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2019年11月21日 (木)

患者の知識レベル以下

 週刊女性PRIME [シュージョプライム]が《森本毅郎アナ、本番中に緊急搬送されるも即復帰「本当の病状」を本人に聞く 》と報じた.(掲載日2019年11月20日 21:00)
 森本さんは私よりも一世代上のかたで,現在八十歳.かくしゃくとしてテレビでMCをしていらっしゃる.まことに心強いことであるが,先日,ラジオの生放送中に体調が悪化して番組途中で退席したことが報道された.しかし幸いすぐに回復して,またレギュラー番組に復帰した.
 上記の記事は復帰後にインタビューをしたことを書いたものである.その中に次の記述がある.
 
森本が続ける。
「かかりつけの病院で検査をしてもらったのですが、原因はよくわからないということで、いますぐ手術の必要なしとなり、週明けからは普通に仕事ができました」
 救急車で搬送されたものの、帰りはふつうに帰ったという。それにしても80歳だと聞いて驚いた読者も多いだろう。
「80にもなればあちこち痛んでしまいますが、なんとか復帰しました」
 当日の検査については、
「造影剤を入れて血管を全部調べるんですね。どれくらい細くなっているか。その結果、いまは特別な処置をすることがないと。何が原因かはわからないんですよ」
 イムス葛飾ハートセンターの金村賦之医師が説明する。
「考えられるのは、心筋梗塞を起こしたか、ステント手術をしたところが発作を起こしたのかもしれません。それは心電図を見ればわかるはず。原因不明のまま終わることはないと思います」
 それにしても心臓の病気ですぐに復帰できるものなのか。
「心臓に関してはありえない。倒れた原因が心臓だけでなくて、頭とかの血管障害もありえます」(金村医師)
 
 イムス葛飾ハートセンターの金村という男,まともな医者なのか.
 私は五年前に心筋梗塞を起こし,冠動脈のバイパス手術をした.その際に循環器疾患の患者として最低限必要な知識は勉強したのだが,ここは日本心臓財団のコンテンツ《狭心症とは 》を紹介する.
 この解説記事の中で「安静時狭心症,冠攣縮性狭心症」「不安定狭心症」「微小血管狭心症」が説明されている.
 このうち「冠攣縮性狭心症」は,解説に《多くの場合、冠動脈が一過性に痙攣 (けいれん) を起こして収縮し、血流を一時的に途絶えさせるために起こる狭心症であり、攣縮性狭心症ともいいます 》と書かれているように,一過性で再現性に乏しい.そのため,発作の頻度が低い場合は,検査入院しても心電図による診断が困難なことがある.
 また,「微小血管狭心症」については《冠動脈には異常がないのに、心筋の小さな細い血管が狭窄して血流配分に支障をきたしているのではないか、と考えられるために微小血管狭心症といわれています。X線血管造影検査では写ってこないような細い血管の病変を想定するので、診断は多くの場合、推定にとどまります 》と書かれている.原因不明の狭心症発作の際にこれを疑うわけだが,検査データは得られないので「原因不明」とせざるを得ない.
 また私は,四十代で冠動脈にステントを入れる治療をしたが,この時は心電図では全く異常が認められず,エックス線造影検査で冠動脈の狭窄が発見されたという経験をした.
 このように,金村が主張するような《それは心電図を見ればわかるはず 》は大嘘なのである.
 さらに金村は《倒れた原因が心臓だけでなくて、頭とかの血管障害もありえます 》とも言っているが,報道によれば森本さんは「脳血管障害を発症して倒れた」のではない.狭心症の治療をした経験がある森本さんは,覚えのある痛み (これは狭心症患者には理解してもらえるだろう) を胸に感じて,意識正常のまま救急車で病院に行ったのである.それなのに金村は何を血迷ったか,あさっての方向を向いて《頭とかの血管障害もありえます 》と大ボケをかましている.しかも医者のくせに「頭とかの」とは何だ.情けない.
 この男の日本語が非医学的なのはさておき,原因不明の脳血管障害だと診断されたまま元気に退院する者はいない.誰だって原因が明らかになるまで検査を続けてもらう.もらいたい.そんなことは一般常識だ.
 さてもイムス葛飾ハートセンターという機関は,患者を診ることなく,検査データも見ずに,ああだこうだと見当違いなホラを吹く金村みたいな男でも務まるらしい.おそろしいことである.

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