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2019年3月10日 (日)

復興五輪の欺瞞 (三)

 安倍晋三は,東京にオリンピックを招致するにあたって,2013年9月7日にブエノスアイレスで開催された IOC総会で,次のように演説した.
「委員長,ならびに IOC委員の皆様,現在も2020年においても,世界有数の安全な都市東京でオリンピック大会を開催できますならば,私どもにとってこの上ない名誉となるでありましょう.福島の事態について御案じの向きには,私が保証を致します.状況は統御されています.福島はこれまで,東京にはいかなる悪影響をも及ぼしたことはなく,今後とも及ぼすことはありません.」
 
 一部の日本人は,金の為なら,それが私欲ではないとしても,どんな嘘でも吐く.現代社会最大の商業イベントであるオリンピックを招致するためならば,安倍晋三は,五年余が経った現在でも地下水流入によって制御不能に陥っている福島第一原発を“under control”と言ってのけた.
 この一言のために,安倍晋三は,東京五輪を「復興五輪」と位置づけ,開催日には世界に向けて「日本の復興完了」を印象付けねばならなくなった.
 考えてみれば,福島第一原発の廃炉が完了し,かつ除染も完了してその周辺地域が帰宅可能地域となるまで,福島の復興はおろか,復旧もあり得ない.しかし廃炉は,目途すら立っていないのである.
 
 そこで安倍晋三は,事実がどうあれ「オリンピックの年に日本は復興を完了した」と,世界に向けて言い切ることにしたと思われる.世界の人々は,日本政府が演出した「復興五輪」をそのまま信じるだろう.私たちが欧米各国の内政について,実態はどうあれ,メディアが報道したものを信用するしかないのと同じである.
 本当に福島は復興できるのか.日本は未来永劫,福島第一原発でメルトダウンした核燃料に冷却水をかけ続けるしかないのではないか.この疑問の答えも廃炉の道筋も不明なままに「復興五輪」を演出するに際し,舞台として最適なのは,聖火カリレーに違いない.
 
 復興庁公式サイトのコンテンツ《「復興五輪」に向けた最近の取組① 》に次のようにある.
 
(3)聖火リレー ○ 組織委員会において、東京オリパラ調整会議等の開催 <30年4月、7月>
・各都道府県への日数配分を決定 被災3県:3日、東京都:15日、複数競技開催県:3日、その他の道府県:2日
・聖火リレーに先立ち、「復興の火」として種火を被災3県で展示 → 詳細については、組織委員会、復興庁、被災3県で今後検討
・リレーの出発地点は福島県に決定、種火は松島基地に到着することが決定
○ 今後、各都道府県で具体的ルートを検討し、31年夏頃にルート全体を発表予定
》(引用文中の文字の着色は当ブログ筆者が行った)
 
 昨年末 (12/23),河北新報は次のように報じた
<東京五輪聖火リレー>「Jヴィレッジ」出発地点に 福島県実行委が調整
 2020年東京五輪の聖火リレーに関し、福島県の実行委員会が出発地点を東京電力福島第1原発事故の対応拠点だったサッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)とする方向で調整していることが22日、分かった。
 国内のリレー出発地点となる福島県は、8月下旬に実行委を設けて県内ルートの協議を開始。「復興五輪」という東京大会の趣旨を踏まえ、Jヴィレッジがスタート地点にふさわしいと判断したとみられる。今後、大会組織委員会などとも調整して正式に決める。
…(中略)…
 聖火リレーは20年3月26日に福島県をスタートし、県内では3日間行われる。その後、約4カ月かけて全国を回る。正式なルートは19年夏に組織委が公表する。

 
 もしも福島第一原発の廃炉工程表が確立された暁には,それを宣言するにふさわしい場所は,Jヴィレッジを措いて他にない.
 だからこそ,たかが商業イベントに過ぎない東京オリンピック2020でJヴィレッジを使うな.私はそう思う.
 五輪組織委と福島県実行委員会が,Jヴィレッジからの国内聖火リレー出発を強行するのであれば,聖火リレー出発セレモニーにおいて,「福島の復興は未だ道遠し」の意を込めて,関係者全員が放射線防護服を着用して行うべきである.(了)

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