クラシック・レイディオ (七)
前回の記事《クラシック・レイディオ (六) 》の末尾を再掲する.
《上の説明書には色々なタイプのIFTについて説明がされている.これらが現在もオークションで入手できるかどうか私は知らない.
さて次回は,この骨董品IFTがちゃんと動作するものかどうか,確かめてみる.》
ディップメーターでIFTの共振周波数が確認できたのは,二本のIFTのうちの一本だけ,それも二次側のLC同調回路だけだった.この劣化は想定内で,劣化の原因であるコンデンサーを全部新品に交換してしまおうと思ったのだが,アルミケースから同調回路を取り出してみると,今はもう製造されていない旧式のコンデンサーである所謂「キャラメルマイカ」(湿度が高いと劣化するとの説がある) が使われており,その表面になぜか静電容量値がプリントされていないことがわかった.
そこでハンダ付けを外して静電容量を測定しようとしたのだが,大昔の製品のせいかハンダの融点が高い上にハンダをこってりと盛ってあり,手持ちの普通のハンダ吸収線では融けたハンダを吸い取れず,どうにも始末が悪い.
(ハンダ吸収線)
IFTのコイルは極細のリッツ線を巻いてあり,これをウッカリ切断してしまったら,もう修復は不可能だ.それで乱暴だが,コンデンサーのリード線をニッパーで切断してしまった.
(IFTのコイルと,切断して取り外したキャラメルマイカコンデンサー)
LCRメーターで測定したところ,コンデンサーを取り外した側のコイルのインダクタンスは1.246mH,コンデンサーの静電容量は104.2pFであった.
(愛用の安物LCRメーター;誤差は数%ある)
誤差を含むこの測定値をそのまま使って共振周波数を求めると,442kHzである.仮にこのIFTの設計値が1.25mHと100pFであるとすると,その共振周波数は450kHzとなる.目標値455kHzの1%程度に収まっており,たぶんこの値が設計値だとしていいだろう.コンデンサーには,99pFなどという中途半端な製品はないからである.そこで,新品のマイカコンデンサー (100pF) を買って交換することにした.
ちなみに,コイルとコンデンサーの数値から共振周波数を計算してくれる《LC共振の周波数 》という大変便利なウェブコンテンツがある.世の中には奇特なおかたがいるものであるなあと感謝.
次回は,骨董品ラジオから部品取りをしてみる.
| 固定リンク
« 永山久夫がまた嘘を | トップページ | 熊や哀れ »
「趣味の工作とDIY」カテゴリの記事
- テレビの不調?が直った!(2020.12.17)
- テレビの不調に悩む(2020.12.07)
- クラシック・レイディオ (七)(2019.07.17)
- 機械翻訳前の文章を知りたい(2019.07.11)
- クラシック・レイディオ (六)(2019.07.08)
コメント