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2019年3月 6日 (水)

藤沢 富士そば

 藤沢駅の南口には,有隣堂書店,大きめのドラッグストア,小田急デパートなどがあるので買い物によく行く.その南口ロータリーの一角に昨年,富士そばが開店した.
 
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 富士そばは,蕎麦の品質からいうと「立ち食い蕎麦」系統の蕎麦屋なのに,イス席だ.こういう蕎麦屋は何と呼べばいいのか.「腰掛食い蕎麦」か.富士そばは,昔は立ち食いだったが,次第にイス席の店が増え,今では純「立ち食い」は数店舗を残すだけだという.
 東海林さだお先生が富士そばのファンであることはよく知られている.著書の中で富士そばの経営者と対談をし,その上さらに富士そばのメニュー全品を食ってみるという企画もなさっていた.先生が富士そばのファンであるという理由は,そのチープ感だ.チープ感とは何かというと,伸び切った麺だ.現在でこそ,女性客が気軽に入れるように店の外観内装は小奇麗になってしまったが,演歌がBGMであることと伸びた蕎麦は,富士そばの創業精神と言っていい.「打ち立て茹でたて」を標榜する立ち食い蕎麦屋のニューウェーブが登場した時も,富士そばは頑として創業の志を守ったのである.
 さて富士そば藤沢店がオープンしてからかなり経った.昼飯時になるといつも店の外に数人の列ができている.お,なかなか健闘してるなーと思っていたのだが,先日,店の横の歩道を歩きながら,何気なく窓から店内を見たら客席がかなり空いていた.でも入り口には列ができている.
 不思議なことがあるもんだと入口の前に立って入口の券売機を見たら,何を食べようかと客が悩んでいるらしく,なかなか券売機のボタンを押さない.ああ,こういう券売機の蕎麦屋では,あらかじめ何を食うか決めてから券売機の前に立たなきゃだめなんだよねー,と私は思った.列の後ろの客がイライラするからね.
 そんなことを考えていたら腹が減っているのに気が付いた.そこで私も列にならぶことにした.たしか富士そばはラーメンが昔の中華そば風で旨いと聞いたことがあるから,ラーメンを食うことにした.
 私の順番になり,券売機の表面のボタンでラーメンを探したのだが,なかなか見つからない.
 後ろの人はイライラしてるだろなーと思うと,余計に目があちこちさまよって見つからない.あーもう食うのやめて帰ろうかとおもった時,右から二列目の下から三段目に「昔ながらのラーメン」を見つけた.やれ嬉しやと安堵しつつ食券を買い,カウンターにいる元気のいいおばさんに食券を渡した.席に着いて待っていると,暫くして番号を呼ばれたので,ラーメンを受け取り,富士そばのラーメンを賞味した.
 食べながら思ったのだが,いつも富士そばの入り口で列を作っている人たちは,券売機の前で何を食べようかと思案していたのではなく,目的の食券のボタンを探しあぐねていたのだろう.私と同じように.
 私は,藤沢駅ホームにある大船軒でも,改札口の外にある「さがみ茶屋」でも,食券を買うのに迷ったことはなかった.それで何となく腑に落ちなかったので,昨日富士そばを再訪した.
 食べたのは,かけ蕎麦だが,食券を買うのにボタンの位置を少し探してしまった.探しながら「この券売機には何か違和感がある」と思ったので,ものはついでだから店員の目を気にせず,券売機の写真を撮った.

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 今更だがこの券売機を見ると,横にボタンの色分けについて説明が書かれていた.だが一番上の三つは,この分類の例外になっている.理由不明だ.世の中では,決められたルールで何かを分類する時,きちんと整理された分類結果を提示したあと,例外を提示するのが普通だ.しかし富士そばは最初からいきなり例外を並べているのである.

「もり」「特盛り」「鴨せいろ」は同じカテゴリーだと思うが,ボタンが並んでいない.
「もり」と「特盛り」の違いは量が二倍だけだと思われるが,「盛り」と「特盛り」でもなければ,「もり」と「特もり」でもなく,「もり」と「特盛り」にしている理由がわからない.
 また,立ち食い系ではない普通の蕎麦屋では「盛り蕎麦を二枚」という風に注文するが,それを「特盛り」としている理由が謎だ.
「もり」と「鴨せいろ」は蕎麦つゆが異なるだけで蕎麦は同じだと思うが,「もり」を「せいろ」にしなかったのは何故だろう.「もり」を「せいろ」とし,「特盛り」を「特盛りせいろ」とすれば,「もり」「特盛り」「鴨せいろ」の三者間に見られる不統一は解消するのに.(つまり「せいろ」「特盛りせいろ」「鴨せいろ」とすれば,整然としている)
 
 ピンク色のボタン「昔ながらのラーメン」「煮干しラーメン」と「生ビール」「ハイボール」が同じカテゴリーなのは理解に苦しむ.私がラーメンのボタンを探しあぐねた理由がこれであった.
 まだある.下の画像は,今年の一月から一部店舗で販売開始された「ポテトチップスそば」である.(他店では「ポテトチップスそば・うどん」であるが藤沢店では蕎麦のみである.理由不明)
 
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 これは,かけ蕎麦にポテトチップスをトッピングしたもので,たぬき蕎麦などの種物と一緒の単品メニューだが,どういうわけかオレンジ色の「セット」に分類されている.しかも,一番右下に「追いポテチ」があるのが混乱に拍車をかけている.これはトッピングなのにオレンジ色の「セット」なのである.忖度すれば,「追いポテチ」は「ポテトチップスそば」専用のトッピングであるということかも知れない.「追い」という文言がそれを暗に示している.「ポテトチップスそば」と「追いポテチ」を一緒にすると「セット」になるという意味かも知れぬ.
 とすると,「もり」とか「かつ丼」や「カレーライス」の食券と「追いポテチ」の食券を一緒にカウンターに出すと,「お客さん,それは勘弁してくださいよー,本社の開発からダメだって言われてるんすー」と言われるのだろうか.ポテチをトッピングしたカレーライスは食べてみたい気がするが.
 
「ミニカレーセット」「カレーライスセット」「ミニカレー (単品)」「カレーライス (単品)」が,券売機の上の方にある「セット・ご飯類」と分離して,下の方に置かれているのは不思議だ.
 それよりなにより一番上の2番ボタン「カレーライスセット 620円」と,38番ボタン「カレーライスセット 620円」はどう違うのか.3番ボタン「かつ丼セット 720円」と4番ボタン「かつ丼セット 720円」は同じではないのか.
 まだまだ疑問は尽きないのだが,先を急ぐ.
 このように考えてみると,私がこの「欲しい食券がなかなか探せない券売機」に抱いた違和感は,(1) 品名の不統一,(2) 「セット」という分類に一貫性がない,(3) 配列に検索性が全くない (カテゴリーごとにまとまっていない) こと,などが原因であるようだ.
 ところで,それはそれとして,この券売機の最も重大な問題は,次のように書かれていることだ.
 
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 茹でたての蕎麦を食いたいのなら,私は普通の蕎麦屋に行くし,立ち食いなら小諸そばでもいい.しかるに富士そば藤沢店は「茹でたてのお蕎麦をお召し上がり頂く」という.驚きつつ,かけ蕎麦の食券をカウンターに置いたら,元気のいいおばさんが「お蕎麦を茹でる時間を頂きますので,少しお待ちくださいー」と言った.

 しかし私がカウンターが見える窓際の席に着いて腰掛けたとたん,食券番号を呼ばれた.ものの三十秒ほどしか経っていない.いくら何でもそれじゃ茹で時間が足りないのではないか.
 そう思いつつかけ蕎麦の丼を載せた盆を持って席に戻り,箸で蕎麦をつまみ上げたら,蕎麦が自重で切れて落ちた.伸びきって,もはや箸ではつまめないのであった.おばさんは「湯通しする時間を頂く」と言うべきところを,「茹でる時間を頂く」と言い間違えたのだ.券売機に書かれていた文言は,ただの書き間違いだったのだ.
 私は丼の縁に口をつけて,茶漬けのように蕎麦を掻き込みながら,茹でてから時間が経って伸びた蕎麦を温めるのが富士そばの流儀だ,初心を忘れてはいなかったのだと嬉しく思いましたとさ.よかったよかった.よくない.

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