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2019年10月30日 (水)

北村薫『中野のお父さん』

 ちょっと古い作品だが,購読しそこねていた北村薫『中野のお父さん』を読んだ.事前にAmazonのレビューを読んでいたので,あまり期待していなかったのだが,案に相違してなかなかおもしろい作品だった.
 あの『ビブリア古書堂』シリーズが成功した理由は,ヒロインの魅力もあるが,コアなミステリー読者層の他に,本好き,読書好きな人たちを喜ばせたことが挙げられる.
 その本好き読書好きな読者層に向けて,北村薫が書くとこうなるというのが『中野のお父さん』だ.本作中には志賀直哉,幸田露伴,尾崎一雄などの名が出て来るが,これは『ビブリア古書堂』ファンのツボもしっかと押さえている.
 Amazonの購入者レビューを一覧すると,これを書いた人たちは,ミステリー以外のジャンルにはあまり興味のない人たちのようだ.『中野のお父さん』は,読了後に露伴全集を引っ張り出してくるような人以外にはウケないと思われる.

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