母子草 (三)
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この資料 (「げんごろう」さんの作品一覧) は,滋賀県のシニアサークルのサイトにある.そして紙芝居の作品「母子草」は民話だと書かれている.おそらく滋賀県の民話だろう.
ようやく手掛かりを見つけた私は,作者の「げんごろう」さんにコンタクトしようと思った.ところがこの〈「げんごろう」さんの作品一覧〉ファイルは,リンク元のファイルが削除されてしまったためにサイト内で孤立しているファイルであるらしい.リンク元の記事がなくなっているので,「げんごろう」さんがどのようなかたなのか,詳細が不明である.
ならば滋賀県で紙芝居活動をしているグループを探し出して連絡をとり,おそらくお仲間であろうから,「げんごろう」さんとの連絡方法を教えてもらい,「げんごろう」さんに滋賀県の民話と母子草の関係について御教示願おうかと考えた.しかしこれは面倒くさい (おい w) ので後回しにして,まずは出版物を探すことにした.
ようやく手掛かりを見つけた私は,作者の「げんごろう」さんにコンタクトしようと思った.ところがこの〈「げんごろう」さんの作品一覧〉ファイルは,リンク元のファイルが削除されてしまったためにサイト内で孤立しているファイルであるらしい.リンク元の記事がなくなっているので,「げんごろう」さんがどのようなかたなのか,詳細が不明である.
ならば滋賀県で紙芝居活動をしているグループを探し出して連絡をとり,おそらくお仲間であろうから,「げんごろう」さんとの連絡方法を教えてもらい,「げんごろう」さんに滋賀県の民話と母子草の関係について御教示願おうかと考えた.しかしこれは面倒くさい (おい w) ので後回しにして,まずは出版物を探すことにした.
テキスト蒐集の前にまずおさらいをする.「民話」とは何か.
Wikipedia【民話】の説明を引用する.
Wikipedia【民話】の説明を引用する.
《民話(みんわ、英: folktale, folk story)、民間説話(みんかんせつわ)は、民衆(柳田國男のいう「常民」)の生活のなかから生まれ、民衆によって口承(口伝えで伝承)されてきた説話のこと。昔話のほか、伝説、世間話その他を含める。口承文学、また民俗資料の一。民譚(みんだん)ともいう。研究する学問は民俗学。ルーツは神話にあると言われ、例えば『古事記』は語り部の稗田阿礼が口述したのを太安万侶が筆録した物である。神話の中でも特定の地名などに由来したものは伝説に含まれうる(高千穂の峯に神々が降りたという天孫降臨など)。アイヌのユーカラも内容は神話だが口承で伝えられてきた。
なお、研究の対象にするためには後に残すことの出来る記録という手段をとらざるを得ず純粋な口承のみで知られた昔話・伝説は少ない。また伝承する人が居なくなれば絶えるという制約や、伝統が変容する前に記録保存しようとする動機から文字が伝わった地域では文書化が試みられた(北欧神話など)。長い間筆録に限られていたが現代では技術の進歩によりテープレコーダーなどでの録音が可能になった。》
なお、研究の対象にするためには後に残すことの出来る記録という手段をとらざるを得ず純粋な口承のみで知られた昔話・伝説は少ない。また伝承する人が居なくなれば絶えるという制約や、伝統が変容する前に記録保存しようとする動機から文字が伝わった地域では文書化が試みられた(北欧神話など)。長い間筆録に限られていたが現代では技術の進歩によりテープレコーダーなどでの録音が可能になった。》
この記述における重要キーワードは「口承」と「記録」である.
大昔,日本中の無名の創作者たちが物語を作った.それは口伝えで各地に伝播し,また時を経ても語り伝えられた.
近代に民話が学問的研究対象となる以前は,民話は文字による固定が行われなかったから,空間的伝播と伝承がなされるあいだに変容するのが必然であった.
従ってある地方に伝わる一つの民話には多くのバージョンが存在したであろうが,文学者や民俗学者は民話の語り手から話を聞いて (採話) 記録する (再話) する際に,すべてのバージョンを網羅できるわけではなかろう.つまり採話者によって話に異同が生じるだろう.また一人の採話者が複数のバージョンを採話した場合にはそれらをまとめて再構成してしまうことが考えられる.再話者が民話を変容させてしまうのだ.
さらには,芥川龍之介やラフカディオ・ハーンがそうしたように積極的な創作の手を加えることもあるかも知れない.
だから私は,このような過程を経て複数の「母子草の物語」が存在しているかどうか知るために,テキストを手に入れられる限り入手しようと決めた.
大昔,日本中の無名の創作者たちが物語を作った.それは口伝えで各地に伝播し,また時を経ても語り伝えられた.
近代に民話が学問的研究対象となる以前は,民話は文字による固定が行われなかったから,空間的伝播と伝承がなされるあいだに変容するのが必然であった.
従ってある地方に伝わる一つの民話には多くのバージョンが存在したであろうが,文学者や民俗学者は民話の語り手から話を聞いて (採話) 記録する (再話) する際に,すべてのバージョンを網羅できるわけではなかろう.つまり採話者によって話に異同が生じるだろう.また一人の採話者が複数のバージョンを採話した場合にはそれらをまとめて再構成してしまうことが考えられる.再話者が民話を変容させてしまうのだ.
さらには,芥川龍之介やラフカディオ・ハーンがそうしたように積極的な創作の手を加えることもあるかも知れない.
だから私は,このような過程を経て複数の「母子草の物語」が存在しているかどうか知るために,テキストを手に入れられる限り入手しようと決めた.
(続く)
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コメント
こんにちわ。
お話の途中で失礼致します。
素晴らしい検索スキルですね。
もしお許しが出ればなのですが、その面倒な紙芝居グループとの連絡、わたしにさせていただいてもよろしいでしょうか。
万作さんが探し当てたネタですので、私がその線から手出しするのもどうかと思うのですが、少しでもお役に立てれば(私のためでもありますが、、)と思っております。
投稿: ユウタパパ | 2018年4月19日 (木) 13時44分
おお!ご助力ありがとうございます.そうして頂けると助かります.私の方はコツコツと時代をさかのぼって,1956年に出版された『幼年童話12カ月第2巻』が「母子草」を収録していることまで突き止め,これが最古ではないかというところまできました.その前年に出された関敬吾『日本昔話集成』(日本の昔話の根本資料らしいです)には入っていないことを今日確認しました.これから『幼年童話12カ月第2巻』の所蔵図書館を調査します.ところでユウタパパさんの知っている母子草の物語は,記憶ですか,それとも絵本とか何かですか.今まで集めた「母子草」の主人公の名前は,「こゆき」「小雪」「みよ」なんです.
投稿: 江分利万作 | 2018年4月19日 (木) 17時57分
こんばんは。
文章の一部が手元にあり、間違いなく主人公は「おちょう」という娘なのです。waiwaiさんのところで書いたのが手元にあるほぼ全部の内容の要約になります。
自分なりに探し回った結果、一番近づけたのがwaiwaiさんのブログで、持っている部分的なその文章とwaiwaiさんの記憶の母子草は完全に一致している確信を持っています。
私にとっては最大難度の検索で、本当にお手上げ状態だったんですが、万作さんの強力なパワーに勇気を貰っている次第です。
投稿: ユウタパパ | 2018年4月19日 (木) 22時13分