箸を正しく持てない料理人
先日の早朝,ニッポン放送に,現代家族論の著作で知られる論客,岩村暢子さんがゲストに招かれて,現代日本の家庭における食事の状況について語った.トークのネタは,彼女が昨年出版した『残念和食にもワケがある 写真で見るニッポンの食卓の今』(中央公論新社,2017年) であった.
その時の岩村さんの話を聴いた限りでは,彼女は一般庶民の家の生まれではなさそうである.というのは,幼少のみぎり,家族で同じ食卓を囲むということがなかったというのだ.
どういうことかというと,詳しくはわからないのだが,一家のうちの男性たちが例えば床の間のある部屋で食事をするとして,その場合,女性たちは敷居を挟んだ下座にあたる部屋で食事をしたのだという.
また,来客に食事を振舞うばあい,一家の主が自ら料理し,その客に「これには女の手を触れさせておりません」と言うのが最高の接待だったという.
最近は女性の鮨職人や日本料理人がテレビで紹介されるなどして,料理の世界に女性が進出しているようだが,昔は女性を不浄視したから,来客に「女が作った料理ではありません」と言うのが良い接待だったらしい.これは超封建的なとんでもない女性差別だから,にわかには信じがたいが,旧華族とか上流士族の家庭ではそのようなことがあったのかも知れない.
私は貧民階級出身だから,上流階級の家庭の食事シーンを見たことがない.例えば箱膳というものを見て知ってはいるが,実際に使ったことはない.ところが岩村さんの家には箱膳があったらしい.
『残念和食にもワケがある 写真で見るニッポンの食卓の今』は,既に崩壊してしまった日本の家庭の食事シーン (例えば子供たちの食事として,コンビニで買ってきたパンや弁当をテーブルに出す母親とか) を写真で紹介している.これを私は今読んでいるところだ. 岩村さんはかなりの上流階級出身のようだから,彼女の見解は多少割り引いて聞く必要はあるだろう.しかし,納得できる点も多いので,彼女の著書を更に何冊か注文してみた.
岩村さんは,今の人たちは箸を正しく持てないと嘆いていたが,いやいやそれは今に始まったことではない.私と同世代,あるいはそれ以上の高齢者でも,箸を正しく持てるのは少数派だったのだ.
箸をきちんと持てない親は,子供に箸の持ち方を教えることができないから,現在では美しい箸遣いのできる人は百人に数人程度だろうと思う.(箸の正しい持ち方はココ)
その一例を挙げよう.一昨日 (11/30) のテレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!【それでも食べたい!?最新ニッポンのお米事情】 』 は,
* 24時間全自動!巨大工場のご飯のゆくえ
* 1日3000個!激売れおにぎりのヒミツ
* 超高額でも完売!よみがえる「幻の米」
という放送内容だった.
ゲストは茂出木浩司 (たいめいけん三代目) と小倉優子さんであった.
上の画像は,茂出木浩司が調理しているテレビ画面をカメラで撮影し,トリミングしたもの.
こういう箸の持ち方では,箸先で食材を保持できない.上の画像では,ただ単にかき回しているだけだ.マリンスポーツで真っ黒けに日焼けするほど遊んでいる暇があったら,箸の持ち方の練習くらいしろと言いたい.
東京駅のところの大丸に,たいめいけんの弁当売場があり,そこで販売されている弁当が添加物まみれで非常にまずいという話を,このブログに書いたことがある.あの時は本当に腹が立ったが,上のシーンを見て思うのは,料理人でありながらこんな箸の持ち方をする人間は,料理人としての自覚がないということだ.箸の正しい持ち方なんて,少し練習すればできるようになること.その程度の努力すらしない怠け者に,おいしい弁当を作れるはずがない.うまいものを作れないのに,なーにがシェフだ.料理人なんかやめてしまえっ.ヾ(--;)
上の画像は,ゆうこりん が御飯を食べているところ.手元を拡大したのが下の画像.
箸は揃えて持つといいですね.(左側の↓)
親指の先を人差し指に乗せてしまうのではなく,あと一センチ人差し指の爪の方に寄せて,親指の先と人差し指の先の両方で箸を保持するようにすると,正しい持ち方になります.(右側の↓)
とはいうものの, 女手一つで懸命に二人の子を育てている ゆうこりん ですから,箸の持ち方なんかどうでもいいです.
お仕事,がんばってください.噂では,お付き合いしている男性がいるとか.お幸せに.
何言ってんのかわかりませんが,そういうことでよろしく.
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