消毒用エタノールの代替品
私の行動範囲では,除菌性能を有するハンドソープや消毒用エタノールがドラッグストアから姿を消して暫く経った.Amazon等の通販でも,妥当な価格で販売する通常の販売者ではなく,あくどい転売屋が高額で出品しているのが現状だ.
そのような事態だが,まだ店頭で比較的手に入りやすい消毒剤がある.キッチン用のエタノール製剤である.
例えばジョンソン株式会社の「カビキラー アルコール除菌 キッチン用」は,なんとか手指の消毒に使える.
ある人がジョンソン社に問い合わせたところ《「カビキラー アルコール除菌 キッチン用」のエタノール濃度を尋ねると、すぐに「60%以下、ですね」と回答がありました 》 だとのことである.(引用元は《キッチン用アルコール除菌スプレーの濃度をメーカーに確認してみました》)
この人の書いていることは正しい.というのは,「カビキラー アルコール除菌 キッチン用」が表示ラベルおよび公式サイトにおいて標榜している「高濃度アルコール」は,厳密な定義ではないが,一般にサニタリー商品のジャンルでは,エタノールがバクテリアに対して強い除菌力を示す40%v/v以上の濃度を意味する.おそらくこの製品のエタノール濃度は50%v/v前後と思われる.
ちなみに低濃度は20%v/v以下,中濃度は20~40%v/vとすることが多い.中低濃度のエタノールでも,長時間を要するが,徐々に除菌することができる.
「カビキラー アルコール除菌 キッチン用」はバクテリアだけでなくエンベロープ型のウイルスにも効力を有することが期待されるが,本来の用途が俎板や包丁等の調理器具,あるいは冷蔵庫内部やシンクなどの除菌であるから,表示されている成分は以下の通りである.
《発酵エタノール,クエン酸ナトリウム,乳酸,精製水 》
「発酵エタノール」は,糖質やでんぷんを原料にして製造したという意味で,特にそれ以上の意味はない.クエン酸ナトリウムと乳酸は,pHを酸性にするために添加されている助剤である.他社製には同じ目的で,リン酸やフィチン酸を用いた製品もある.精製水はエタノール濃度の調整に使用されたものである.
酸性にすると除菌能力が向上するが,皮膚に対する刺激性は高くなるので注意が必要だ.
使い方は次のようにする.
* 手に噴霧して,手指を万遍なく濡らす.
* ただちに水道水で洗い流す.キッチン用に開発された酸性除菌剤を手指の消毒に使おうというのだから,乱暴ではある.以下の水洗いと石鹸洗いを怠ると,もれなく肌荒れする.
* 浴用石鹸で二度洗いする.酸性の助剤を除くためにも普通の浴用石鹸が適している.
* よくすすいで,水を紙等でふき取り,ハンドクリームを塗る.これを怠ると肌荒れする.
そもそも,のことになるが,エタノールに敏感な人は,たとえ酸性添加物を含まない「薬局方消毒用エタノール」であっても,手指をエタノールで除菌してはいけない.手に少量を噴霧して皮膚への強い刺激がないことを確認してから実行しなくてはいけない.
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