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2019年11月14日 (木)

バスの優先席に関する私の思い違い

 北海道文化放送のサイトにおもしろいニュース《「2人掛けに1人で座りスマホ操作に憤慨…」バス車内で女性の髪切断し51歳女逮捕 札幌市 》があった.(掲載日時 2019年11月13日 21:05)
 簡単に言うと,一昨日の夜十時過ぎ,札幌市内を走っていたバス車中で,五十過ぎの酔っ払いバカ女が,前の席に腰かけていた若い女性のポニーテールを一部,刃渡り一センチの小さな眉毛切りハサミで切断したという事件である.この女は警察に突き出されて暴行容疑で逮捕されたが,同記事によると次の事情である.
 
「女性が2人掛けのいすに1人で座りスマートフォンをいじっている姿に憤慨して切断した」などと話し、容疑を認めています。
 当時乗客は計5人で車内は混雑しておらず、障がい者用の座席に座った女は身体に不自由なところはなく、精神的なトラブルも確認されていないということです。
 当時、女は酒に酔っていたということで警察が事情を聞いています。
 
 この記事に私が興味を持ったのは上の引用箇所であるが,そのバスがガラガラだったことからすると,酩酊バカ女は《女性が2人掛けのいすに1人で座 》っていたことに憤慨したのではなかろう.頭がおかしいことの他は健常者であるバカ女自身も《女性が2人掛けのいすに1人で座 》っていたからである.バカ女が「自分はいいが,他人は許せない」という大バカだったら話は別だが.
 上の新聞記事は書き方があまりよくないのだが,それでは《スマートフォンをいじっている姿 》に憤慨したのだろうか.バカ女の携帯電話がガラケーで,しかも友だちも少なくて通話もメールもほとんどこないというさみしい境遇にあると仮定すると,いろんな楽しいことができるスマホの利用者に嫉妬憤慨したという可能性がないことはない.しかしバカ女の年齢が五十一歳であることからすると,ガラケー持ちの可能性はかなり低い.もっとありそうなのは,このバカ女の頭の中では「優先席でスマホいじっちゃだめなんだからねっ」なのかも知れないということである.
 確かに,首都圏では各鉄道会社は「優先席付近では携帯電話やスマートフォンの電源を切ってください」旨の協力を乗客に求めている.
 これは,第二世代の携帯電話 (ドコモのムーバ等) 時代には,心臓ペースメーカーの22cm以内に携帯を近づけると,ペースメーカーの動作に影響を及ぼす可能性があるという総務省の継続的調査データ「電波の植込み型医療機器等への影響の調査研究」があったからだ.
 しかし第二世代のサービスが終了した現在,市中にある第三世代以降の携帯では,ペースメーカーの動作に影響しない距離は15cm以上となっている.実際のデータとしては3cmで無影響だが,安全性を考慮して15cmにしているという.[資料:本当は危険性なし?電車内での携帯電話利用が心臓ペースメーカーに及ぼす影響]
 首都圏の電車の通勤時における混雑状態では,優先席に接近して立っている乗客がスマホをズボンのポケットやバッグに入れていた場合,ペースメーカーを埋めている人が優先席に腰かけていると,その胸元にスマホが接近する可能性が否定できない.そのため関西の鉄道では,混雑時には携帯電話の電源を切るよう,優先席付近の乗客に要請している.
 それではバスはどうかというと,関西のように臨機応変に,混雑時には電源を切るというマナーでいいのではないかと思う.要するにTPOだ.
 ところで実際にバス内では,どのように携帯電話のマナーが乗客に周知されているか,バス (神奈川中央交通,戸塚系統低床式バス) に乗って確認してみた.すると,中央ドアをから乗って左側にあるベンチ式優先席の窓に,ほぼ下のイラストのようなステッカーが貼られていたのである.このマークの他に,文章による説明は書かれていなかった.
 
20191115d
 
 このステッカーを貼ったバス会社の意図は「優先席に腰かけているペースメーカー装着者のために,携帯電話と基地局との間の通信が行われぬよう,携帯電話の電源を切ってください」だと思われるが,このデザインは「使用禁止」という意味で広く認識されているものだ.そのため,電源を切ってくださいという元々の意図から乖離して「優先席では携帯電話は使用禁止」という微妙に異なる意味になってしまっている.そこから「優先席に座っているのが自分一人しかいない場合でも,優先席でスマホいじっちゃだめなんだからねっ 」という誤解が生じるわけだ.
 冒頭に書いた事件だが,想像するに札幌市内を運行しているバスにも,優先席の窓には「携帯電話使用禁止」のステッカーが貼られているのではなかろうか.このようなややこしい話は,マークだけでなく,趣旨をわかりやすく説明した文章がステッカーに書かれてしかるべきだと思う.最低でも「優先席付近は携帯電話の電源オフ!」とかね.
 
 さて,ここまでは長~い前フリである.
 冒頭に示した北海道文化放送のニュースによると,髪を切られた被害者女性は二人掛け優先席に一人で腰かけていた.その後ろの二人掛け優先席に加害者の女が一人で腰かけていた.つまり二人掛け優先席が進行方向に並んで設置されている.
 私は神奈川県内のバスしか乗ったことがないので,その限りにおいてであるが,件の札幌市内のバスのように,進行方向向きに並んでいる二人掛け優先席というものを見たことがない.高齢者,障碍者,妊婦,怪我人など優先席を利用する人たちにとって,二人掛け優先席なんてのは無配慮も甚だしい.なぜなら優先席を利用したいと思う妊婦や脚の不自由な乗客が,窓側の席に座るのも,そこから降りるのも一苦労だからである.
 バスの優先席は,一人掛け席またはベンチ式であるべきだというのは,どうやら私の思い違いだったようだ.優先席のあるべき姿なんか考えないバス会社があることを,このニュースで私は初めて知ったのである.
 
 ちなみに,ウェブページ《札幌市営バスの車内》の一番下に,札幌市営バスの車内の写真が掲載されている.これを見ると,バスの前半分には優先席の表示がない.ニュースの通り,後ろ半分の二人掛けシートに優先席があるのだろう.

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