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2020年3月20日 (金)

専門家会議の提言 /工事中

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が示した前回の見解 (《新型コロナウイルス感染症対策の見解》) は,末尾に次のように記した.
 
全国の若者の皆さんへのお願い
10代、20代、30代の皆さん。
若者世代は、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは低いです。
でも、このウイルスの特徴のせいで、こうした症状の軽い人が、重症化するリスクの高い人に感染を広めてしまう可能性があります。
皆さんが、人が集まる風通しが悪い場所を避けるだけで、多くの人々の重症化を食い止め、命を救えます。
 
 これに対して私は記事《若者にとって迷惑な高齢者》で次のように書いた.
 
これは明らかに見当違いである.専門家会議は,何よりもまず,重症化リスクの高い高齢者に行動の自制を求めるべきである.
 
 私のこの意見について,その後のことを以下に記す. 
 昨夜 (3/19 23時頃),前回の記者会見で予告した通り,専門家会議は《新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言》(2020年3月19日) をまとめて発表した.
 しかしテレビの報道番組によれば,会議中,委員間で大きな対立が生じたという.そのため「提言」の発表は予定時刻から大幅に遅れて始まった.
 ついでに書くと,専門家会議の構成は以下の通り.
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座長  脇田隆字  国立感染症研究所所長
副座長 尾身茂   独立行政法人地域医療機能推進機構理事長
構成員 岡部信彦  川崎市健康安全研究所所長
    押谷仁   東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授
    釜萢敏   公益社団法人日本医師会常任理事
    河岡義裕  東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長
    川名明彦  防衛医科大学内科学講座(感染症・呼吸器)教授
    鈴木基   国立感染症研究所感染症疫学センター長
    舘田一博  東邦大学微生物・感染症学講座教授
    中山ひとみ 霞ヶ関総合法律事務所弁護士
    武藤香織  東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授
    吉田正樹  東京慈恵会医科大学感染症制御科教授
――――――――――――――――――――――――――――――――
(上表の註記)
★岡部信彦氏は,国立予防衛生研究所が国立感染症研究所に改称した時に新設された感染症情報センター室長に就任.WHO西太平洋地域事務局,感染症情報センターセンター長を歴任して現職.新型インフルエンザ (2009年) の専門家会議の議長を務めた.
 安部首相と今井尚哉首相補佐官の二人は,専門家会議も菅官房長官も端から無視し,保護者の休業補償をどうするのかと食い下がる萩生田文科相の反対(*) をも押し切って全国一斉学校休校を独断専行した (西日本新聞《首相独断、官邸に亀裂 一斉休校要請 菅氏らに不信?決定から除外》[掲載日 2020/2/29 6:00]) が,岡部氏はこれを公然と批判(**) している.
 (*) の資料;朝日新聞DIGITAL《臨時休校要請、首相「独断」に腹心の影 菅氏ら置き去り》[掲載日 2020年2月28日 22:28]
 (**) の資料;DIAMOND online《学校休校は専門家会議「完全スルー」で決まった、社会不安を生みかねない》[掲載日 2020年3月3日 5:22]
 岡部氏はまた,2012年施行の改正前の特措法制定に向けて議論をまとめた立場から,新型インフルエンザ改正新型インフルエンザ等対策特別措置法にも反対の立場を表明している.(朝日新聞DIGITAL《「コロナ、そこまでのものか」専門家会議メンバーの真意》[掲載日 2020年3月18日 17:00])
 この朝日の記事で岡部氏は次のように述べている.
新型コロナはそこまでのものではないと考えているからです。新型インフル等特措法に『等(とう)』を入れることには私も強く賛成しました。新型インフルだけでなく、新しくて重症で広がりやすい病気の場合にも、応用として使えるようにしておいた方がいいと考えたからです。しかし、そこで想定した新感染症は、感染症法での1類感染症(エボラ出血熱など)並みの極めて危険なものです。緊急事態宣言を出せば、私権制限などで対策の幅が広がる半面、社会の日常的な活動を止めてしまうと副作用も大きくなります。致死率が5%、10%を超える1類感染症並みであればやむを得ませんが、新型コロナは指定感染症で2類相当とされました
 大雑把にいうと岡部氏の意見は「新型コロナ感染症は指定感染症2類相当の,あまり危険ではない感染症である」との主張である.
 だが本当にそうか.下表は3月20日現在の全感染者数,全死者数,致死率をまとめたものである.(出典は worldometer)
 これを見ると,ドイツ,USA,韓国は新型コロナ感染症をよく防御していることがわかる.しかし日本は,パンデミック本家本元の中国,および今やWHOにパンデミックの中心地であると指摘されたヨーロッパの中で,「ウイルスと戦争状態にある」と宣言したフランス,女王が国民に声明を発して奮起を促した英国と同列なのである.
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Country  Total Cases  Total Deaths  Mortality Rate
China    80,967     3,248      4.0%
Italy    47,021     4,032      8.5%
Spain    20,412     1,044      5.1%
Germany   19,848       59      0.3%
Iran     19,644     1,433      7.3%
USA     16,913      230      1.4%
France    12,612      450      3.6%
S. Korea   8,652       94      1.1%
UK      3,983      177      4.4%
Japan      963       33      3.4%
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 この表をメディアが提示すると,「新型コロナ感染症は危険ではない」派の人々は「感染者数が少ないから見かけ上の致死率が高くなっている」と言うのが常である.
 しかし本当にそうか.感染者が増えれば必然的に死亡者数は比例して増加し,致死率はやはり3%台になると考えるのが論理というものである.
 あるいは「軽症者は検査対象から外しているから致死率が高い」と言う人もいる.それならば,なぜ軽症者を検査しない? 世界のデータと比較できないそんなガラパゴス的データがなんの役に立つ?
 さらには,検査を拒絶され,新型コロナ感染症にカウントされずに死んでいった多数の肺炎患者がいるのではないかと考える人もいる.(ただしこれは日本医師会が否定している)
 なにゆえに頑なに厚労省は検査を拒むのか.それが国民の大きな疑問である.が,ここではその問題はさて置いて先に進む.
★釜萢敏氏は日本医科大学卒業.1988年開業.高崎市医師会理事,高崎市医師会副会長,高崎市医師会会長,群馬県医師会参与を経て2014年に日本医師会常任理事.《「新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を巡る不適切事例」の調査結果について》を取りまとめた.この調査結果に次のようにある.
本調査は、医師がPCR検査を必要と判断したにもかかわらず、検査に結び付かなかった不適切と考えられる事例が生じていることを受けて、2月26日から3月13日まで、都道府県医師会の協力を得て実施していたもので、最終的には3月16日正午現在の報告数が取りまとめられた。
 不適切事例として報告されたのは、26医師会から290件で、大阪47件、東京36件、兵庫27件、埼玉20件、熊本15件などとなっている。
 同常任理事は、「内容については十分検討が必要だが、各地域でPCR検査を実施する余力がなかったことが今回の不適切事例の背景にある。しかし、この問題については今後改善する」との見方を示した。
 また、新型コロナウイルスに関する「帰国者・接触者相談センター」への相談件数(2月1日~3月13日)が全国で184,533件あり、そのうち「帰国者・接触者外来」の受診につながったのは7,861人、PCR検査の実施に至ったのは5,734件であったことを報告。「相談から検査につながったのは3.1%であり、やはりこの数は少ない」と指摘。

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