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2019年12月22日 (日)

スカイウォーカーの夜明け

 海外の映画界で活躍している日本人が何人もいる.
 ディズニーの実写版『シンデレラ』で,あの豪華なブルーのドレスを飾ったたくさんの蝶が,お若い宮本遥香さんの作品であることはよく知られている.宮本さんの他では,特殊メイクの辻一弘氏が超有名だ.Wikipedia【辻一弘】には《子供の頃に『スター・ウォーズ』を見て映画に興味を持った 》と書かれている.
 AERA dot.に《45歳で転職 「スター・ウォーズ」で活躍の日本人は元証券マン!》が掲載されている.(2019年12月21日 11:30)
 この記事に
 
「スター・ウォーズ」最後の3部作では、2次元のデザインをコンピューターを駆使して3次元に立体化する「モデラー」という仕事で、日本人が大活躍した。ミレニアム・ファルコンなどを担当した成田昌隆さんは、異色の経歴を持つ56歳だ。
 
とある.
 成田氏も高校生の時に『スターウォーズ』を観たことが,この道に進むきっかけになったのだそうだ.
 続三部作でミレニアム・ファルコンのモデリングを担当した人は四人だというから当然,エンド・クレジットには成田氏の名が載っているはずだが,続三部作の完結編『スカイウーカーの夜明け』では,字が小さすぎて見つけられなかった.
 
 その『スカイウォーカーの夜明け』を観たのは昨日だ.
 SFファンタジー映画史の金字塔である『スター・ウォーズ』の完結編とあって,辻堂のシネコン「109シネマズ」の中に入ると,通路にキャンペーン・ガール (最近の言い方を知らない ^^;) のお嬢さんたちがズラリと並んで,アンケートを配っていた.「好きなキャラクターは?」「この映画をみようと思ったのはなぜですか?」といった質問のもの.
 
 映画評論家などの関係者は試写を観てネット上に批評を書いているが,その一つに「『スカイウォーカーの夜明け』はファンにおもねったストーリーだ」というのがあった.
 私はそうは思わないなあ.続三部作の第一作『フォースの覚醒』,同第二作『最後のジェダイ』と,じわじわと引っ張ってきた完結編『スカイウォーカーの夜明け』のクライマックスは,思わず胸が熱くなるシーンもあり,完結編で初めて明かされる事実もあり,娯楽映画の作法としては絶賛されてもいいと思う.
 全九部作を合わせて「スカイウォーカー・サーガ」と呼ぶが,まさにこれは「遠い昔,遥か彼方の銀河系」を舞台に戦い続けたレイア姫=レイア・スカイウォーカーの物語であった.そのレイアの古い友人であるマズ・カナタがレイアに別れを告げる最後の台詞が胸にジンとくる.
 そしてラストシーンの数分間.完結編の制作が発表された時から『スカイウォーカーの夜明け』の「夜明け」って何?と言われてきた.「夜明け」つまりタイトルの"The
 Rise"という言葉自体が伏線だろうとは容易に想像されたが,その伏線が,ラストシーンの最後の最後にきっちりと回収された.見事である.あたかも制作開始時に既にラストシーンができあがっていて,それに向けて物語を収束させたかのような完成度だ.上映館内には小学生くらいのお子さんを連れたお父さんが何人もいたが,「"rise"っていう言葉の意味はね,…」とぜひ解説して欲しいと思った.
 
 今は劇場公開中だから,『スカイウォーカーの夜明け』の詳しい批評は避ける.劇場公開が終わったら,またこの記事の続きを書くことにしようかと思う.
 今後,スカイウォーカー・サーガに続く新しいサーガが予定されているようだが,年が明けると後期高齢者になる私がどこまでこの映画を観続けていけるか,心もとない.しかし『最後のジェダイ』のラストシーンに登場した少年 (『スカイウォーカーの夜明け』には出てこない) が,次のサーガに再び現れるような気がする.そこまではなんとか映画館に足を運びたいものである.

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