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2017年9月28日 (木)

かわいそうな大磯の中学生 (三)

 昔の女性雑誌は誌名に「婦人」「主婦」がついた.
 昔の女性誌というのは,百科事典にあたってみると『主婦の友』『主婦と生活』『婦人倶楽部』『婦人画報』『婦女界』『婦人之友』などだ.
 余談だが,このうちの Wikipedia【主婦の友】に《創刊号の記事は、新渡戸稲造「夫の意気地なしを嘆く妻へ」》とある.東京女子大学初代学長にして,かつてはその名を知らぬ者はなかった程の思想家,新渡戸稲造が女性誌にそんなことを書いていたのか.しかもその文章の題から『ウチの夫は仕事ができない』を連想して,老人 σ(--;) はへなへなと腰が抜けた.
 それはそれとして,女性の有職率が高まり,専業主婦が大きく減った時代に,上記のような大正時代からの婦人雑誌は,若い女性セグメントのニーズに応えることができず,購読者数は大きく減少した.
 そして女性誌業界は,古めかしい婦人雑誌に代わって登場した『クロワッサン』と『オレンジページ』二誌に代表される生活情報誌と,その他のどうしようもない低レベル芸能情報誌に二極化した.
 ただし男性向けの雑誌も,同じ頃に『週刊文春』『週刊現代』『週刊ポスト』など出版社系雑誌の読者層と,『アサヒ芸能』読者層に二極分化はしているのだが,両読者層には画然たる違いがあり,決して重なっていない.普通の会社員であれば,仮に何かの理由があって『アサヒ芸能』を購入したとしても,開いて記事を読む時は人目を憚るようにし,誰にも見られないように暗がりで読まねばならない.この際,肘を左脇の下から離さぬ心構えでやや内角を狙い,えぐり込むように読むべし.
 つまり『週刊文春』などは正確な意味で週刊誌ジャーナリズムであるが,『アサヒ芸能』は別称「広〇〇〇団××組の機関誌」であり,普通の意味での情報誌ではないからである.通勤カバンの中に入れておくのは厳禁だ.(笑)
 ところが女性誌では,生活情報系の『クロワッサン』や『オレンジページ』と,その他の芸能人情報分野の女性週刊誌の読者層が重なっている.これは男性誌との大きな違いだ.
 だからというわけではないが,芸能人情報系女性誌にも,ごく稀にちゃんとした記事が掲載されることはある.
 最近の一例は《<まずい給食問題>「人間の食べ物じゃない」(生徒) VS「おいしい」(製造元責任者)》だ.(週刊女性2017年10月10日号掲載)
 この記事の中から一部を引用する.

同じ業者での異物の混入は相模原市内の中学校でも発見された。'16年度には28件、今年度に入って9件の異物混入が報告されている。同市教育委員会は、
「'16年度に生徒に提供した給食数は26万3千食です。そのうち異物が混入していたのが、28件。これが多いか少ないかという議論は難しい」
 これに対し工場の責任者は、
「誠に申し訳ないという気持ちです。しかし異物混入に関しては、他社さんもゼロではないはず。永遠の課題といったところですね。容器も教育委員会が用意したものですので、臭いと言われても……」
 と、どこか他人事というか対岸の火事というか。
 食品加工工場などの衛生管理のコンサルタントを行うジャパン・フードセイフティードクター株式会社の池亀公和代表取締役は、
「混入の件数も間違いなく多い。ちょっと考えられない。大手スーパーなどでは、異物などが入っている不良率は、100万食作って3個というぐらい厳しいんですよ。よほど管理がずさんなのではないでしょうか」
 とバッサリ切り捨てる。

 この箇所の《大手スーパーなどでは、異物などが入っている不良率は、100万食作って3個というぐらい厳しいんですよ》は,今回の事件で全国紙やテレビなどマスメディアではどこも言及しなかったが,事実である.これを書いた記者は,取材相手の選択と記事のポイントが的確で,朝日や読売のおざなりな記事の記者よりずっといい仕事をしている.

異物などが入っている不良率は、100万食作って3個というぐらい厳しい》は,業界用語で 3ppm というが,これは実は包装の不具合など一切合切の品質不良を合わせた数値で,セブンでもローソンでもイオンでもヨーカドーでも,実際上,異物混入は許されないといっていい.(とはいえこれはメーカーと量販店あるいはコンビニの力関係によるので,中堅どころのスーパーと中小食品会社の場合は 10ppm が管理目標だったりすることはある)

 従って,相模原市教育委員会が《給食数は26万3千食です。そのうち異物が混入していたのが、28件。これが多いか少ないかという議論は難しい》と言っているのは,彼らが如何に世間知らずかということを示している.これは難しい議論ではなく簡単なことなのだが,食品業界の人間にちょっと聞けばすぐに教えてもらえることを,何も調べずにマスコミの取材に答えて世間に恥をさらしているのである.こういう怠惰な精神の教育委員会で,相模原市の学校教育は大丈夫か.大磯の教育委員会といい勝負をしているぞ.

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