に説明しよう.
 まず今回の施策は,二つの内容から成る.まず一つは,子弟の保護者が被雇用者である場合だ.学校の休校に伴って休暇を取得しなければならない時,休暇を取得しやすくなるように,雇用主に給付する助成金である.これは被雇用者が正規雇用か非正規雇用かを問わない.給付の条件は,休暇を取得するにあたって通常の有給休暇と同額の賃金を支払うこと.助成金の額は,被雇用者一人について一日に八千三百三十円である.
 二つ目は,上のこととは全く別に,学校の休校にともなって仕事量を減らさざるを得ないフリーランス (個人事業主) の保護者に,収入を補填しようという施策である.補填額は一日に四千百円である.
 今回の一斉休校は我が国の過去に例を見ないことであるため,国の諸々の制度と整合性の取れた施策とするためには,かなり長期間にわたる検討を要すると考えられる.しかし事は緊急を要する.未曾有の事態であるから多少の瑕疵は大目に見るしかないと思われる.その瑕疵とは,やむを得ないこととはいえ,上記の二つの施策をあたかも一つのものであるかのように発表してしまったことである.そのために国民の一部と国会議員の一部に誤解が生じたのである.
 
 さて元々蓮舫という人は《「ふざけるな」と言いたい》からわかるようにヒステリックに攻撃的で,それは彼女の人格であるから致し方ないが,発言の趣旨がわかりにくくて困る.
その最たるものが、フリーランスへの給付金1日4100円。根拠を聞くと、東京都の最低賃金×4時間。「ふざけるな」と言いたい》から取り上げて考えてみる.普通の知的レベルの人なら,ここは「ふざけるな」と罵倒するのではなく,「こんなに安くてよいのでしょうか」と発言の趣旨を明確にするところであるが,この人は攻撃性に見合う知性がないので,こんな幼稚な表現しかできない.
 彼女の粗暴な発言を聞いてる国民は,呆れつつ彼女の言いたいことが「こんなに安くてよいのでしょうか」であると解釈して先に進む.世話の焼ける面倒な女である.
 だが「安い」にも色々ある.彼女の主張が「絶対金額として安い」のか,それとも「相対的に安い」のかがわからない.「東京都の最低賃金×4」のすぐ次に「ふざけるな」と言っているところを見ると「絶対的に安い」と怒っている (例えば「最低賃金×7にせよ」など) ように見えるが,しかし続いて《多様な働き方、それでもこうした時の給付金は、旧態依然とした事業主と正社員を基軸に考えている 》と言っているので,個人事業主への給付が被雇用者よりも少ないことに異議を唱えているようでもある.どっちだか不明である.
 ついでに言うと,蓮舫議員は《(政府与党は) 旧態依然とした事業主と正社員を基軸に考えている 》と言うが,政府の施策は正規雇用と非正規雇用を同じに扱うとしている.すなわち蓮舫議員は考え違いをしている.あるいは意図的に歪曲している.
 これについては厚労省のサイトには次のことが明記されている.
 
小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設します
 お知らせ
 新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、労働基準法の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金を創設します 》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 上の厚労省の発表は3月9日であり,蓮舫議員が会派の会合で《ふざけるな 》と語ったのは3月11日である.当然,政府の施策では《正規雇用・非正規雇用を問わず 》とされたことは承知の上で《旧態依然とした事業主と正社員を基軸に考えている 》と発言したのである.これを国会の委員会で発言すれば事実誤認あるいは事実の歪曲であるとして大きな問題になるが,自会派の会合なら嘘を言っても文句は言われないからだ.これは蓮舫という人は,二枚舌 裏と表で言うことが違うことを示している.彼女がこういうことをする議員であると国民は知っておく必要がある.

 さて,フリーランス (個人事業主) への給付金 (四千百円) が少々安いとは,私も思う.しかし今回の措置は一定期間を区切っての臨時措置であることを考慮せねばならない.この場合,給付金額の高い安いは生活保護費と比較するのが妥当だろう.新学期が始まるまでという短期間にもかかわらず四千百円という低額給付では生活が困窮するという場合は,そもそも他の支援制度を継続的に活用すべきだと考えるのが妥当である.不自由な生活 (メリットとデメリットがある) を強いられる生活保護の一歩手前に,生活困窮者等を対象に行われる各種の支援制度があるからである.
 要するに今回の小学校等の臨時休業に伴う個人事業主への支援は,一時的なものであり,生活保護ではないというのが大前提である.今回の休校で生活困難になるほどであれば,そもそも他の生活支援制度を活用すべきである.この基本的なことを蓮舫のような人は理解できないのである.
 
 では,元々頭の中がグチャ 国家未曾有の危機に際して頭の中がグチャグチャで言うことが支離滅裂になった蓮舫議員に代わって,問題点を整理しよう.フリーランス (個人事業主) への給付が,事業主に雇用されている被雇用者 (平たくいえば,会社の従業員だ) への支援よりも低額か否か,である.
 ここで「被雇用者への支援」としたのは,支援が実際には,被雇用者への直接的な給付金ではなく,雇用主への助成金として行われるからである.
 なぜ「被雇用者への直接的な給付金ではなく,雇用主への助成金として行われる」のか.これについて,直接的に被雇用者へ給付すべきだと言う人がいるが,それは会社勤めをしたことのない人だ.
 例えば,ここにシングルマザーがいるとする.彼女は小学校一年と三年の子供がいるので,学校が休校になったら仕事を休まざるを得ない.その時,行政から直接給付金をもらっても意味がない.実際には仕事を休めないからだ.休んだら無断欠勤となり,馘首の対象者となってしまう.法律上,そうなるのだ.
 この無断欠勤でクビという事態を回避するには,雇用主も制度に巻き込む必要がある.今回の制度が,被雇用者に有給休暇を与えた事業主に対する助成金という形を取ったのは,これが理由である.別に厚労省のサイトにそういう説明がかかれているわけではないが,長いこと会社勤めをしているとそういう理解ができるようになる.または雇用主の代理である管理職でなくても,労務とか人事の担当者なら簡単な知識の範囲内のことである.
 雇用主に対する助成金という形にすれば,この助成金を受け取る雇用主は,小学生の子供の面倒をみるために仕事を休んだ保護者を解雇できないのである. 
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 上の画像は「新型コロナウイルス感染症による小学校等休業対応助成金 (詳細版)」の一部である.労働基準法に定められた年次有給休暇の他に,子供の面倒をみるための「特別な有給の休暇 (賃金全額支給)」を従業員に与える事業主には助成金を出します,という内容である.この助成金がどのように適用されるかを以下に説明する.
 従業員が欠勤した時に,いくら賃金をカットするかは,法定ではなく雇用契約によるので話は簡単ではないのだが,ごく大雑把に話を進める.
 一例として,月例賃金が25万円の女性会社員Aさん (正規雇用) を考える.雇用契約の内容にもよるが,仮に年次有給休暇以外に一日休むと月例賃金から約8,000円と少し (250,000 × 1/30=8330) がカットされる.年次有給休暇を使って休めばもちろんこのカット分は支払われる.
 さて今回の「小学校等休業対応助成金」では,小学生の子供の面倒をみなければいけなくなった保護者に対して,年次有給休暇以外に特別に有給の休みを与えてくれませんか,というのが趣旨である.本来は欠勤として賃金カットされるべきところであるが,もし与えてくれれば一日当たりの賃金8,330円は国が助成しますというわけだ.
 この助成金制度はいかにももっともらしいが,実はここに落とし穴がある.もしAさんが休むと,通常の場合はその穴埋めを誰かがしなければならなくなる.同僚たちが手分けしてAさんの仕事を分担するのだが,当然ながら同僚たちには残業が発生する.この残業代は雇用主の負担なのである.しかも普通は残業代は割増がつく.
 さらに,学校の休業によってAさんが取得した休みが有給であると,実際にはAさんは働いていないのに,社会保険における雇用主の負担分はそのままであるという不公平が生じる.
 雇用主と,雇用主に雇用された労働者の間には「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用される.これは,当該労働者が何らかの事情で仕事をしなかった日や時間については,雇用主にその分の賃金を支払う義務は発生しないという原則である.その何らかの事情とは「当該労働者の責任による事情」か「当該労働者と雇用主のいずれの責任でもない事情」である.「子どもが病気なので出勤できない」は前者であり,「コロナウイルスの感染拡大を防ぐために小学校等を休業するよう首相が要請したため出勤できなくなった」は後者である.この後者の場合,首相がお願いしようが何をしようが雇用主はAさんの休みを有給にする筋合いはないのである.
 さてこの原則には例外があって,それが年次有給休暇である.ただしこれは雇用された労働者の自明な権利ではなく,長い年月にわたる歴史的経緯があって法的に認められたものである.子供の面倒をみるために保護者が休み (繰り返すが本来は欠勤として扱われる) をとらねばならない時,これを有給にすることは首相の思いつきで簡単にはできないことなのである.ただし,その保護者と雇用主との間に結ばれている合法な雇用契約において年次有給休暇以外の有給休暇を定めることは可能だ.要するに雇用契約が優先するので,首相の要請で欠勤を有給化することはできないのである.
 もう一度Aさんの例について考えてみよう.A (月例賃金25万円) さんの雇用主が政府の助成金 (一日当たり8,330円 ) を受け取ってAさんに有給休暇 (本来は欠勤として無給である) を与えたとする.すると,その穴埋めに同僚たちが残業を強いられる.雇用主はその同僚たちの残業代を負担しなければならなくなる.Aさんは損をしていないが,雇用主は赤字である.一日や二日のことならともかく,Aさんの休みが数週間にも及ぶと,雇用主は,雇用契約に反してAさんよりかなり不利な立場に置かれるのだ.
 実際,私があるテレビの情報番組を観ていたら「会社に,政府の助成金をもらって,私を休ませてくださいと言ったら,赤字になるからダメだと断られました」とインタビューに答えた女性がいた.
 実はその会社は正しいことを言っているのである.その会社が赤字にならないようにするには,会社にも一日あたり8,330円 (同僚たちの残業代合計) を政府が支払うことにすれば,会社と従業員の双方にとってだいたいトントンになる勘定だ.
 助成金を16,660円として,そのうちの8,330円をAさんに雇用主が支払うという制度であれば,中小企業の雇用主はAさんに特別な有給休暇を与えるかも知れないが,今般の助成金制度では雇用主は利用しないだろう.私が上に「この助成金制度はいかにももっともらしいが,実はここに落とし穴がある」と書いたのはこのことだ.この助成金制度は実は画餅なのである.すなわち小学生の子供を持つ保護者で,今回の助成金制度の恩恵に浴することができるのは少数であると考えられる.元々から従業員に手厚い賃金制度を有する大企業は,今回の助成金制度を利用するだろうが,経営体力があまりない中小企業が利用するには無理があるからだ.
 
 このように今回の「新型コロナウイルス感染症による小学校等休業対応助成金」制度が絵に描いた餅になってしまったのは,首相と今井首相補佐官の思い付きを強行したからである.制度というものは時間をかけて緻密な検討を必要とするが,それをしないからこんなことになる.
 首相が学校の一斉休業を発表する当日になって,ようやくその内容を知らされた萩生田文科相は,保護者の収入減補償をどうするのかと抵抗したと伝えられる.当事者である萩生田文科相と文科省の官僚が反対するのは当然だが,首相と今井補佐官は反対を押し切った.その結果が,この杜撰な画餅の助成金制度である.
 このブログ記事は,蓮舫議員の自派会合における「ふざけるな」発言から書き始めた.
 その発言からわかるのは,蓮舫議員が労働法と労働行政の実際を全く理解していないことである.それを示しているのが彼女の発言《多様な働き方、それでもこうした時の給付金は、旧態依然とした事業主と正社員を基軸に考えている 》である.しかし逆説的だが,むしろ労働法と労働行政の実際をきちんと踏まえて「旧態依然とした事業主と正社員を基軸に考え」ていれば,こんな杜撰な画餅の制度にはならなかったのである.
 蓮舫議員という人は勉強が嫌いで,上っ面の知識で物を言う.無知をさらけ出した例の「二位じゃだめなんでしょうか」発言もそうだった.今回の助成金制度でも,自分は会社に勤めた経験がないのだからちゃんと勉強してから発言すべきであった.この人はこれからも「政策」を作れない政治家として世の中を渡って行くのだろう.お気楽な人生ではある.
 余談だが,勉強嫌いという点では蓮舫議員並みの,会社員の神経を逆なでした男がいる.日本音楽家ユニオン代表運営委員の土屋学氏だ.
 下の画像は日テレ《Oha!4 NEWS LIVE》が報道した「新型コロナ感染症に係るフリーランス支援についての記者会見」(3/12) での土屋氏の発言である.
 
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 土屋氏はこう言った.
もし4時間演奏したら我々は3万2000円もらえるはずなんですけど,それが4100円というのはありえないじゃないかと,普通の労働者並みにやっていただけることがベストなんじゃないか
 四時間働いて32,000円もらえるとすれば,会社員と同じ働き方をすると一日に64,000円になる.雇用された労働者の月例賃金にすると月収192万円という計算になる.大企業の役員並みの収入だ.そんなに高収入だったら政府から支援金なんかもらわずに,子供の面倒をみてくれる人を雇って自分は働けばいいのだ.
 だが実は,土屋氏はここでインチキをやっている.四時間で32,000円つまり一時間あたり8,000円というのは委託業務遂行報酬の単価に過ぎない.土屋氏はこれを委託業務遂行報酬額にすり代えているのだ.会社員ならすぐわかるそんなウソをついてまで音楽家は政府のカネがもらいたいか.カネ欲しさにウソをつくな.日本音楽家ユニオンには,正直に生きる人間の矜持というものがないのか.
 日テレのこの番組では,子育てしながら講演などのフリーランスで働く女性 (下の写真) が取材に応じた.この女性は《休業補償はあてにせず,子供を預けて働くことにします 》と語った.土屋氏とは正反対の,これぞフリーランスの鑑である.
 
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「新型コロナ感染症に係るフリーランス支援についての記者会見」(3/12) のことは,AERAdot.が《「なぜフリーは半額の4100円なのか」西田敏行理事長の日本俳優連合などが怒りの声》[掲載日 2020/03/20 17:55] を載せている.
 この記事の中で,日本俳優連合国際事業部長というものものしい肩書の森崎めぐみ氏は次のように語っている.
 
「『4100円』は、休業補償の額としてありえません。同じ労働者でも、雇用形態によってなぜ金額に差があるのか。明確な説明をしてほしい」》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 この人もウソつきである.フリーランス (個人事業主) は自営業であり,雇用されていない.労働者とは「事業主に雇用されて使用され,賃金を支払われる者」をいう.フリーランスは自分自身が事業主だから労働者には該当しないのである.森崎めぐみ氏のように,いくら美人でもカネのことでウソをついてはいけない.
 フリーランス協会 (一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会) 代表理事の平田麻莉さんは,NHK NEWS WEB《フリーランスへの休業支援 1日4100円で調整 政府》[掲載日 2020年3月10日 14:59] の中で,《自営業に休業や補償の概念がなじまないことは承知している》とした上で,しかし国の政策のために収入が減った自営業者には《経済的な支援が必要だと思います 》と話しているが,これこそが正しい意見である.
 新型コロナ感染症の影響で客が激減した街の食堂にも,音楽家にも俳優にも,経済的支援が必要である.しかしそれは事業主に雇用されている人に対する支援とは,法的に切り分けて考えなければならない.そうしないと,個人事業主も労働者だと言い張って,無意味な待遇比較論を行う者が出てきてしまうのである.
 
〈資料〉フリーランス向けの支援は「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金 (委託を受けて個人で仕事をする方向け) 支給要領」を参照.






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