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2018年11月 9日 (金)

記念艦三笠でカレーを (海軍カレー編 3)

 前回の記事《記念艦三笠でカレーを (海軍カレー編 2) 》の末尾を再掲する.

上に引用した Wikipedia【日本の脚気史】の記述は,Wikipedia【高木兼寛】と異なり,史実に基づく公正的確なものである.そして,ここには海軍カレーのことは全く出てこない.
 ところが,高木兼寛が明治十七年に海軍練習船「筑波」を長期航海させて行った脚気予防試験が,海軍カレーの始まりであるという でっち上げ 俗説を垂れ流す人々が史料を示さずに異口同音に用いるキーワードは「カレー風味のシチュー (カレーシチュー)」である.一体この献立名はどこからやってきたのか.それを調べる必要がある.

 後述するが,カレー風味のシチュー (カレーシチュー) が海軍カレーの始まりであるという話は,広義の都市伝説である.下に Wikipedia【都市伝説】から引用する.

定義
都市伝説の第一人者である都市伝説ライターの宇佐和通は都市伝説について「『友達の友達』という、近い間柄ではなく、特定も出来ない人が体験したものとして語られる、起承転結が見事に流れる話」と定義している。また「都市伝説とは、本当にあったとして語られる『実際には起きていない話』である」「実存しない可能性が高い人間が体験した虚偽についての物語」と述べている。
都市伝説蒐集家の松山ひろしは「『友達の友達』など身近なようで実際には顔も名前も解らない人々に起きた出来事として語られる奇妙な噂話」と述べている。

 上に「広義の都市伝説」と書いたのには理由がある.都市伝説は通常,《実存しない可能性が高い人間 》や《顔も名前も解らない人々 》が登場する物語なのであるが,しかし「海軍カレー伝説」は,実在の人物である高木兼寛がおこなったとされる《虚偽についての物語 》である点が,狭義の都市伝説と異なるのだ.
 また普通の都市伝説は,その《奇妙な噂話 》の創作者が不明であるが,「海軍カレー伝説」は横須賀市当局と同市のカレー屋たちによる でっち上げ 創作であることが明白だからである.
 そして,狭義の都市伝説は,たわいもない罪のない噂話にすぎないのであるが,「海軍カレー伝説」は現在では「歴史的事実」と化しつつある.いわば歴史の捏造である.さらに,その捏造を最初に行った者が,個人ではなく,横須賀市という公的存在であることが特筆される.
 これまで例に挙げてきた Wikipedia や「カレーの街よこすか事業者部会」の公式サイトにある記述は,実は「海軍カレー伝説」の原型である.横須賀市当局と横須賀市のカレー屋たちは,町おこしと商売のために「海軍カレー伝説」を創作したのだから,一目瞭然の嘘話では困るわけだ.そのためにいわばもっともらしい「規範とすべき 嘘の 物語」を拵えて「カレーの街よこすか事業者部会」の公式サイトに掲載し,その規範を遵守できるカレー屋を「よこすか海軍カレー」として公認するシステムを作ったのである.

 しかし,せっかく規範とすべき嘘があるにもかかわらず,「これ位の嘘の追加は許されるだろう」としてさらに話を「盛る」連中がいる.例えばその一人に,自称「医療ジャーナリスト」の木原洋美がいる.
 余談だが,Wikipedia【ジャーナリスト】に下に引用する記述がある.

一方で日本の法律においては「ジャーナリスト」と自称する際の特別な基準は存在していないが、日本自動車ジャーナリスト協会の様に業界独自の基準を定めている場合も有る。ジャーナリストとなるために教育システムや制度は整備されていない。このため、教育は報道機関の社員教育、経験者に教えてもらう、独学で覚えるなど行う必要がある。誰でも「ジャーナリスト」と自称することが可能であり、ジャーナリストとしての資質や実績が全くない者が「ジャーナリスト」と自称しても法的に詐称にはならない。また、より専門的な分野を得意としていることを示すために、“**ジャーナリスト”(例:国際ジャーナリスト、軍事ジャーナリスト、経済ジャーナリスト、教育ジャーナリスト、芸能ジャーナリスト、中東ジャーナリストなど)を自称することもある。ただし、日本における「ジャーナリスト」は文章を採用するメディアが取捨選択する過程で自然淘汰されることに任せている状態であり、資質や能力に問題がある者がジャーナリストに相応しくないとして強制的に排除されるシステムは存在しない。そのため、文章作成を初めとする能力、資質、倫理観などが欠如している者でも何らかのメディアに寄稿さえしていれば「ジャーナリスト」と自称しても間違いとまでは言えないが、ジャーナリストと呼ぶに値するかの点では議論の対象になる。》 (引用文中の文字の着色は,当ブログの筆者が行った)

 木原洋美は《文章作成を初めとする能力、資質、倫理観などが欠如している者 》の一人である.
 この嘘吐き女 木原洋美が半年前,ダイヤモンド・オンラインに《カレーライス誕生秘話、国民食は海軍軍医が健康のため発案した 》を書いた.(嘘というものは,真実と異なって速やかに伝播するものであり,アスキー.jp がたちまち転載した.文章を分割せずに掲載しているので,こちらの方がダイヤモンド・オンライン版より読みやすい)
 木原洋美は《倫理観などが欠如している》ので話を盛って,「海軍カレー」の規範を逸脱してしまった.その逸脱を下の画像 (PCのモニター画面をハードコピーしたもの) で示す.

20181108b
 

 木原洋美の文章のどこが,規範とすべき虚偽から逸脱しているかというと,

たんぱく質を多く含んでいるということで麦と米を半分ずつ混ぜた麦飯にかけた「ライスカレー」だった。麦を混ぜたおかげで期せずしてビタミンB1の不足も補え、結果、明治18年には海軍の脚気の罹患者数は41名、死亡者数なし、と劇的に改善

の箇所である.軍艦 (ただし海軍兵学校の練習艦である)「筑波」の遠洋航海で脚気予防方法の実験が行われたのは明治十七年であるが,海軍が兵食に麦飯を採用したのは,翌明治十八年のことであった.すなわち「筑波」の兵員たちは,実験航海では麦飯を食ってはいなかったのである.そのことについては次回の記事で述べる.

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