嘘は罪
先程から,パティ・ペイジの「嘘は罪」を聴きながら,晩飯の支度を始めた.
支度といっても,昼過ぎに藤沢の銀行に行ったついでにダイヤモンドビル地下の鶏惣菜屋「浜鶏」に寄って,網焼きチキンを一つと鶏腿の唐揚げを二百グラム買ったので,これを買い物袋から取り出し,大容量 (600ml) のステンレス断熱タンブラーに,近所のファミマで買った氷を目一杯入れ,酒を注ぎ,書斎 (笑) のパソコンの前に陣取るだけのことである.
パティ・ペイジはいいなあ.進駐軍とか米軍極東放送とか,昭和三十年代のにおいがする.
パソコンの iTunes をリピートモードにして,飽きもせず,繰り返し繰り返し「嘘は罪」を聴く.(YouTube はここ)
パティ・ペイジは訛っていると私は思う.彼女はオクラホマの生まれ育ちだから,南部訛りかというと,そもそも私は南部訛りの米語がどんなものか知らないので,何とも言い難い.
ただ,無理やり片仮名で書くと,他の歌手たちが“イッツ ア スィン トゥ テル (tell) ア ライ”と歌っているのに対して,パティ・ペイジは“イッツ ア スェン ツー ツェル ア ライ”と日本人の耳には聞こえるのだ.
“ダイ (die) ”は同様に“(ダイ+ザイ)”と聞こえる.
私は一度だけ,アメリカ南西部に行ったことがある.その時に,ホテルマンの南部訛りが全く聞き取れなくて往生した.それに比べればパティ・ペイジは訛っていないというべきかも.
それはそれとして,「嘘は罪」を聴くときに相応しい酒はなんだろう.
この歌の作詞作曲者であるビリー・メイヒュー (Billy Mayhew) は一発屋で,その人物像は全く知られていない.都会人なのか,カントリーの人なのか,誰も知らない.しかし一発屋にしては,あまりにもいい曲すぎる.誰か著名な作曲家が覆面で作ったのだろうか.
名前が“Billy”だから男 (女性名のビリーはスペルが Billie) だろうが,歌詞は女心を歌っているとしか思えない.
南部の大き目の酒場のフロアで踊る二人.男が「愛してるよ」と囁く.女は「愛してる,は本気で言わなけりゃ.嘘は罪よ」と言う.あたしを騙したら,死ぬからね,と.
やはりここはバーボンかな.
でもバーボンはいま切らしている.
あるのは泡盛「久米島の久米仙」なので,島唄風に「嘘は罪」を歌うとどうなるか考えてみた.成底ゆう子さんはジャズは歌わないのだろうか.
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