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2018年6月23日 (土)

軍国主義アニメ

 小学生の私が初めてみたアニメ映画は,日本公開が昭和三十一年 (1956年) のディズニー映画『わんわん物語』だった.たぶん父親自身が観たかったので私を連れて映画館に行ったのだと思うが,すごいものを観たという感激を私は今でも覚えている.
 その次は東映の『白蛇伝』で,これは学校側が視聴覚教育の一つとして,校庭に大きな柱を二本立て,これに布を張り渡したスクリーンを作って生徒にみせた.抒情的な優れた作品であり,私はこれが日本製アニメの出発点だったと思う.

 昨日から,櫻本富雄『ぼくは皇国少年だった』(インパクト出版会,1999年) を再読している.
 この櫻本氏の著書は,戦前・戦中に戦争協力者だったにもかかわらず,戦後はその過去を隠蔽し,あたかも戦争中に反戦姿勢を貫いたかのような嘘をつき続けた人々のことが書かれている.文化人の戦争責任を問うた評論集である.
 この書籍に評論「アニメ・桃太郎・海の神兵」が収められている.初稿は昭和五十九年 (1984年) で,これは戦中に製作された軍国主義宣伝アニメ『桃太郎 海の神兵』に対する批判である.
 私が冒頭に『白蛇伝』が日本製アニメのスタートだと書いたのは,私は『桃太郎 海の神兵』(と姉妹編『桃太郎の海鷲』) をクリエイターの作品であるとは認めないからだ.これは少国民を戦争に動員するために海軍省と大本営海軍報道部が作ったプロパガンダ映画だからである.
 私は知らなかったのだが,Wikipedia【桃太郎 海の神兵】に次の記載がある.

2016年、第69回カンヌ国際映画祭のクラシック部門に出品され、7月23日よりデジタル修復版がユーロスペースなどで上映。

『桃太郎 海の神兵』をカンヌ国際映画祭に出品するのは,ナチスのプロパガンダ映画をカンヌ国際映画祭に出品するのと大差ないと思うが,映画祭に出した時の評判はどうだったのだろう.調べているが資料が見つからない.

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