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2020年2月13日 (木)

チコと鮫

 逃がした魚は大きい,という話とは少し違うが,見逃した映画はいつまでも忘れられない.
 私の場合の例の一つは『大砂塵』だ.昭和29年 (1954年) 公開だから,もちろん1950年生まれの私はリアルタイムでは観ていない.
 Wikipedia【大砂塵】から引用すると次のようだ.
 
『大砂塵』(だいさじん、原題・英語: Johnny Guitar) は、1954年 (昭和29年) 製作のアメリカの西部劇。原作はロイ・チャンスラーの小説、製作会社は西部劇を専門にしていたリパブリック・ピクチャーズである。
原題のジョニー・ギターとは放浪する主人公 (スターリング・ヘイドン) の名前だが、彼を巡る二人の女性が実質的な主人公であり、女性同士の決闘が公開当時話題となった。また、ペギー・リーが歌った主題歌『ジャニー・ギター』も世界的なヒット曲となっている。
 
 映画の役柄の場合は《ジョニー・ギター 》で,主題歌は《ジャニー・ギター 》と書き分けているところが,この記述の工夫だろう.
 私が中学生の頃,ケン田島さんという人がいた.TBSラジオの電話リクエスト番組のDJで,この種の音楽番組司会者の草分けの一人だった.この人は英国生まれのバイリンガルで,しかも声が落ち着いた低音であり,中学生の私にはとてもきれいな英語の発音だと思われた.
 ある夜の放送でケン田島さんはJohnnyの二通りの発音をしてみせた.そしてペギー・リーの歌のことを言う場合は片仮名で書くと「ジャニー」の方がそれらしく聞こえますと言った.ついでに当時の人気歌手Joanie Sommersの名を発音して,「女性の名の場合はJohnnyと同じ発音をしてはいけません」とも言ったのを記憶している.他局の日本人DJたちはJohnnyもJoanieも一緒くたにしていた時代であったが.
 それはともかく,一昨年,長らく絶版になっていた『大砂塵』のディスクが発売され,私はようやくこの映画を観ることができたのだった.今の高齢者で『ジャニー・ギター』を聴いてよく知っている人でも,『大砂塵』は未見の人が多いのではなかろうか.水を差すようだが,『大砂塵』は大した作品ではなかったと付け加えておきたい.
 
 さて,未見の作品がもう一つある.いや,あった.それが『チコと鮫』だ.これも一昨年の発売だが,私はついぞ気が付かなかった.つい数日前にディスクがあることを知って,Amazonに注文した.
 これは絶版になっていたのではなく,そもそも今回が初めてのディスク化らしい.注文したものが昨日配達されたので,早速鑑賞してみる.
 ところで『チコと鮫』は主題曲も超有名だ.サウンド・トラックはこれ.ところがこの曲はConnie Francisがカバーした“ My Happiness ” に似ていることでも有名なのだ.(YouTubeはこれWikipediaはこれ;サウンド・トラックよりも《不朽の名作 ~ チコと鮫 ~ 》のほうがわかりやすい)
 でも誰もこのことを突っ込まない.誰もこのことで映画『チコと鮫』を傷つけたくないんだろうと思う.
 さらには,伊藤アイコという昔々のマイナー歌手の「チコと鮫」という歌 (1963年リリース) があって,これはオリジナルが誰なんだか全く不明なカバーなのだが,しかし彼女の歌は不思議なことに高齢者の一部に根強い支持があるようなのだ.そして私も彼女の歌唱に郷愁みたいなものを持っている.そこで彼女がどうなったのか調べてみたら,《伊藤アイコさんについて》を発見した.いやあ,こういう記事を上げてくれるかたには,ただもう感謝するしかない.

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