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2018年8月13日 (月)

『からだシフト』の低糖質包装米飯

 三菱食品 (2011年に三菱系の食品卸である菱食,明治屋商事などが経営統合した商社) は,糖質制限用の加工食品ブランド『からだシフト』を展開している.
 製造者が異なる個々の『からだシフト』商品を,三菱食品が統一ブランドとして企画開発しているわけだ.
 そのアイテムの一つに「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」があるので,どんなものか買ってみた.製造者はテーブルマーク株式会社 (新潟県南魚沼市),販売者はサラヤ株式会社 (大阪市東住吉区) である.
 品名は「包装米飯 (雑穀米)」で,原材料表示は以下の通り.
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原材料名:
米 (国産),大麦,還元難消化性デキストリン,酸味料
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 栄養成分表示は下記の通り.
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栄養成分表示 (1食 / 150g 当り)
エネルギー        163kcal
たんぱく質         2.9g
脂質            0.5g
炭水化物         39.2g
    炭水化物 (糖質)     35.0g
    炭水化物 (食物繊維)    4.2g
食塩相当量         0g
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 食品や食材の低糖質化の常套手法は,デンプンを小麦タンパクで置き換える方法である.例えば少量の小麦粉に,コムギのブランと小麦タンパクを加えて製麺することにより,かなり低糖質の麺とすることができる.まだこのブログで紹介していないが,鳥越製粉がその手法で大幅に糖質を減らした良質の麺を製造販売している.
 しかし包装米飯では,この手が使えない.そこで『からだシフト』の「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」は,還元難消化性デキストリン (*脚註) で増量することにより含有糖質量 (%) を低下させているようだ.
 しかしその目論見が成功しているかどうかは実際に食べてみないとわからない.それで購入して試食し,確かめたわけである.

 まずは普通に電子レンジで加熱してパッケージのフィルムを剥がし,しかし中身を見て私は「なんだこれは?」と思った.
 見慣れた包装米飯,例えば「サトウのごはん」とは随分と様子が違う.
 目を近づけて観察したところ,丸い大麦の粒の他は米粒なのであるが,その粒の大きさが小さいものから,普通の大きさの粒まで色々なのである.
 米粒は,短粒の国産米の他に,炊飯時に胴割れしたと思しき小さなかけらと,長粒種 (インディカ米) の米がかなり入っている.
 原材料表示は「米 (国産)」となっているのに,どうしてインディカ米が….
 と思って調べてみたら,私は全く知らなかったのだが,四年前から佐賀県で長粒米が生産されているのであった.品種名は「ホシユタカ」という.
 そしてさらにホシユタカ関連サイトのいくつかを閲覧すると,この品種は,インディカ米特有の香りがせず,日本人に好まれるジャポニカ米の香りのする点が優れていると書かれている.
 この「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」に関連する特許を検索したが今のところ見つけることができていない.従ってこれは推測に過ぎないのであるが,短粒国産米に還元難消化性デキストリンを加えて炊飯すると,米粒の外側が還元難消化性デキストリンでコーティングされることになる.還元難消化性デキストリンは主に飲料の機能性成分として使用されているが,薄い水溶液では低粘度であっても炊飯後は濃縮されるから「糊」のようになるだろう.この「糊」で米粒がコーティングされると,米飯の食味としてはベタベタして味を損ねるのではないか.
 それを少しでも緩和するために,元々が炊飯してもパラパラしている (=糊化しない) インディカ米をジャポニカ米にブレンドしたのではないかと考えられる.

 このようにして,包装米飯を還元難消化性デキストリンで増量することにより低糖質化を実現しようとの目的がインディカ米のブレンドというアイディアに結びついたというのが私の推測である.
 その開発プロセスはよしとして,しかし商品化された「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」は,失敗していると私は考える.有体に評価して「まずい」のである.
 ホシユタカ単独の食味を私は知らないが,もしかするとあまり上質ではないかも知れない.またそれ以外にブレンドされている国産米も,かなり低品質なのではないか.
 以前にも述べたが糖質低減に関して「35%オフ」は微妙な線である.ほんの少し低糖質だというところである.そのわずかな低糖質化のために,食品の「おいしさ」を犠牲にするのは本末転倒だ.
 そんなことをするくらいなら「おいしい御飯」の,食べる量を少し減らせばいいのだ.
 私たちが食べ慣れている「サトウのごはん」と,『からだシフト』の「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」とを食べて比較すれば,百人のうちの百人が「サトウのごはん」を選ぶだろう.「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」の食味は歴然と劣る.また「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」には酸味料が添加されているが,衛生的な工場で製造されている「サトウのごはん」にはそんなものは使われていない.これも『からだシフト』の包装米飯の減点ポイントである.

 私は『からだシフト』の「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」を十個入りを Amazon で購入したのであるが,これほど残念な商品だとは思わなかった.試食したあとの残り九個をどうしようかと思案している.

[脚註]
 難消化性デキストリンは,一般的には焙焼したデキストリン (トウモロコシ由来が多い) を酵素分解することにより,酵素分解可能な部分を除去して得られる.
 その難消化性デキストリンを水素添加して還元することにより還元難消化性デキストリンを得ることができる.還元難消化性デキストリンは,難消化性デキストリンの欠点である焙炒による着色が解消されている.
 還元難消化性デキストリンは,食後血糖値の上昇を緩やかにするとし最近注目されている機能性食品素材である.『からだシフト』の「ごはん (大麦入り) 糖質35% off」は,単なる低糖質化だけでなく,食後血糖値の上昇を抑制する効果を期待したのであろうが,残念ながらアイディア倒れに終わった.

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