サーガの終わり
日本テレビ「金曜ロードSHOW!」が二週連続で『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(12月13日),『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』 (12月20日) を放送している.今週の金曜に劇場公開される『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に向けてのキャンペーンだ.
第一作の公開から四十二年が経った.青年だった私は,もうすぐ古希を迎える老人となった.渥美清が主演した『男はつらいよ』の四十八作品よりも,私は『スター・ウォーズ』本編九部作のほうに自分の人生との同時代性を感じる.
それがとうとう完結するわけで,感慨深い.ただ,このファンタジーの主たる骨格であった「スカイウォーカー家の父と子の物語」は前の新旧各三部作で終わっているわけで,今の続編三部作は,それから派生した「ジェダイの残影とフォースの物語」であるが.
新旧各三部作に加えて続三部作から成るこの世界観は放棄されない (*註) ことが関係各方面から言明されている.
(*註) Wikipedia【スター・ウォーズシリーズ 】の「シークエル・トリロジー完結後の予定」から引用.
《2018年2月3日、ルーカスフィルムはジョンソンの三部作とは異なる新シリーズを製作することを発表した。脚本・製作はテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のデイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスが担当し、ボブ・アイガーは物語について「『スター・ウォーズ』シリーズのある時点に焦点を当て、そこから始まる物語になる」と語っている。
2019年5月7日、ウォルト・ディズニー・スタジオがタイトル未定の新作3本を2022年から1年おきに全米公開すると発表した。全米公開日はいずれもクリスマス前の週末で、第1作が2022年12月16日、第2作が2024年12月20日、第3作が2026年12月18日となる。》
ということは,今のところの推測だが,ルーカスフイルムでは「外伝」的なシリーズが制作され,ディズニーからはスカイウォーカー家のサーガに続く別の新しいサーガがリリースされていくということだろう.
ところで,続三部作は,新旧の各三部作よりも謎解き要素が強い.例えばその一つは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(原題は Star Wars: The Rise Of Skywalker) の「夜明け」(rise) とは何だ,ということ. 字義どおりに解釈すれば「フォースのダーク・サイドの時代が終わってライト・サイドの時代が始まる」ということになる.だがそれだけでは「スカイウォーカーの」(of Skywalker) というフレーズの説明がつかない.
そもそもヨーダやオビ・ワン・ケノービと異なって,アナキン・スカイウォーカーは確固としてフォースのライト・サイドに立つ者ではなかったので,銀河帝国初代皇帝パルパティーン (ダース・シディアス) の姦計によってダーク・サイドに堕ちた.しかし死の直前に,息子であるルーク・スカイウォーカーに対する「父としての愛」の力によって救われ,霊体となってフォースと一体化した.
そのルーク・スカイウォーカーは,アナキンの能力を受け継いではいたが,史上最強のジェダイであったヨーダほどの指導力はなかった.双子の妹であるレイア・オーガナとハン・ソロの息子であり,レイアからフォースを扱う能力を受け継いだ甥のベン・ソロ (カイロ・レン) の育成に失敗し,その自責の念から辺境に身を隠したのである.
ルークは続三部作の魅力的なヒロインであるレイの訪問を受けたあと,ダーク・サイドに転落したカイロ・レンが君臨するファーストオーダーと,その母レイア将軍が率いる反乱軍との決戦場に現れ,最後のジェダイとしてカイロ・レンを諭したあと,実体を消してフォースと一体化した.
こうしてスカイウォーカー家の嫡流は絶えたのであるが,そのスカイウォーカー家が rise するとはどういうことか.血筋として傍流ではあるがカイロ・レンが残っているから,これがライト・サイドに再転向してスカイウォーカー家が再興されるというストーリーはあり得る.そしてこれが The Rise (of Skywalker) の意味だとの意見があり,私もそう思うが,果たしてどうなるか.
さらに,というかネット上のファンの最大の興味関心は,タイトルの意味よりも,レイは何者か,という謎である.
制作サイドから,レイの親は一般人だ,ジェダイに繋がるような者ではないと言明されているのだが,疑い深いファンたちからは,レイはパルパティーンの孫であるとか,パルパティーンがレイの母親をフォースの力で妊娠させてできた子,つまりパルパティーンの実の娘であるという説まで出ている.従ってレイは,完結編で復活するパルパティーンの手によってダーク・サイドに堕ちるはずだと彼らは予想している.
もっと アホ 凄いのは「レイはパルパティーンが万が一に備えてあらかじめ用意していたクローンである」という話だ.この説を主張しているいくつもの動画は,レイがダーク・サイドに堕ちるどころか,レイこそがラスボスだと言っている.
中学生だか高校生だか知らんが,この説を唱えている連中は「クローン」の意味を知らない.顔面崩壊する前のパルパテイーンは割といい男だったはずだが,レイは若い女性だ.そんなクローンがあるもんか.w
クローン説はともかく,仮にレイがダーク・サイドに堕ちて銀河を制圧する最強の悪役になんぞになったら,そのようなバッドエンドを世界中のレイのファンが受け入れるとは,とても思えない.
で,『スカイウォーカーの夜明け』の公開を心待ちにしていたのだが,公開日である十二月二十日 (前日十九日に一部の劇場で限定公開) の,109シネマズの上映スケジュールを見たら,なんとまあ深夜〇時からのカウントダウン上映だけ (既に予約席は売り切れ) なのである.当日はこれ一回だけで他に上映はない.
完結編を楽しみにしていた多くのファンは置き去りにされたわけだ.実質的な一般公開がどうなるのか,今朝六時の時点ではスケジュールは不明である.
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