ポテサラの食品衛生学 (二)
* 前回の記事《ポテサラの食品衛生学 (一) 》の末尾を再掲する.
《さて,ポテトサラダが傷みやすい理由だけでかなり長文になってしまった.このあと,島本教授は驚くべき妄説を開陳したのであるが,それは続きで.》
弁当に詰めた四種類のおかずのうちで,一番食中毒の危険性があるのは何でしょうかという問題 (正解はポテトサラダ) に続く問題は《ポテトサラダに先生オススメのあるものを加えると、味も美味しくなり食中毒予防もできるそうなんですが、それは、一体何でしょうか?》だった.(その問題と答えが番組サイトに掲載されている)

(上の画像は,録画データを加工したものではなく,テレビ画面をデジカメで撮り,そのデータをトリミングしたものである.以下の画像も同じ)

自分で料理をする人にとっては常識であるが,カレーは家庭料理の中で腐敗しやすい料理の代表格である.
この資料に《ウェルシュ菌食中毒の原因食品別の割合》という図が載っている.
そのデータを以下に転記する.
煮物 28%
カレー 21%
肉の煮込み 11%
シチュー類 8%
ローストビーフ 6%
肉じゃが 3%
その他 23%
この表で,カレーのウェルシュ菌食中毒発生割合が,肉じゃがやシチュー類よりもずっと高いのは,カレーに用いられる香辛料が著しく菌に汚染されていることが原因である.
香辛料は主として東南アジアを中心とした発展途上国の農産物から製造される.中でもブラックペッパーとターメリックの芽胞形成菌 (昨日の記事で説明した) 汚染は甚だしい.家庭のキッチンにある食材の中で,最も芽胞形成菌に汚染されているのはカレー粉なのである.(カレー粉の商品価値である香気を失わずに芽胞を破壊するのは,現行の日本の法規制下では非常に難しいためである.機会があれば説明したい)

カレー粉の原材料である香辛料のターメリックにはクルクミンが含まれており,確かに純粋なクルクミンには弱い抗菌性が認められるのであるが,ターメリックそのものの菌汚染が甚だしいので,少しばかりのクルクミンの効果は焼け石に水である.
つまり,作り立てで菌の少ないポテトサラダにカレー粉を加えるのは,数千個の芽胞をポテトサラダにぶち込んで,わざわざ食虫毒のリスクを激増させるようなものなのである.
カレー粉をポテトサラダに入れて菌の増殖が抑制できるのなら,とっくに惣菜製造業者が実行している.スーパーでもコンビニでもカレー風味のポテトサラダが売られていないのは,カレー粉が芽胞形成菌に著しく汚染されていることを惣菜製造業者は承知しているからなのである.
カレー粉の菌汚染のことを知らないのは《専門は食品衛生学》の島本教授くらいなものだろう.テレビに出る前に,少しは食品衛生学を勉強していただきたいものだ.『世界一受けたい授業』の視聴者が,島本教授発の嘘情報を信じなければよいのだが.
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