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2019年8月12日 (月)

モトをとりたくて (一)

 先日の記事に書いたように私はアマゾンのプライム会員である.アマゾンの宣伝によれば,プライム会員はプライムビデオを「見放題」だという.私はふとした気の迷いでFire TV Stickを購入し,プライムビデオを鑑賞してみた.
 そしてわかったのは「見放題」の意味である.極端なことを言うと,「見放題」の対象となる映画がわずか一作しかなくても,いいのである.この「放題」は「何度でも繰り返して見てよい」というのがアマゾンの意図であった.もちろんこれは常識的な日本語の用例ではない.
「お一人様四千円で焼肉食べ放題」の店に入ったら,ロースもカルビも見当たらず,あったのはレバだけだったようなものだ.ところが焼肉屋が「レバを食べ放題」を「焼肉食べ放題」と書いたら違法であるが,プライム会員向け特典としてのプライムビデオは違法ではない.なぜなら無料だからである.(有償コンテンツのプライムビデオは違法くさいが)
 アマゾンの姑息な商売には呆れたが,齢七十近くにもなってこんな詐欺商法に引っかかった自分が情けなくもある.そこで,Fire TV Stickの代金約五千円のモトをとろうとして片っ端からテレビドラマを鑑賞してみた.というのは私は映画ファンではあるがテレビドラマはほとんど見ない人間なので,プライムビデオで「見放題」対象のテレビドラマは初見の作品ばかりだったからである.
 その無料テレビドラマの一つに『パンとスープとネコ日和』(全四話の連続ドラマ;WOWOW) がある.
 このドラマのオープニングから暫くすると,すぐに私たちは,これが『かもめ食堂』(2006年) の焼き直しであることを理解する.ただし『パンとスープとネコ日和』は,『かもめ食堂』があまりにも稚拙な映画だったので,それよりはすっきりとした作品に仕上がっている.オリジナルよりも出来が悪ければパチモンと言われても仕方ないが,元の作品『かもめ食堂』のシナリオを書いた荻上直子監督の頭が高校生レベルなので,大した作品ではないが,『パンとスープと猫日和』(監督は松本佳奈) をパチモンと呼ぶのは不当だろう.ちなみに両作品の原作は共に群ようこである.
『かもめ食堂』は真面目に批評するのもアホらしい駄作だが,『パンとスープとネコ日和』もあまり褒められたシナリオではない.これには,群ようこの趣味と思われるが,無意味な小道具として野良猫が登場する.それは別に構わないけれど,シナリオも演出も,野良ネコの常識的な保護の仕方,家猫としての飼い方を全く知らないのが情けない.制作されたのは2013年だから,ネットにすでに猫動画があふれていたはずで,視聴者に「そんなことも知らないのかよ」と言われても仕方ない.
 あと,どうみても無意味なシーンがあるのは,想像するに,シナリオが書き直しされた時に修正し忘れた箇所かも知れない.
 無意味といえば,ラストシーンで出演者が揃ってユルーいダンスを踊るのだが,これがカレー屋の店内に置かれたテレビでインド映画を見るようで,昨今のアイドルたちのキレッキレッのダンスに食傷している私たちには, そのダンスの脱力感が新鮮かも知れない.
 さて『パンとスープとネコ日和』の挿入歌「パンとスープとネコ日和」と「この空の下で」は大貫妙子さんが歌っている.これがとてもいいので,オリジナル・サウンドトラックのCDを買ってしまった.ついでにあまり古くないベスト盤も二枚買った.ドラマ『パンとスープとネコ日和』は大したことないが,でも大貫妙子さんのCDを聴くきっかけになったから,ドラマを鑑賞した甲斐があったと言う気がする.

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