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2018年11月 2日 (金)

口角をあげて笑顔を

 私は大人の休日倶楽部ジパング (JR東日本) の会員なので,JR西日本とか東海の切符も割引購入できる.年に数度の遠距離旅行をして,この割引制度を活用すると,大人の休日倶楽部ジパングの会費はチャラにできるので,これが高齢者に大人気となっている.
 それは嬉しいのだが,システムというか仕組みというか,切符の割引購入手続きがめんどくさいのである.
 会員が割引切符を買うときは,あらかじめ「ジパング倶楽部会員証」の中にある「JR乗車券購入証」に氏名・電話番号・会員番号・券種・使用期間などを手書きし,会員証と共に窓口に提出しなければならないのだ.
 すると窓口係員は,手書きの「乗車券購入証」を見ながら,オンライン端末に入力する.
 割引された乗車券や指定席券が端末から発行されたら,窓口係員は「ジパング倶楽部会員証」から「乗車券購入証」を切り取って,処理 (どんな処理かは知らないが) に回す.
 つまり,買い物だろうが交通機関に乗るのだろうがATMだろうが,オンライン端末とICカードとパスワードを用いて,何でも高速に処理する時代に,昭和四十年代の手書きの紙書類システムが生きているのである.
 JR各社間のオンラインシステムがあるにもかかわらず,なんでこんな手続きが必要なのかと考えてみるに,これは会員の大部分が高齢者であるせいかも知れない.実際,私よりも高齢の七十代,八十代の人たちは,長距離切符を購入する際に,緑の窓口に並ぶ傾向がある.乗車券・特急券などの券売機がガラ空きでも,窓口に並ぶのである.
 時折,JRの女性社員が,緑の窓口の隣にある指定席券売機コーナーに,使用方法を説明しようと立っていたりするのだが,それでも老人は彼女と目を合わさぬようにして窓口に並ぶ.(中年女性も窓口が好きで,券売機を使わない傾向があるが)
 私が思うに「ジパング倶楽部」が手書き書類システムを採用しているのは,むしろ高齢者へのサービスなのかも知れない.無理に指定席券売機を使わせるとパニックになるから.
 しかし,現役会社員のときから指定席券売機の使用になれている世代にとって,むしろ手書きシステムの方が煩わしいのも事実である.このまま「会員手帳」方式を残すとしても,券売機でジパング倶楽部割引乗車券が購入できるようにして欲しいと思う.

 さて先月の末,今月初めに出かける旅行で使う「東海道新幹線のジパング倶楽部割引切符」を買いに行った.二割引きである.
 話のマクラに書いたように,これを買うには緑の窓口に並ばなければいけない.藤沢駅の緑の窓口は受付が二つあり,その時はどちらも若い女性社員が担当者だった.並びかたはフォーク式である.
 やがて順番の来た私が「ジパング倶楽部会員証」と,手書きの「JR乗車券購入証」を提出したのは,二人のうちの,より若そうに見える女性の窓口だった.
 彼女は,ニコリともしなかったのだが,それは少し緊張しているからだと思われた.その若さではまだまだ業務遂行時には緊張しているだろうし,おまけに目の前の客が,いつブチキレるかわからない爺さんなのだ.(よくメディアが話題に取り上げているが,爺さんというものは,自分に理解できないことがあると容易にキレルのであり,私も例外ではない)
 そんな状況下に彼女はつい入力ミスをして,乗車区間が間違っているキップを出力してしまった.
 クレジットカード清算が終わった後になって「あ…」と自分のミスに気が付いた彼女は「すみません,間違えました…」と目を伏せた.
 失敗してしまった彼女に,私は明るく「えーとカード清算金額の訂正もするんだね?」と言って,いったん財布にしまったクレジットカードを取り出した.本当は,彼女の小さな左掌を私の両手で包み込んで優しく励ましてあげたかったのだが,たまたま駅長がそこに現れたりすると厄介なことになるので,それはやめた.ヾ(--;)

 JR東日本のメルマガや会員情報誌を読んでいると,時期によって「お得な切符」のあることがわかる.緑の窓口の担当者は,「お得な切符」があることを知らずに窓口にやってきた顧客に,損をしないように案内しなければいけないのだが,それには自社の複雑な商品情報を完璧に頭に入れておく必要がある.
 切符ではないが,長年 Suica を使っておきながら,私が「Suica のお得な解約方法」を知ったのは,やっとこさ一年ほど前のことだ.これも,知らずに緑の窓口にやってきた顧客には,窓口にいる担当者が教えてくれるのだ.
 いやもう私なんかにはとてもできない仕事を若い人がテキパキとこなしているのを見ると,感心するほかはない.

 上に書いた若いJR女性社員も,数年すれば余裕ができて顧客に笑顔で接客できるようになるだろう.
 それで思い出したのは,少し前 (10/25) に放送された『カンブリア宮殿』JR東日本特集後編に登場したJR立川駅の女性社員だ.彼女は「エキュート立川」のスイーツ担当者である.
 
20181101d
 
20181101b
 
 二つの画像 (テレビ画面をカメラ撮影したもの) のうち,上はテレビ局取材スタッフの質問に答えているときの表情で,下は答え終えたときの笑顔である.このようなメリハリのきいた表情は,訓練努力しないとできないだろう.JR東日本はすばらしい社員を持っている.前編後編の二回に分けて放送された『カンブリア宮殿』JR東日本特集を観てそう思った.

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