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2019年1月31日 (木)

近江の旅 (四)

[石馬寺]
 今回の私の旅の,一番の動機であった向源寺の十一面観音像を拝観したあと,ツアーのバスは石馬寺へと向かった.
 仏像巡りツアーというと,「札所を廻って御朱印集め」という年寄り向けスタンプラリー遊びの印象が強い.実際に今回のツアーでも,コンダクタが参加者たちの御朱印帳を予め集めて預かり,まとめて御朱印を頂くという「作業代行サービス」をしてくれた.w
 仏像巡りツアーに初めて参加した私は,他のツアーメンバー (数人の中年男性を除いてあとは御婦人たちばかり) がみんな御朱印帳を持参でツアーに参加しているのを知って大層驚いた.
 それもこの種のツアーの一つの側面だろうが,一般人の観光ガイドが案内に付くのではなくて,お寺の御住職あるいは僧侶がガイドをしてくれるツアー (旅行代理店がお礼の御布施をしてくれるはず) の場合は,高い金 (実際のところ,個人旅行するよりもかなり割高だ) を払う価値はあると思う.仏教信仰について質問したくても,一般人のガイドさんではどうにもならぬからだ.とはいうものの,ノーアポで寺に行き,住職に面会して案内を乞うというのは,非常に敷居の高い行為だ.w
 さて石馬寺は聖徳太子所縁の寺である.私のような年寄りは,つい聖徳太子と言ってしまうが,テレビの情報番組で「昔は聖徳太子といいましたが,現在はなんと言うでしょうか?」てなクイズがよく出される.耳タコな雑学だが,義務教育や高校の歴史教科書では厩戸皇子と書かれているそうだ.Wikipedia の項目が【聖徳太子】で立てられているのは,その名が広く知られてきた歴史的経緯のためだろう.
 で,このお寺は参道が大変厳しい.傾斜や距離が大変なのではなく,石段と呼ぶにはあまりにも大雑把な石がゴロゴロと転がっているのである.この参道は軽登山の趣があって,足腰の弱った年寄りはお詣りしてくれなくてもいいと言わんばかりであり,バリアフリーの世の中に逆行しているのだ.w
 
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 石馬寺の山号は御都繖山 (ぎょとさんざん),本尊は十一面千手観世音菩薩であるが,これは秘仏で,拝観はできない.その代わりといってはナンだが,全十一体という重文の像を間近に観ることができる.
 重文の像のうち,役行者菩薩腰掛像は珍しい彫刻題材であるらしい.仏教美術方面の研究者が見学に来ることがあるという.
 案内をしてくれた御住職によると,西日本を襲った昨年の豪雨で,かなりの被害があったそうだ.ブルーシートで屋根壁の応急処置をしてあったが,修復にはかなりの費用がかかるのだろうなあ,とお気の毒に思った.
 
 さてツアー一日目は,これで行程を終わって,バスは宿泊予定のアーバンホテル南草津に到着した.この日の夕食は自由食である.ツアコンダクタさんから南草津駅周辺の飲食店が示されている略図が配られたのだが,駅前に繁華街はなく,八剣伝とか魚民など全国網の居酒屋チーエンが点在しているだけ.南草津駅は,会社員たちが電車を降りて家路に着くためだけの駅なのだろう.飲み屋はあるがきちんと食事のできる店はないようだった.ここに住んでいる人たちは,家に帰ってから飯を食べればいいわけだ.
 カレー屋のココイチとラーメン屋はあったので,後で考えればそれで簡単に済ませてしまえばよかったのだが,旅先でココイチというのも侘しかったので,店の灯も絶えるあたりまで歩いたら焼鳥屋があった.その店のことは忘れぬうちに書かねばと思って,ツアーから戻ってすぐ《一見さんお断りの焼鳥屋 》を書いた.なにしろ私のこれまでの外食経験の中でサイテーの店だったのだ.今思い出しても腹が立つので,再掲して「冥途の旅の一里塚」カテゴリーにも入れることにする.
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一見さんお断りの焼鳥屋

 土曜日と日曜日をかけた湖国の仏を訪ねる旅の,一日目の宿は,JR西日本琵琶湖線の南草津駅西口に隣接するアーバンホテル南草津であった..
 チェックインのあと,食事しようと外に出たのだが,駅西口は真っ暗である.駅構内を通って東口に回ったが,ここも居酒屋が二店入ったビルと西友があるだけで,食事ができるような繁華街はない.やむなく少し歩いたら,「花ひこ」(←「食べログ」のリンクを示す) と看板を掲げた店があった.店構えは小奇麗に新しそうで,店内に煙がもうもうと漂う昔風の焼鳥屋ではない.私みたいな年寄りではなく若い人向けの店なんだろうが,そのあたり一帯は繁華街がない田舎の駅前で他に飲食店もなさそうなので,焼鳥を食って寝ることにした.
 店のドアを開けて中に入ると,左側に四人腰かけられるカウンター席があり,あとはグループ客用の席で,既に店内には数人ずつの先客グループが二組いた.
 
 さて店員が注文を取りに寄ってきたので,私は品書きを見て,角ハイボールと「牛串」を二本と「手羽先」を二本注文した.
 すると店員の兄ちゃんが言う.
店員「あのー,食べ物は少しお時間をいただきます」
私「少しくらい構わないよ.どれくらいかかるの? 三十分?」
店員「あー…」
私「一時間?」
店員「いえー,…」
私「二時間?」
店員「はあ,手羽先はもう少し…」
私「おいおい驚いたなー.どういう特別な焼鳥か知らんけどさ,焼鳥食うのに三時間も待てないよ.それじゃさ,割と早めにできるものは何かあるの?」
店員「じゃ牛串と手羽先はキャンセルですね.あっさり系の,冷奴と枝豆なんかは早いです」
 そういう遣り取り (上の会話は,ほぼ実際のまま) があって私は,食事をしたかったのに,突き出しの生キャベツとモヤシ,冷奴と枝豆でハイボールを飲むという侘しい状況に置かれた.
 そういう状況では長居をしても仕方ないので,早々に引き揚げようと思い,枝豆をパクパク食べていたら,カウンターの横の席にカップルが来た.
 その二人は店員の兄ちゃんに焼鳥を注文したのだが,兄ちゃんはなにも言わずにオーダーを受けて,そしてしばらくすると彼らの前に,三時間は待たねば食べられないはずの焼鳥が届けられたのである.
 どういうことだと私が考察するに,そのカップルは常連客である.そしてこの店は一見客お断りなのだ.しかも,私はお一人様だ.そこで店員の兄ちゃんは,店の方針を知らぬ私が,歓迎されていないことを察して早く出ていくように,たった数本の手羽先と牛串を焼くのに三時間かかると言ったのである.
 それにしても,一見の一人客が嫌いなら,私が店に入ってきたときに「うちは初めてのお客さんはお断りしてます」とか「お一人様はご遠慮いただいてます」などと言えばいいではないか.そう言ってくれれば,私は「そうですか」と言って引き揚げたはずである.そしてカウンター席に腰かけて食いたくもない冷奴なんぞ食わなくても済んだのである.
 滋賀の片田舎の飲食店「花ひこ」は,馴染み客以外は排斥する方針の店なんだろう.しかしそのような経営方針であることは一向に構わぬ.店の側が客を選んではならぬという法はない.それならそれで,明るく一見客の入店を断ればいいのだ.しかるに「花ひこ」のやり方は陰湿である.不愉快な接客である.それ故,旅行とか商用で南草津駅に宿泊することになった人は,駅東口の焼鳥屋「花ひこ」には決して入らぬことをお勧めする.極めて不愉快な思いをすること確実だからである.

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上は「花ひこ」の箸袋の表.下はその裏.上に書いた話がノンフィクションであることを示すために,箸袋の意匠をスキャンして引用する.

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ウチの「たかがやきとり」は三時間待ちの「されどやきとり」だぞ,一見の一人客に食わせてやるものか! 帰れ帰れ!というわけだ.w

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