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2020年1月28日 (火)

大根飯

 この正月に娘夫婦がやってきて,お年賀ですといって「アコメヤの出汁と味噌汁の詰合せ」を持ってきた.オリジナル商品の「アコメヤの出汁5種セット 謹製箱付き」にフリーズドライの味噌汁をアソートしたものだ.
 私はこれまで利用したことはないが,アコメヤはちょいと人気があるらしい. 私んちの近くでは,大船駅の駅ナカに店舗がある.

 
 話は横に逸れるが,数あるテレビ番組の中でもぶっちぎりにゲスだと評判なのがTBSの『ぶっこみジャパニーズ』だ.この番組は過去の放送ではヤラセが発覚したこともあって,ネット上の評判は非常に悪い.
 私は昨年末の放送「第14弾」をたまたま初めて視聴したのだが,番組の趣旨は,海外の「ダメダメなニセジャパン」に日本人が正体を隠して潜入し,「成敗」してくれようぞ,というものらしい.
 ちなみに「成敗」は,以下のように,これまでの番組タイトルに使われてきた表現である.
* ぶっこみジャパニーズ第13弾【世界のニセ和食&温泉旅館をドッキリ成敗の嵐SP】
* ぶっこみジャパニーズ第12弾【ISSA爆笑ドッキリ!世界のニセJAPANドッキリ成敗】
* ぶっこみジャパニーズ第11弾【現代の水戸黄門!ニセ和食をドッキリ成敗スッキリSP】
* ぶっこみジャパニーズ第10弾【世界のニセ寿司&剣道をドッキリ成敗SP】
* ぶっこみジャパニーズ第 9弾【世界のニセ寿司&空手&アニソンをドッキリ成敗SP】
* ぶっこみジャパニーズ第 8弾【世界のニセ寿司&歌舞伎&剣道をドッキリ成敗SP】

 
 第14弾の番組公式サイトのスクリーン・ショットを下に引用掲載する.
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 あまりにもゲスなので内容を紹介するのも嫌になるが,「第14弾」の中身を端折って書くと,有馬温泉「天地の宿 奥の細道」の館主である大田忠道という料理人が,ペルーのクスコの繁華街にある日本食レストラン「AKATSUKA」と「ITAMAE」に潜入し,それらのレストランの料理人を《ドッキリ指導》する,すなわち侮辱し懲らしめるというものだ.
 で,番組の冒頭にその大田忠道という男が登場し,出汁について講釈を垂れた.その蘊蓄によると,こいつの旅館で出す味噌汁は,昆布と鰹節で出汁を引いたもの (=昆布と鰹の合わせ出汁) だと言う.そして「出汁というものは,こうでなければいけない」という趣旨のことを言った.馬鹿かこいつは.そんなことは場合によりけりに決まっておる.
 例えば関ケ原から東では,蕎麦屋は昆布出汁は使わないものと決まっている.あるいは前の晩から鍋の水に煮干しを浸しておいて,朝に煮立てて味噌汁にするのは昭和庶民の定番の朝飯だった.また,アゴの出汁をよく使う地方があるかと思えば,椎茸などの茸を好んで使う土地もある.さらに言えば,具沢山の汁なら特に出汁を引いて使わなくてもおいしい.このように「出汁」には,日本各地の土地柄とそこに住む人々によって幅広い多様性がある.
 ところが黄綬褒章と瑞宝単光章を受章したゲス男の大田忠道は「出汁というものは,かくかくしかじかでなければいけない」という教条主義者で,そのな教条に従わぬ者は「成敗」してもいいのだという傲慢な信念を持っている.そのくせ,第14弾で海外の日本食レストランを「成敗」しに行ったときは,大田はラグビー選手のコスプレをしていた.これはどのような信念に基づくものなのか,全く意味不明な服装で,頭がおかしいとしか思えぬ.まことにもって恥さらしである.
 
 話を元に戻すと,娘夫婦にもらった「アコメヤの出汁5種セット」のことだった. 出汁を取る食材には様々なものがあるから,この種の「出汁セット」は,贈答食料品としてちょっと気が利いている.普段使いの食材としてはお安くないが,日々の料理ごとに出汁を変えて楽しめる.
「アコメヤの出汁」の使い方は簡単で,鍋に水を入れ,ティーバッグのような袋に入っている出汁の材料を,袋ごと放りこんで煮立てればよい.袋の中身は単味ではなく,数種の素材が調合されているせいか,まろやかでなかなかおいしい.
 セットは焼きあご出汁,鰹出汁,煮干し出汁,野菜出汁,鶏節出汁の詰合せだが,煮干し出汁を何に使おうかと考えて,大根飯を思いついた.私はいつも,炊き込み御飯には醤油だけで味を付けるのだが,淡白な大根を炊きこむ場合は,出汁で旨味を加えるのがよいかと思ったのである.
 
[材料]
無洗米         二合
大根          1.5センチ角の賽の目に切ったものを汁椀に山盛り二杯ほど
アコメヤの煮干し出汁  一袋
水           500ミリリットル
白醤油         大さじ二杯
[作り方]
* 鍋に水と煮干し出汁のバッグを入れ,火にかける.沸騰したら静かに煮立てること三分間.
* 出汁バッグを取り除き,大根を出汁に入れて煮る.大根が透明に煮えたら,大根だけ別の容器に移す.大根をひとつ取って味見をすると,おいしい味が付いていることがわかる.出汁は荒熱を取る.
* 炊飯器に米を入れ,白醤油と出汁で水加減をする.出汁は大根を煮たときに目減りするので,米二合にちょうどよい量になっている.
* 一時間放置したら炊飯し,炊き上がったら釜に大根を入れ,ざっと混ぜてフタをして暫く置く.大根が温まったら出来上がり.
[感想]
 ネット上にあるレシピでは「大根を最初から炊飯器に入れて炊く」としているものがあるが,これだと大根がグズグズに柔らかくなる.私は大根の食感が残っているほうが好ましいと思うので,煮た大根をあとから加えた.まあ,これは好き好きだが.
 下の写真の大根飯のおかずは鎌倉の井上蒲鉾の小判揚げと,ちりめん山椒にしたが,これは実にしみじみと旨かった.
 そもそも現代の私たちが知っている大根飯は炊き込み御飯の一種であり,Wikipedia【かて飯】には次のように書かれている.
 

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大根飯
かて飯のなかでも、大根飯は日本全国で食べられたものである。作り方には地域差があり、前日のうちに大根をさいの目に切り軽く茹で水にさらしておき、翌日米と混ぜて炊く方法や、飯が炊けてから入れて蒸らす方法、麦飯が煮立ったら大根の千切りを入れて炊く方法などがある。東北地方の山村では大根飯が日常的に食されていたため、各家庭では大根を手早く刻むための裁断機「かて切り」を所有していた。野菜類のかて飯には、ほかに蕪葉、ごぼう、にんじんなどを入れるが、食料が不足した場合にはアカザやウコギなど野草類も入れる。
日本海に面し背後から山が迫っている富山県氷見灘浦は、耕地が少なく農業より漁業が盛んな土地柄で、毎日食べるのは白米のご飯だが、冷ご飯を温めるとき大根飯にする。大根を細く切って鍋に敷きその上にご飯と味噌をのせて蓋をする。火が通ってジュウジュウと音がしたら鍋を下ろし、よく混ぜてから食す。大根のかわりに茹でて細かく切った大根葉や、菜っぱを入れ菜飯にすることもある。

 
 上の記述の大根飯は,大根で増量した炊き込み御飯であるが,しかし戦時中や終戦直後の食糧難時代にはさらに米の分量が少なくて,大根を入れた粥,あるいは雑炊であったようだ.
 大根,南瓜,さつま芋を炊き込んだ麦飯,あるいは雑炊.私たち団塊世代の親たちは,そんなものを食べて戦後を乗り切った.そのためか私の両親は,日本の経済成長が始まった頃になっても,南瓜とさつま芋をあまり好まなかった.母親は昭和四十六年に四十五歳で死んだが,昭和中頃の南瓜とさつま芋の品種は,おせじにもうまいものではなかった.今のような甘みがあってホクホクした南瓜とさつま芋を食べたら,なんと言うだろう.
 私よりも一世代上の,生家が農家の知人によると,冬になると来る日も来る日も,囲炉裏にかけた鍋で煮た大根飯であったという.そのかたも既に亡くなられたが,子供の頃は腹を減らしてばかりであったよと,少年時代の思い出を私に語ったことを思い出す.

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