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2018年4月 8日 (日)

大丈夫か半藤一利 (三)

 前回の記事《大丈夫か半藤一利 (二)》の末尾を再掲する.
 
以上述べたように,日本が戦前戦中,外地つまり朝鮮と台湾から移入していた米はジャポニカ種だった.しかるに半藤一利は《外地米しかなかったからね。外地米というのは色が黒くて細長いんだよ》と対談で語った.外地米はインディカ種だったというのである.
 ここで,昨日紹介した海野洋氏 (公益財団法人農林水産長期金融協会専務理事)《「開戦・終戦の決断と食糧」について―軍・外地を含めた大日本帝国として―に戻る.
 この講演録に重要な資料が書かれている.
 
 この講演録の冒頭に,講演会主催者による「解題」が掲載されている.
 そこに,講師である海野洋氏の経歴 (略歴は;昭和五十年に農林省に入省,東北農政局長を最後に農水省を退官,その後は農業・食品産業技術総合研究機構副理事長,東北大学大学院法学研究科教授を歴任して現在は農林水産長期金融協会専務理事) と,本講演は海野氏の著書『食糧も大丈夫也―開戦・終戦の決断と食糧』(農林統計出版,2016年) をベースにしたものであると書かれている.
 私は,自分が生まれて人生の半分を生きた昭和という時代を理解してから死にたいと思っている.この講演録を読んで私は,『食糧も大丈夫也―開戦・終戦の決断と食糧』は必ずや昭和史に関する骨太の論考であるに違いないと確信し,高価な書籍であるが Amazon に出品されていた古書を注文した.
 余談だが,私が定年まで勤めた会社で営業畑の副社長だったNという男は,まことに教養のない人間で,こいつは本なんか読んだことがないんじゃないかと思われた.社員に対する訓示はゴルフのことばかりであった.
 この馬鹿者が引退するとき,これからは読書の日々を過ごしたい,半藤一利を読んで昭和史を研究したい,と語った.
 私はそれを聞いて耳を疑った.本を読まない人間はこれだから困る.半藤一利の書く昭和史は歴史書ではない,文学作品だぞ,と.
 歴史を題材にとった小説は文学の大切な一ジャンルである.ただし読者は,歴史小説は歴史書でもノンフィクションでもないことを承知して読む必要があるのだ.
 閑話休題.
 海野洋氏の講演録にある重要な資料とは次の表である.
 
○仏印・泰からの米輸入
   内地の米需給
              (単位:万石)
----------------------------------------
米穀年度      昭和14    昭和15
----------------------------------------
前年度持越高     849     406
前年産米実収高   6,567    6,896
朝鮮米        569      40
台湾米        396     278
内外地合計     8,402    7,620
輸入米         16     799
供給合計      8,417    8,419
----------------------------------------
輸移出高        77      94
消費高       7,934    7,889
うち 農家保有   2,946    3,023
   軍民需配当  5,021    4,786
需要合計      8,011    7,983
----------------------------------------
翌年度持越高     406     436
 
 ここで上表についていくつか註をつけておく.
1. 仏印はフランス領インドシナ (現在のベトナム・ラオス・カンボジアを合わせた領域)
2. 泰はタイ.
3. 米穀年度は前年11月1日から当年10月31日まで.
 
(続く)

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