心からはお詫びしたくない人たち
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台風19号によって断水被害を受けた神奈川県山北町に,陸上自衛隊の給水車が給水のために町に到着したが,神奈川県サイドから断られ,給水せずに撤収した問題.
神奈川新聞社の記事《【台風19号】山北の給水車問題 黒岩知事が陳謝 》(掲載日時 2019年10月16日 21:36) によれば,黒岩祐治知事は16日,県庁で記者団の取材に応じた.
同記事から知事の発言だけを抜き出せば以下の通りである.
《「町民の皆さんのお怒りは至極当然。心からおわび申し上げたい」》
《「後から考えると、ルールに基づいてなかったとしても、融通を利かせて(自衛隊の給水車で)給水するという柔軟な対応もできた。判断を下す余裕がなかった」》
《「部隊が上からの指令ではない形で動いたということ。ただ、善意で対応されたことで(陸自を)責めるつもりはない」》
これは,山北町の町長がメディアを通じて,県の対応に不満を表明したことに対する黒岩知事の逆襲である.
まずは型通り,記者団には《心からおわび申し上げたい 》と語ったが,自衛隊による給水は《ルールに基づいてなかった 》と「ルール」を強調し,次いで《部隊が上からの指令ではない形で動いたということだ 》と婉曲に非難した.自衛隊の部隊が,上からの指令に基づかぬ行動を取ることは組織として許されざることだ,というわけだ.さらに次に《 (陸自を) 責めるつもりはない 》と上から目線で自衛隊駒門駐屯地の部隊を見下してみせた.
すごいなあ,と感服した.お詫びするかに見せかけて最後は《責めるつもりはない 》と,お詫びとは正反対の高圧的姿勢で締めくくったのである.
ただし,黒岩知事の言うところの「ルール」は自衛隊の災害派遣の手順を意味しているのであるが,自衛隊は災害派遣において,緊急の場合は「ルール」に基づかずに行動することがあるのである.(資料)
そのことを記者会見で触れないのは,アンフェアである.
[2]
神戸新聞NEXT/神戸新聞社の記事《人間として恥ずべきことした 加害4教員謝罪の言葉 神戸・教員暴行》(掲載日時 2019年10月17日 00:17) によれば,神戸市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題を巡る保護者説明会が16日に開かれ,加害教員四人の謝罪のコメントが読み上げられたという.そのうち,ネット上で「女帝」と呼ばれている女性教員のコメントは以下の通り.
《子どもたちに対しては、こんな形になって申し訳ないです。子どもたちを精いっぱい愛してきたつもりですが、他の職員を傷つけることになり、子どもたちの前に出られなくなり、申し訳ありません。私の行動で、迷惑をかけてしまったことに対して、本当に申し訳ないと思っています。
被害教員に対しては、ただ申し訳ないというしかありません。被害教員のご家族に画像を見せられ、入院までしている事実と、苦しんでいる事実を知りました。本当にそれまでは、被害教員には自分の思いがあって接していたつもりです。自分の行動が間違っていることに気付かず、彼が苦しんでいる姿を見ることは、かわいがってきただけに本当につらいです。どうなっているのかと、ずっと思っています。》
《かわいがってきただけに本当につらいです 》が,付き人に対して暴行傷害事件を起こした相撲取りのコメント(*)みたいである.w
《どうなっているのかと、ずっと思っています 》は彼女の心境をよく表している.彼女は,自分がなんでこんなに非難されるのかわからないのだ.どうなっているのか心底から不思議なのである.子分の男性教員たちが,snsでは「反省しない」と表明しつつも,保護者に対して一応は反省のコメントを出したのと大きな違いである.追い詰められても土俵を割らないドスコイ先生,すごいなあ.
(*) Wikipedia【かわいがり】から
《「かわいがり」の名を借りた暴力により怪我をしたり、ひどい場合死亡事件が起きることがあり、問題視されている。相撲界のみならず一般的な隠語としても利用されている。》
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