チャップリンの音楽 (一)
映画音楽の流れでもう一つ.
二十世紀の偉大な映画人を三人あげなさいと言われたら,その一人にチャップリンの名を挙げる映画ファンは多いのではなかろうか.チャップリンを二十世紀で最も偉大な映画人だとする人もかなりいるだろう.
Wikipedia【チャールズ・チャップリン】に次のように記述されている.
《イギリス出身の映画俳優、映画監督、コメディアン、脚本家、映画プロデューサー、作曲家である。》
《チャップリンは、ハリウッドにおいて極めてマルチな才能を示した人物であり…》
もちろん,映画監督や脚本家や俳優,あるいは映画プロデューサーなど各分野における偉大な才能は星の数の如くであろうし,《マルチな才能 》もチャップリンだけではない.例えばクリント・イーストウッドはその代表格.
しかし,Wikipedia【クリント・イーストウッド】に《アメリカ合衆国カリフォルニア州、サンフランシスコ出身の映画俳優、映画監督、映画プロデューサー、作曲家、政治活動家 》とあるが,クリント・イーストウッドが作曲した映画音楽を列挙できる人は,現在ではほとんどいないだろう.
しかしチャップリンの作った映画音楽は (たとえそれが通俗的なメロディ・ラインであるとしても) 『モダン・タイムス』の主題歌“スマイル”と『ライムライト』の“テリーのテーマ”は古い映画ファンなら誰でも知っている.むしろチャップリンがチャップリンたる所以はその音楽的才能にあると私は思う.
映画音楽という楽曲のジャンルは面白いもので,主題曲・歌はよく知られているが,映画そのものは凡作で,今はもう忘れられてしまったという作品が多々ある.ところが『モダン・タイムス』の“スマイル”と『ライムライト』の“テリーのテーマ”(「エターナリー」とも呼ばれる) は,それだけで傑作である各映画作品から受ける感動を,主題曲がさらに高めた例である.
(続く)
| 固定リンク
「 続・晴耕雨読」カテゴリの記事
- エンドロール(2022.05.04)
- ミステリの誤訳は動画を観て確かめるといいかも(2022.03.22)
- マンガ作者と読者の交流(2022.03.14)
コメント