一見さんお断りの焼鳥屋
土曜日と日曜日をかけた湖国の仏を訪ねる旅の,一日目の宿は,JR西日本琵琶湖線の南草津駅西口に隣接するアーバンホテル南草津であった..
チェックインのあと,食事しようと外に出たのだが,駅西口は真っ暗である.駅構内を通って東口に回ったが,ここも居酒屋が二店入ったビルと西友があるだけで,食事ができるような繁華街はない.やむなく少し歩いたら,「花ひこ」(←「食べログ」のリンクを示す) と看板を掲げた店があった.店構えは小奇麗に新しそうで,店内に煙がもうもうと漂う昔風の焼鳥屋ではない.私みたいな年寄りではなく若い人向けの店なんだろうが,そのあたり一帯は繁華街がない田舎の駅前で他に飲食店もなさそうなので,焼鳥を食って寝ることにした.
店のドアを開けて中に入ると,左側に四人腰かけられるカウンター席があり,あとはグループ客用の席で,既に店内には数人ずつの先客グループが二組いた.
さて店員が注文を取りに寄ってきたので,私は品書きを見て,角ハイボールと「牛串」を二本と「手羽先」を二本注文した.
すると店員の兄ちゃんが言う.
店員「あのー,食べ物は少しお時間をいただきます」
私「少しくらい構わないよ.どれくらいかかるの? 三十分?」
店員「あー…」
私「一時間?」
店員「いえー,…」
私「二時間?」
店員「はあ,手羽先はもう少し…」
私「おいおい驚いたなー.どういう特別な焼鳥か知らんけどさ,焼鳥食うのに三時間も待てないよ.それじゃさ,割と早めにできるものは何かあるの?」
店員「じゃ牛串と手羽先はキャンセルですね.あっさり系の,冷奴と枝豆なんかは早いです」
そういう遣り取り (上の会話は,ほぼ実際のまま) があって私は,食事をしたかったのに,突き出しの生キャベツとモヤシ,冷奴と枝豆でハイボールを飲むという侘しい状況に置かれた.
そういう状況では長居をしても仕方ないので,早々に引き揚げようと思い,枝豆をパクパク食べていたら,カウンターの横の席にカップルが来た.
その二人は店員の兄ちゃんに焼鳥を注文したのだが,兄ちゃんはなにも言わずにオーダーを受けて,そしてしばらくすると彼らの前に,三時間は待たねば食べられないはずの焼鳥が届けられたのである.
どういうことだと私が考察するに,そのカップルは常連客である.そしてこの店は一見客お断りなのだ.しかも,私はお一人様だ.そこで店員の兄ちゃんは,店の方針を知らぬ私が,歓迎されていないことを察して早く出ていくように,たった数本の手羽先と牛串を焼くのに三時間かかると言ったのである.
それにしても,一見の一人客が嫌いなら,私が店に入ってきたときに「うちは初めてのお客さんはお断りしてます」とか「お一人様はご遠慮いただいてます」などと言えばいいではないか.そう言ってくれれば,私は「そうですか」と言って引き揚げたはずである.そしてカウンター席に腰かけて食いたくもない冷奴なんぞ食わなくても済んだのである.
滋賀の片田舎の飲食店「花ひこ」は,馴染み客以外は排斥する方針の店なんだろう.しかしそのような経営方針であることは一向に構わぬ.店の側が客を選んではならぬという法はない.それならそれで,明るく一見客の入店を断ればいいのだ.しかるに「花ひこ」のやり方は陰湿である.不愉快な接客である.それ故,旅行とか商用で南草津駅に宿泊することになった人は,駅東口の焼鳥屋「花ひこ」には決して入らぬことをお勧めする.極めて不愉快な思いをすること確実だからである.
上は「花ひこ」の箸袋の表.下はその裏.上に書いた話がノンフィクションであることを示すために,箸袋の意匠をスキャンして引用する.
ウチの「たかがやきとり」は三時間待ちの「されどやきとり」だぞ,一見の一人客に食わせてやるものか! 帰れ帰れ!というわけだ.w
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