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2018年6月 5日 (火)

初めての台湾 (五)

【この連載記事のバックナンバーは,左のサイトバーにある[ カテゴリー ]中の『冥途の旅の一里塚』にあります】
 
* 前回の記事《初めての台湾 (四)
 
 今回のツアーで三連泊した台北市内の洛碁大飯店・林森館は普通のビジネスホテルだが,朝食は充実していた.私が朝食会場に入ると,厨房から料理を運んでくるおばさんが,私が日本人観光客だと気が付いて,すごくフレンドリーに料理の説明をしてくれた.その料理は,日本のビジネスホテルの朝食では,見かけないものがいくつもあった.
 食事後,ロビーに再集合したツアー同行者のみんなと「朝食に出たアレはおいしかったけど,アレは一体何なの?」と話題になったが,結局よくわからない正体不明の料理がいくつかあった.おいしかったから正体不明でもいいけど.w

 

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 ホテルは大き目な交差点の角にあるのだが,玄関を出ると,すぐ目の前の角地に寺院があった.交差点の角のあと二つにはオフイスビルが立っていた.
 団体バスに乗り込み,ツアー二日目は午前中に,ルーブル,エルミタージュと並び称されるミュージアムであり,台湾観光の最大の目玉である国立故宮博物院に行く.

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 正門からだとバスを下車したあとちょっと歩くことになるとかで,ぐるっと団体バス専用らしき入口に回り,バスを降りて玄関ロビーに入ると,中華民国建国の革命家にして「国父」である孫文の大きな像が鎮座していた.日本語でも「国父」というと普通は孫文を指す.日本には「国父」がいないから,それでいいのだ.w
 この日は団体記念写真を撮るためにカメラマンが同行していて,彼と少し話をしたのであるが,彼は孫文を「孫文先生」と敬愛の念を込めて呼んだ.
 
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 成田空港のクラブツーリズムのブースに集合した時,添乗員Sさんから渡されたビニールポーチにはインカムが入っていた.国立故宮博物院の玄関ロビーで,私たちはそのインカムを首から下げてスイッチをオンにした.帰国するまで,現地ガイドRさんの説明や行動指示はこのインカムで行われるのだ.

 二階にはミュージアムショップとカフェなどがあり,ドアを出ると広いテラスになっていて,正門とその向こうが遠く見渡せるようになっている.ここで同行カメラマンが団体写真を撮った.
 
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 今の日本では,かなりの高齢者は別として,私のように七十歳前後くらいの者は,自分が撮影した旅の記念写真は,スマホとかPCに画像で保存していると思われる.ツアーの団体写真は,撮影した画像をプリントし,見開きのアルバムにして販売されるのだが,私はそれをスキャナでデータにして保存し,アルバムは捨てている.二度手間である.w
 だからこれまで国内ツアーの団体写真をほとんど買ったことはないのであるが.今回は買った.
 私は,大昔の文化大革命の時から,大陸の共産党中国 (中国は共産党が支配しているが,現在はもう共産主義国ではない) は陰謀渦巻く権力闘争の国 (共産党というのはレーニンの昔からそういうものかも知れないが) という印象が強くて好きでない.しかし,孫文が建国した中華民国には親近感を持っている.これに加えて,戦争中の恩讐を超えて,東日本大震災で台湾の人々が示してくれた友情に深く感動したこともある.
 さらに!,花も恥じらう美人ガイドのRさんが,私たちが買い物をすると満面の笑みで「日台友好ありがとうございます」と言うのである.それを見たら,たかが団体写真でケチっていられるかと思うのであった.日台友好万歳.

 さて記念写真を撮影したあと,私たち一行は国立故宮博物院の展示を粛々と鑑賞して回った.
 国立故宮博物院の所蔵品のうちで,ここを訪れた観光客が必ず観るものといえば,至高の名品「翠玉白菜」 (↓) である.
 
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 この「翠玉白菜」は四年前に短期間,東京国立博物館で海外出品されたことがあるのだが,この時の展示を私は迂闊にも見逃してしまった.それ以来ずっと一度は観たいものだと思ってきたので,ようやく望みが叶ってとても嬉しかった.
 
 実は故宮博物院が所蔵している同様の彫刻は三つある.(参考記事;《台湾・故宮博物院所蔵の名物“白菜”、実は全部で3つ》 )
 翡翠の白菜は本当は四つあったのだが,一つは現在行方不明なんだと,現地ガイドRさんが説明してくれた.戦後のどさくさに紛れて誰かが私蔵してしまったのだろうか.
 私たち一行は「翠玉白菜」のすぐ近くに寄って観ているのだが,Rさんは大勢の観光客たちの邪魔にならぬよう離れたところから解説をするわけで,これがインカムの必要な理由なのであった.
 
 で,台北の国立故宮博物院に三つ現存 (「翠玉白菜」「翠玉小白菜」「翠玉白菜花挿」;花挿は花を生ける花器のこと) するとして,残りの二つはどこにあるかというと,北京の紫禁城 (画像) と天津博物館 (画像 の五つ目) だ.
 前記の《台湾・故宮博物院所蔵の名物“白菜”、実は全部で3つ》では,
 
また、中国大陸にも北京の故宮博物院に高さ16センチ、幅6センチの「玉鏤霜菘花挿」が残されているほか、天津博物館にも1点収蔵されている
 
としているが,これは間違い.
 天津博物館に所蔵されているのが「玉鏤霜菘花挿」だ.中国語で「白菜」は「菘菜」とも言うが,「玉鏤霜菘花挿」の姿と色は,いかにも霜枯れした白菜だ.
 一方,北京にあるものは,上に示した画像の展示ケースに書かれている通り,「翠玉白菜式花挿」だろう.
 この《台湾・故宮博物院所蔵の名物“白菜”、実は全部で3つ》を読んだ人のために,ここに誤りだと指摘しておく.
 
 ただし,北京のものは他の「翠玉白菜」と形が随分違う.私には北京のものは青梗菜 (チンゲンサイ) の形をしているように思われたので,ネットで資料を探した.すると,青梗菜は,白菜 (パクチョイ) の茎が緑色のものをそう呼ぶのだと書かれていた.しかし別の資料には逆に,白菜 (パクチョイ) は青梗菜 (チンゲンサイ) の茎が白いものをいうとあり,もう何が何だかわからぬ.
 
 それどころか,中国原産で明治時代初期に日本に渡来し,漬物や鍋物に多用される一般的な白菜も,日本には昭和五十年代に導入された中国野菜である白菜 (パクチョイ) も,青梗菜 (チンゲンサイ) も, みんな総称「白菜」の一種なんだそうである.総称の「白菜」は,中国語の読みを強引に片仮名で書くと「パァィツァィ」らしいが,よくわからぬ.だとすると「パクチョイ」はどこの言葉だ.
 
 ところで Wikipedia【翠玉白菜】には
 
 《翠玉白菜は国立故宮博物院の「最も有名な彫刻」と言われており、清明上河図、肉形石と合わせて国立故宮博物院の三大至宝とされている。(ただし翠玉白菜と肉形石は台北市の国立故宮博物院に、清明上河図は北京の故宮博物院にある。)
 
との記述が見えるが,これは間違いだろう.
 正しくは《国立故宮博物院の三大至宝》ではなく「故宮博物院の三大至宝」ではないか.というのは,中国語版 Wikipedia には,国立故宮博物院の「三宝」は,「翠玉白菜」「肉形石」と,清明上河図ではなく青銅器の「毛公鼎」の三つであるとして,以下のように書かれているからである.
 
 《常態展出的〈翠玉白菜〉、〈肉形石〉和〈毛公鼎〉3件展品,合稱「故宮三寶」
 
 国立故宮博物院は中華民国の博物館で,台北にある.その所蔵品が北京にあるわけがない.「国立」を取り去って「故宮博物院の三大至宝」とすれば,台北と北京の故宮博物院の文物を総称した意味にとれるから,とりあえず矛盾はなくなる.
 当然だが,国立故宮博物院が北京にある清明上河図を自らの「至宝」とするわけはないから,「翠玉白菜」「肉形石」「毛公鼎」の三つを宝物としているのである.
 穿った見方をすると,Wikipedia【翠玉白菜】のこの箇所を編集した執筆者は,台湾は中国の一部であるとする中国政府の主張を支持している政治的立場なのかも知れない.そうだとすると,この箇所は,「国立故宮博物院は中華人民共和国の施設である」という歴史的事実とは異なる政治的な主張を密かにしていることになる.しかし,その主張はいくら何でも強引だと指摘しておきたい.北京の故宮博物院と台北の国立故宮博物院は,本館と別館の立場にあるのではなく,別々の施設である.
 
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 その三宝の一つである「肉形石」は,「翠玉白菜」より知名度は劣るかも知れないが,これまたすばらしいものであった.

 さて,故宮博物院での見学自由時間はたっぷりあったので,カフェでツアーメンバーの女性たちにタピオカミルクティーを御馳走し,それからミュージアムショップに入ったら,メモ帳やらノートやら鉛筆やらの各種文房具,冷蔵庫のドアなど使うマグネット等々,物欲を刺激する数々の土産が置かれていたので,私はドカドカと音を立てて買いまくった.
 
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(マグネット)
 
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(木製の鉛筆箱.中に鉛筆が八本入っている)
 
 そうこうしているうちに腹が減ってきた.添乗員Sさんが,昼食は台北でも人気のレストランに案内してくれるという.
(初めての台湾 (六) へ続く)

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