機械翻訳前の文章を知りたい
スーパーヘテロダイン方式のラジオを製作すると,簡易型信号発生器 (一般にテストオシレーターと呼ばれている) を用いて調整をしなければならない.私は昭和の香り高いアナログ式テストオシレーターを所有しているのだが,周波数を目盛版から目で読み取る関係上,周波数の有効数字が二桁しかない.周波数の有効数字が二桁というのは,例えばダイヤルの目盛りで455kHzに合わせても,実際には454kHzとか456kHZかも知れない,ということである.(テストオシレーターは下の写真で,台湾製)
そこで精度の高い周波数カウンターを購入した (下の写真;これは中国製で,有効数字は四桁である) のであるが,テストオシレーターと周波数カウンターを接続するのにBNC端子付き同軸ケーブルという被服電線を使用する.
それをアマゾンで見繕っているときに,《uxcell RG58 BNC - BNC同軸ケーブル 50オーム 50 cm長さ 同軸延長ケーブル 1個入り 》という商品を見つけた.“uxcell”がメーカー名で,中国製品である.その商品説明を下に引用する.
《・完全にBNCオス同軸ケーブルにRG58 BNCオスを組み立て
・RG58 / U定格50Ω低インピーダンス同軸、95%編組カバレッジ
・高品質のニッケルメッキコネクタ本体と金メッキ真鍮コンタクト
・放送、ビデオ伝送、ビデオ監視に最適
・RG58は細いRG316またはRG174から作られたケーブルよりはるかに少ない減衰を意味します。特に重要な人がいる場合は、それほど落ち着かないでください。》
この箇条書き説明文の,最初の四項目は日本語に妙な箇所はあるが,言いたいことは理解できる.
しかし最後の項目《特に重要な人がいる場合は、それほど落ち着かないでください。》は一体どういう意味なのであろうか.
日本のアマゾンにおける中国製品の見分け方は割と簡単で,商品説明の日本語が,上記の同軸延長ケーブルのようにブロークンであるからすぐわかる.そしてこの手の製品は大抵は低品質である (*).
逆に言うと,日本語の商品説明が明解正確であると,中国製かどうか見分けるのが難しい.しかしこのような製品は高品質のことが多いから,無問題ではある.
さて想像するに,粗製中国製品 (若い反中国青年諸君は,これを中国ではなく「中華」と呼んでいる) の商品説明は,中国語→(機械翻訳)→英語→(機械翻訳)→日本語という方法で作成されているものと考えられる.《完全にBNCオス同軸ケーブルにRG58 BNCオスを組み立て 》なんてのは,元の英文がおよそ想像できる.
しかし,だ.《特に重要な人がいる場合は、それほど落ち着かないでください。》は皆目,元の英文が想像できない.わかる人がいたら,ぜひご教示を頂きたいものである.
(*) 中国製品すべてが低品質であるというのではない.中国は日本を凌ぐ工業国家であるからして,例えば小さな電気部品にしても優れた製品が作られているに違いない.実際に私は,アマゾンで購入した電気部品が中国製にもかかわらず極めて高い品質であるのに驚いたことがある.
だがアマゾンあたりに出品されている中国製品の多くは劣悪なものばかりである.そして大きな問題は,日本ではもう優秀な電気部品を作る小企業が絶滅しつつあるということだ.
笑い話のようなことを一つ.抵抗器やコンデンサは両端にリード線が付いており,これに日本製 (実際の製造地が海外であっても) は錫メッキ銅線を使うが,中国製は単なる鉄の針金だったりする.磁石にくっつくので,買った後で騙されたと悔しい思いをする.w
だが他国を批判するのは控えたほうがいいも知れない.私が生まれた頃の日本製品は,劣悪粗悪品の代名詞だったのだ.大根をサイコロ状にカットして黄色く着色し,甘く味付けしたものを缶詰にして「パイナップルの缶詰」と称してアメリカに輸出したことがあるのだ.
昭和三十五年,それまで「牛肉大和煮缶詰」と称して売られていた日本製缶詰のほとんどは中身が馬肉や鯨肉だったことがバレて問題になった.偽装は日本が本場なのである.
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