« 児相に人材を | トップページ | 孤独と寝たきり »

2018年6月 8日 (金)

糖質制限 コンソメ対決

 私たち高齢者は,健康のために日常の食事から,できるだけ糖質を減らす必要がある.
 しかし糖質制限のために「根菜はだめ」「トマトは糖質が多いから食べてはいけない」「果物は避けること」などと言い始めると,これはもうフードファディズムになって,著しくQOLを低下させてしまう.
 また何冊も著書がある渡辺信幸という医師が,ネット上の記事《MEC食は糖質制限とどう違う? 医師に聞く「最初の3日間」の始め方》中で次のようなことを書いているのは見逃せない.
 
「糖質制限食は、糖尿病治療のためのものです。病気を治す目的があるため、糖質を制限し、引き算して食事を摂ります。一方、MEC食には制限という考え方がなく、足し算の食事法です。必要最低限の栄養素である、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンを摂ります。もしMECを食べてお腹いっぱいにならなかったら、さらに追加でMECを食べてもいいですし、その他の炭水化物や野菜、大豆製品なども、特に制限はなく食べてOKです。
(ブログ筆者註;MEC とは,肉 meet と卵 egg とチーズ cheeseの頭文字を続けた語で,その三つの食品を食事の中心にするとしている)
 
 上の引用箇所の中で渡辺医師は《その他の炭水化物や野菜、大豆製品なども、特に制限はなく食べてOKです》と書いている一方で,《もしMECを食べてお腹いっぱいにならなかったら、さらに追加でMECを食べてもいい》 (下線はブログ筆者による) とも書いている.
 
 この説に従えば,一日三食を肉と卵とチーズだけにしてもいいことになる.これでは,野菜嫌いの人は偏食にお墨付きをもらったようなもので,実際にそのような食生活を実行している人のブログがある.
 しかしこんな偏食は必ずや健康を害するであろう.とても医師の主張とは思えぬ.《野菜、大豆製品なども、食べてOKです》ではなく「野菜と大豆製品,牛乳,ヨーグルト,果物,きのこ類,海藻など色々な食品を積極的に食べましょう」でなくてはならないのである.
 極端な偏食を許してしまう点で MEC 食は,フードファディズムの一種であり,マクロビオティックや菜食主義と同じくオカルトでもある.
 現代の栄養学でわかっているのは,数多くの食材・食品を積極的に満遍なく摂ることで疾病や老化のリスクを分散できるということだけである.
 従って渡辺医師が《MEC食とは、肉(Meat)、卵(Eggs)、チーズ(Cheese)の3つの食品を中心にたっぷり食べ》ようと主張している時点で,MEC 食はもうリスクまみれなのである.
 
 さて,MEC 食は論外として,糖質制限食を実行する際には,糖質を排除することと,特定の食材・食品を排除することを混同して,QOLを低下させてしまわぬように気を付けなければいけない.
 そうするためには,例えばサラダの市販ドレッシング一つを選ぶ時にも,栄養成分表示を確認して,食品に関する知識を身に着ける必要がある.
 このような食品選択の例を一つ挙げる.
 ローソンのブランパン二個にサラダチキンを挟んでサンドイッチを作るとする.ブランパンは,それだけを口に入れると唾液を吸ってしまうので嚥下しにくく,高齢者は誤嚥を避けるためにも,ブランパンは何かを挟む必要がある.
 ちなみにサラダチキンは低糖質低カロリーのイメージがあり,普通は製品 100g あたりの糖質は 1g 強程度であるが,私は,スーパーで販売されているもので製品 100g あたりの糖質が 5g 近いものを発見したことがある.鶏胸肉をどう加工すればそのような高糖質になるのか理解に苦しんだが.
 
 それはさておき,作ったブランパンのサンドイッチに,中皿一杯の生野菜とスープを添えて昼食にする場合,簡単に済ませたい場合,私はスープを市販のカップコンソメにしている.
 そのカップコンソメだが,店頭に置かれていることが多いのは,クノールの「チキンコンソメ」だろう.
 その原材料と栄養成分は以下の通りである.
 
原材料名:
デキストリン,食塩,チキンエキス,砂糖,チキンオイル,野菜エキス調味料,食用加工油脂,酵母エキス,香辛料,酵母エキス発酵調味料,うきみ (クルトン,パセリ)/ 調味料 (アミノ酸等),膨脹剤
栄養成分:1杯分 (9.5g) の栄養成分表示
エネルギー;37kcal,たん白質;1.1g,脂質;1.1g,炭水化物;5.7g,食塩相当量;1.3g,カリウム;24.8mg,リン;13.7mg,ヨウ素;0.0μg
 
 これに比較すると最近はあまり店頭で見かけないのが,明治の「JALビーフコンソメ」だ.
 
原材料名:
食塩,デキストリン,砂糖,ビーフエキス調味料,ぶどう糖,牛脂,酵母エキスパウダー,オニオンパウダー,フライドオニオン,香辛料,たんぱく加水分解物,うきみ (クルトン) / 調味料 (アミノ酸等),カラメル色素,膨脹剤,香料
栄養成分:1杯分(5g)の栄養成分表示
エネルギー;14kcal,たんぱく質;0.4g,脂質;0.3g,炭水化物;2.3g,食塩相当量;2.9g
 
 上の原材料と栄養成分の表示は,両社のウェブサイトから転載したものであるが,この二つの製品が全く性格を異にすることを明確に示している.
 
 その前に註釈を書いておくと,デキストリンとはデンプンまたはグリコーゲンを加水分解して得られる炭水化物であるが,食品を粉末乾燥する際の賦形剤として用いられる.チキンエキスやビーフエキスだけでは耳かきで扱うような量にしかならないので,小袋に包装できるような量にするために,デキストリンで嵩 (かさ) をふやしているのである.
 
 その賦形剤デキストリンが,「チキンコンソメ」では原材料中で最も量が多いのだが,「JALビーフコンソメ」では二番目である.
 その結果,「チキンコンソメ」の炭水化物 (この場合,糖質と言い換えてもよい) が 5.7g になっているが,「JALビーフコンソメ」では半分以下の 2.3g である.その差 3.4g は,糖質量のみに着目するなら「JALビーフコンソメ」の場合はローソンのブランパン (糖質量 2g) をもう一つ食べてもよい勘定だ.
 私の目から見ると,クノールがなぜこんなにたくさんの賦形剤を使用しているのか,理解に苦しむ.もっと少なくても製造上の問題はないはずである.
 
 一方の「JALビーフコンソメ」は,デキストリンが少ないのは結構だが,食塩が原材料中で最大で,一杯分に約 3g も入っている.これは,酵母エキスパウダー,オニオンパウダー,フライドオニオンなど,その他の副原料使用量を減らして,その代わりに食塩を使用してコストを削減しているのだと思われるが,その結果どうなったかというと,「JALビーフコンソメ」一袋を規定の 160cc の湯にに溶かすと,ものすごく塩辛いコンソメスープになってしまう.血圧が上がりそうなくらい,しょっぱい.私はあまりJALに乗らないのでわからないのだが,JALの機内ではこんなに塩味の強いコンソメが提供されているのだろうか.
 
 で,結論的には,糖質制限的には「JALビーフコンソメ」の半分量をカップ一杯の湯に溶かして飲むのが私のお勧めだ.そうすれば塩味も許容範囲になるし,糖質量は約 1g なので,糖質制限も楽になるのである.

|

« 児相に人材を | トップページ | 孤独と寝たきり »

食品の話題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 糖質制限 コンソメ対決:

« 児相に人材を | トップページ | 孤独と寝たきり »