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2018年6月 9日 (土)

孤独と寝たきり

 昨日,テレビをオンにしてチャンネルを変えながら流し見をしていたら,下重暁子さんが登場していた.(フジテレビの『ノンストップ!』とかいうエンターテインメント帯番組)
 それを見ていて知ったのだが,下重暁子さんの著書がかなりの売れ行きなんだそうである.『家族という病』『家族という病 2』と最近刊の『極上の孤独』(いずれも幻冬舎新書) だ.
 へー,どんな本なんだろうと Amazon で『極上の孤独』を覗いてみたら,幻冬舎新書のベストセラー一位なのに,購入者レビューでは星一つが一番多いという最低のボロボロ状態になっていた.
 この本を読んだ人たちの感想をざっくりまとめると,「お前が言うな!」ということだ.w
 下重さんについては,大昔はアナウンサーだったことは知っているが,著書を読んでいないし,あまり知らない.
 それで簡単に調べてみたら,相当に恵まれた人生を過ごしてこられたようだ.いわゆるセレブで,現在も出版界で活躍しているのだから,全く「孤独」ではないのだが,その人が「孤独」を論じているところに,レビューで叩かれる理由があるみたいだ.
 『極上の孤独』は,たぶん五木寛之の『孤独のすすめ』がそこそこヒットしたので,二匹目の泥鰌を狙って書いたものだろう.
 そこで Amazon の《内容紹介》を読んだら,以下のことが書かれていた.

そもそも孤独でいるのは、まわりに自分を合わせるくらいなら一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで、成熟した人間だけが到達できる境地でもある。「集団の中でほんとうの自分でいることは難しい」「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」等々、一人をこよなく愛する著者が、孤独の効用を語り尽くす。

 《孤独を味わえるのは選ばれし人》《孤独を知らない人に品はない》《素敵な人はみな孤独》は,『極上の孤独』からの引用だろうが,なんかこう傲岸不遜というか,叩かれる要素が満載だ.
 下重さんは自分のことを「選ばれし人」と思っているから《孤独を味わえるのは選ばれし人》なんて恥ずかしい言葉を書けるのだろう.
 《孤独を知らない人に品はない》も同じ.自分を上品だと勘違いしているから堂々とこんな下品なことを書くのだと思う.
 《素敵な人はみな孤独》はもっと酷くて,下重さんは,山口百恵さんや安室奈美恵さんを孤独だと書いているらしいが,レビューによると無根拠らしい.

 まあ,普通の人はこんな《内容紹介》を読んだら絶対に買わないと思う.ということは,この『極上の孤独』の内容紹介は,叩かれるのを承知の逆張りマーケティングなのだろうか.
 性格が悪い女性作家といえば,遠藤周作にそれとなく性格の悪さを書かれてしまった曽野綾子が筆頭で,その次は自分のゴージャスな生活を自慢たらしく書く林真理子だが,下重暁子もその仲間入り決定ですな.

 ところで,先日 (6/6) の NHK『ガッテン』で《筋肉&血管を強くする!世界が証明した“最強の寝たきり予防法”》と題した放送があった.私はこれを偶然観たのだが,おもしろい内容だった.番組のアブストラクトから一部を引用する.

世界的にインパクトを与えたのが、アメリカで発表された148研究(対象者およそ30万人)をメタ解析した研究結果です。長生きに影響を与える要因を調べたところ、肥満解消、運動、禁煙よりも「人とのつながり」が長生きへの影響力が高いことが分かったのです。日本の研究でも、「人とのつながり」が「運動」よりも寝たきりの危険度を下げることが明らかになってきています。

 孤独は寝たきりの危険度を上げる.この番組の内容はなかなか説得力があると私は思ったが,下重さんはどう思うだろうか.彼女は深くものを考えて本を書くような人ではないようだから,何も思わないだろうなあ.冒頭に書いたテレビ番組『ノンストップ!』で,彼女の著書から引用して番組側が作ったフリップがあったのだが,彼女は自分が書いたことを覚えていないようだった.自戒を込めていうのだが,思索に基づかずにテキトーに思い付きを本に書き殴ると,自分が書いた文章でも忘れてしまうのである.w

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