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2020年3月18日 (水)

アクティブシニア

 産経新聞が《「ウイルスばらまく」と外食の50代男性が死亡 愛知・蒲郡》(掲載日 2020/03/18 15:35) を報じた.
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 産経のこの記事によれば,新型コロナウイルス感染が判明した後に「ウイルスをばらまいてやる」と暴言を吐いて飲食店をハシゴし,フィリピンパブの接客女性を感染させて世間の憤激を買った男 (愛知県蒲郡市,五十七歳) が死んだという.週刊誌によればこの男は「シャブ」がどうのこうのと日頃から公言していたという.「ウイルスをばらまく」を有言即実行した異常性からして,こいつがシャブ中方面のかただったというのは,さもありなんと思われる.
 テレビ等の報道によれば,名古屋市内で発生している新型コロナウイルスの二つのクラスター (小規模な感染集団) について,愛知県の大村秀章知事は一昨日 (3/16) の定例記者会見で,最初に発生したスポーツジムを舞台にしたクラスターはほぼ収束に近いと語った.
 下の画像は,テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』の画面を撮影したものである (3/16).このいわゆる「スポーツジムルート」の感染者数はこれ以上増加していないと聞くが,死んだウイルスばらまきシャブ男はこの絵の右端に描かれている.
  
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 上の画像から,感染者を年代別に集計したのが下の表である.
――――――――――――
     男性  女性
20代        1
30代    1    1
40代        3
50代    3    2
60代    10    5
70代    5    6
80代    2
――――――――――――
 感染ルート図を見ると明らかであるが,感染拡大に大きな役割を果たしたのは女性である.
 最初の一人はハワイ旅行で夫婦共に感染した60代女性(a)で,図の最上段に描かれている.この夫婦の妻がいわゆるアクティブシニア (総務省「変わる高齢者像 -アクティブシニアの出現-」) で,スポーツジム経路クラスターにおける一人目のスーパースプレッダーである.
 まずこの女性は,ジムとは別のルートで60代男性三人を感染させた.次にAジムで十人を感染させた.この十人のうち二人は家族に感染させた.
 また十人のうちの70代女性(b)は知人の70代女性(c)と食事を共にして,これを感染させた.一緒に食事しただけで感染させたというのが凄い.しゃべりまくることを「口角泡を飛ばす」というが,どんだけ飛沫を飛ばしたのか考えるだに恐ろしい.このルートで合計八人が感染したが,その中にシャブ中男がいたのは既に述べた.
 注目すべきはAジム感染者のうちの50代女性(d)である.この女性はAジムで五人,Bジムで四人,Cジムで一人を感染させた.スポーツジム経路における二人目のスーパースプレッダーである.
 スポーツジム会員の男性諸氏には納得いただけるかと思うが,高齢男性の場合,普通は一つの総合スポーツクラブに入会する.筋トレでも有酸素でも水泳でも,色々なことができるからだ.ストイックなトレーニングをする人は単一目的のジムひとつの会員になるようだ.私は君子危うきに近寄らずの教えに従って今は筋トレ目的のジムを退会したが,そのジムでは,私だけでなく他の会員も私語をすることなく黙々とトレーニングに励んでいた.
 ところが中年から高齢の女性の場合,目的がトレーニングではなく,社交であることが多々ある.彼女らは全く体を動かすことなく延々とおしゃべりを続けている.私が入っていたジムでは,男性会員から運営側に「女性会員のやりたい放題をなんとかしてほしい」とクレームがつくのだが,スタッフは自分の祖母のような女性たちに意見することができない.かくて昼間のジムはサロンと化す.スポーツクラブには必ず浴室があるが,そこにしか来ない「お風呂会員」という特殊な人たちもいると聞いたことがある.
 このように目的が社交である場合は,複数のジムやスポーツクラブの会員になることが可能だ.トレーニングしないから,毎日ジムに通っても疲れない.そりゃそうだ.スポーツジムルートにおける二人目のスーパースプレッダーの50代女性は,その種の会員だったと私は邪推する.三つのジムの会員ということは,会費が三倍かかるわけで,かなり裕福な人だったのだろう.
 閑話休題.NEWSポストセブンの《コロナ騒動でアクティブ叩き 年長者を敬う価値観が崩壊か》[掲載日 2020/03/16 16:00] を読んで頷くところが多かった.記事の書き出しはこうだ.
 
ここ数年、目にするようになった「アクティブシニア」という言葉がある。高齢者のなかでも、特に2007年以降に定年を迎えた団塊の世代を指すことが多い。ステレオタイプな高齢者の趣味にとどまらず消費欲が旺盛なその世代は、新型コロナウイルスの感染が目立つ世代でもある。コロナ騒動によって「アクティブ●●●」がネガティブな意味に変化し、背景にあったはずの価値観も壊れつつある様子について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が解説する。
 
 中川は次のように書く.
 
コロナ騒動でネットでしきりと書かれるようになった言葉が「アクティブ」だ。これに「ジジイ」と「ババア」を組み合わせる。高齢者が発熱したり咳が出るというのに外で活動し、その後陽性と判明した時に使われる。
 
 毎日,夜のテレビニュースで各都道府県における新規感染者が報道される.昼間の情報番組では必ず,各都道府県別に合計の感染者数が図示されるが,性別のデータは公表されていない (丹念に自治体発表を調査すればわかるが) ものの,年齢階級別の感染者数は厚労省が集計している.下図は,厚労省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向」の3/20更新版から引用した.
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 日本では,新型コロナウイルスのPCR検査は法に基づく行政検査として公共機関 (国立感染研,各地衛生研究所および大学等) で行われる.検査の窓口 (以前は保健所であったが,現在は新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター) の検査受け入れが,なぜか国が定めた基準 (厚労省通知「新型コロナウイルス感染症に関する行政検査について」) よりもハードルが高く判定されるため,検査可能数を下回る実績となっている.すなわち国の基準では医師が「検査が必要」だと判断すれば検査が行われることになっているが,実際には拒絶される例が多い.日本医師会がその実態を調査集計して「不適切な例」として公表したが,テレビ報道 (テレビ朝日《ワイドスクランブル》等) によれば,公表後も実態は変わっていないようである.
 従って上に示した棒グラフは,実際に検査に漕ぎ着けた場合の感染者集計であって,真の感染状況を示しているわけではない.
 そのようなバイアスが掛かっている点には注意が必要だが,上のグラフは,必ずしも高齢者が感染者の中心年齢階級ではなく,幅広い分布を示している.
 朝は混んだ通勤電車に乗って出勤し,晩まで仕事をして人との接触が多い勤労者世代,つまり40代,50代そして60代前半が感染者の中心であることは当然のことと納得できる.しかし勤労者は少ないはずの70代以上のいわゆるアクティブシニアは,自治体による感染者の状況説明でヒンシュクを買うことが多いのは確かだ.中川淳一郎はこう書いている.
 
5ちゃんねるでは「行田の60代感染女性 池袋のライブハウスに来場、スポーツクラブでダンス、三味線教室に参加、赤十字病院にも訪れる」というスレッドに「アクティブ」と多数書き込まれた。
用例としては「アクティブにも程がある」「どんだけアクティブなんだよババアwww」などだ。
確かにこの女性はアクティブだ。下痢の症状が見られた翌日にライブハウスへ行き、その翌日から2日連続でジムでダンスなどをし、2日目は公民館の三味線教室にも行っている。5日後にまたジムへ行き、90代の母親を連れて2回赤十字病院にも行っている。
 ほかにも「ハワイから帰国した愛知の60代女性が感染、ジムで接触した70代男性も感染」「千葉の70代女性が高熱のまま空路で富山へ。以後、富山、岐阜へのバス旅行完遂」「静岡の60代男性がクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号から下船後にジム2回利用も虚偽申告」「神奈川の70代男性は発熱後にジムを5回利用し濃厚接触者1406人」などがある。これには「楽しそうな人生だなあ」などと書かれる。
「高齢者は充分人生を謳歌したのだからあまりもう迷惑かけるな」的価値観を抱く若者・中年が今回は不満を爆発させている状況にある。昨年「上級国民」と大批判された池袋暴走事故の加害者・飯塚幸三元院長(88)も妻と一緒にフレンチを食べに行くために車を運転し、事故を起こした。これもアクティブと解釈される。
 
 中川がネットから拾って書いている例では,ダイヤモンド・プリンセスから下船した静岡市の男性乗客が,保健所に嘘をつくという極めて悪質な男であった.が,悪質例はこれにとどまらない.日テレNEWS24《埼玉で感染の女性 旅行中に熱も無申告で検疫通過》[掲載日 2020/03/18 22:11] 他によれば,北欧ツアー中に発症した埼玉県志木市の60代女性は,帰国時の成田空港で病状を申告せずに検疫をすり抜けた.この女性は帰宅してから病状が悪化したため検査を受け,陽性であることが確認された.70代の夫も症状がみられるという.
 埼玉県知事は記者会見して遺憾の意を表明し,このような検疫すり抜けに対しては対策を国にお願いしたいと述べた.
 この夫婦は,検疫時にはおそらく解熱剤で偽装工作をしたと思われ,悪質アクティブシニアの最高峰であるとしていいだろう.検疫をすり抜ければどうにかなるという思考が信じがたいほどの頭の悪さ (当然,どうにもならないのだ) を示しているが,このような年寄たちの身勝手が,若者たちの怒りをかき立てるのだ.
 
 ダイヤモンド・プリンセスのついでに言うと,船内での検疫が遅々として進まない頃,日テレ《スッキリ》でMCの加藤浩次が船内の高齢の女性乗客に電話でインタビューをした.彼女は「船が接岸している桟橋に臨時の医療設備を作ってほしい」と言った.彼女が言うには「わたしは重い持病があるので,こんな状態で船に乗せられていたら,コロナの前に持病で死んじゃう」とのことだった.加藤浩次は「みなさんの大変なご苦労はお察しします」旨のことを,なぜか最大限の敬語で受け答えしていたが,私がMCなら「そんな重病なのになんでクルーズを?」と言う.彼女みたいに頭の悪さ丸出しのことを言うから年寄は若者に嫌われるのだ.
 
 頭が悪いということのついでに言うと,東京五輪の聖火がギリシャから日本に到着した記念の式典で大会組織委員会の森喜朗会長が「宮城県」を「ミヤザキケン」,「石巻市」を「イシマキシ」と言った.森会長は現役政治家時代からバカ丸出しだったが,スポニチが報じたところによれば,先月 (2/21) 東京五輪・パラリンピックの日本選手団が着用するオフィシャルスポーツウエアの発表会が都内で行われた際に,「私はマスクをしないで最後まで頑張ろうと思っている」と述べた.もはや常人の手の届かない境地に達しているらしい.
  
 さて週刊誌等の記事によれば,団塊世代以上の高齢者は「逃げ切り世代」と呼ばれる.これより下の50代は「逃げ切れるかどうかあぶない」という.厚生年金や共済年金は,要らなければ給付を辞退できるのだが,余程の金持ち以外は受給しているだろう.だがその年金は現役勤労世代が負担しているのだ.私もありがたく頂戴しているが,だからこそ若い人たちに迷惑をかけたり恨まれたりせぬように余生を生きたいと思うのである.

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