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2019年5月 2日 (木)

低糖質ナポリタン

 およそ料理の発祥店とか,ウチが元祖だと称する話は眉唾が多い.いわゆるスパゲッティ・ナポリタンは,横浜の山下公園に面して建つホテル・ニュー・グランド (先の戦争が終わったとき,厚木に降り立ったD.マッカーサーが東京へ進駐する際に立ち寄ったことで知られる.マッカーサーの新婚旅行の思い出のホテルであった) の二代目料理長が考案したと一般に思われている (テレビの雑学番組など) が,よく調べてみると,彼の考案した料理は,ケチャップで味付けした日本の大衆料理「ナポリタン」ではなく,トマトソースを使用したちゃんとしたパスタ料理であった.そりゃそうだよね.ホテルのシェフなんだもの.ちなみにホテル・ニュー・グランドのレストランは,フレンチの「ル・ノルマンディ」とイタリアンの「イル・ジャルディーノ」だが,ホテル・ニュー・グランド流の「スパゲッティ・ナポリタン」は,コーヒーハウスの「ザ・カフェ」の献立だ.
 
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 レトルトパウチに包装されたパスタソースで「ナポリタン」を標榜する製品がカゴメやマ・マーマカロニから,あるいは同様の缶詰がハインツから出ている.Wikipedia【ナポリタン】に次のように書かれている.
 
マ・マー マカロニでは、1964年(昭和39年)にソース入りゆで麺のパックを「イタリアン」という商品名で販売しており、その後1983年(昭和58年)にイタリアンのソースをグレードアップしたものを「ナポリタン」という商品名で発売するようになった。
 
 昭和四十年代の洋食屋や喫茶店の献立であった「ナポリタン」はほんのわずかの玉葱とウインナ・ソーセージをフライパンで炒めて,これに茹でて作り置きしてあるスパゲッティを投入し,ケチャップで味付けしたものだ.うっすらと記憶しているのだが,確かにマ・マーマカロニ (日清フーズのブランド) のソース入り茹で麺のパックで「イタリアン」というのがあった.その影響だろうか,かつて関西圏と中京圏では,関東地方で「ナポリタン」と呼んでいた料理を「イタリアン」と呼んだ.しかし私たち関東地方の者は「そもそもスパゲッティはイタリアンだろうがw」と,その製品のネーミングを嘲笑した.それがあってか,日清フーズは「イタリアン」を「ナポリタン」と変更したのであった.紛らわしいが,これが日清フーズ式の「ナポリタン」の始まりである.そのパスタソースの名称が現在もレトルトパウチのパスタソースとして生き残っているのであるが,もちろんこれは関東地方の大衆料理の「ナポリタン」とは無関係である.
 家庭で「ナポリタン」を作るのなら,レトルトのトマトソースを使えばいいようなものだが,それらはいかにも現代風においしくて,昭和四十年代の首都圏における洋食屋あるいは喫茶店の「ナポリタン」のチープ感に欠ける.高齢者の爺さん婆さんはきっと覚えているだろう,皆さんが青春時代に通ったサ店のマスターは,オープンキッチンでトマトピューレとスパイスを炒めてソースを作ったりはしなかった.彼らは堂々と,私たちの目の前で業務用のケチャップで味付けしていたのだ.だから以下の記述において私が作る「ナポリタン」は,ケチャップを用いた「正統ナポリタン」である.
 
 記事《低糖質スパゲッティ》で試食したポポロの「低糖質ミートソース CarbOFF」は,パッケージの「調理例」写真と実物が大きく異なる内容貧弱な製品であった.これは同社経営者の見識の程度を示している.モノ言わぬ消費者をなめているのである.だから私はもう二度と「低糖質ミートソース CarbOFF」を買わないつもりだ.このブログ読者で,まだこのミートソースを買ったことのない人には,買わぬようアドバイスしたい.
 だが,同社製「ポポロスパ CarbOFF 1.4mm」は話が別だ.これは「緩い糖質制限食」の食材として価値があると私は思う.
 ただし,これは麺としておいしいというものではない.有体にいえば「うまくない」のだが,それを如何にして普通のスパゲッティ並みの味の料理にするか,これが消費者の腕の見せ所だ.何となれば,低糖質という付加価値は捨てがたいからである.
「うまくない」理由の一つは,茹でても硬いことだ.主原料はデュラム・セモリナではあるが,これに水不溶性の食物繊維からなるブラン (糠) を加え,押し出し製麺法で圧力をかけて成形してある.しかも成形後に乾燥工程を経ている.これは喩えてみれば,セメント (小麦粉) に水と砂利 (繊維質) を加え,圧を加えてから乾燥したようなものだ.非常に堅固なコンクリート構造物ができあがっているのである.w
 この記事の前では,この麺を15分茹でてみたが,やはり「博多ラーメン的バリカタ」状態であった.そこで今回は20分に延長してみた.茹で途中の一本を取り出して噛んでみたら,少しは食感が改善されたように思えたが,これ以上に長時間茹で続けるのは,煮込み料理ではあるまいし,浪費というものだ.Amazonのレビューに,圧力鍋で茹でた人の感想が掲載されているが,それが正解かも知れないと思った.
 今回はバリカタでも致し方ないと諦めて,20分で茹で上げた.
 この麺が「うまくない」理由の二つ目は,この麺にはブラン特有の臭気があることだ.もし20分以上茹でるのであれば,臭いが溶け出し,かつ煮詰まった湯を捨てて,新しい湯で茹で続けるとよいと思われる.
 具材だが,昔の喫茶店ではピーマンは入れなかったと思う.ピーマンを嫌いな人が多かったからだろう.野菜は玉葱のみが正調である.あとはウインナ・ソーセージだが,これはいわゆる赤ウインナを数ミリの厚さにカットして用いるのが正しい「ナポリタン」の在り方であるが,安価なハムの切り落としでもよろしい.ところが残念ながら私の冷蔵庫には赤ウインナの買い置きがなかった.そこで近所のファミマに出掛け,代替に「お母さんシリーズ」のチョリソを買ってきた.使ったのは二本である.赤ウインナなら三本ちょっとくらいに相当するか.
 まずフライパンで玉葱を炒め,火が通ったらチョリソの輪切りを加えて少し炒める.続いて茹でておいた低糖質スパゲッティ (まだ冷めていない) を投入し,塩と胡椒で軽く味をととのえる.次いでカゴメのチューブ入りケチャップを加えて,全体が均一に見えるように混ぜ合わせる.
 塩胡椒をしたのは,ケチャップだけだと糖分が多くなってしまうからである.それでは何のために低糖質スパゲッティにしたのかわけがわからなくなるからだ.以上で,上に掲載した写真のナポリタンの出来上がりである.
 食べた感想を正直に書けば,前回の記事で紹介した五木食品の低糖質うどんをケチャップで味付けした方がよほど「ナポリタン」に近い.ポポロの低糖質乾麺は,商品として失敗作だと思う.

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