« 糖質制限食本・補遺(十二) | トップページ | かわいそうな大磯の中学生 (二) »

2017年9月20日 (水)

かわいそうな大磯の中学生 (一)

 先日来,神奈川県大磯町が町立中学校二校に昨年一月から導入した配達弁当方式 (業者委託の米飯給食) の給食に,異物混入の多発と多量の食べ残しが出ている問題が,マスコミやネットで物議を醸している.

 関西の料亭経営者らが政府農水省と結託して我が国の食文化の伝統を歪曲し,日本の料理の観光資源化を目論んでカッコ付の「和食」をユネスコ無形文化遺産に登録して以来,国民栄養に関する見識のない各地の教育委員会で米飯給食が推進されている.
 私は学校給食で米飯を主食とすることに強い反対意見を持っているのだが,このブログ記事では米飯学校給食の是非は取り合えず論じないとしても,もし学校で米飯給食を行うならば,児童生徒の健康栄養に責任を持って米飯給食の提供を実施できるよう学校に衛生的な給食設備を作り,食品衛生の専門家を配置して実施する必要があると考える.パンのほうが米飯より衛生管理が行き届き易いためアウトソーシングが容易で,かつ献立の栄養設計もパン食のほうが容易であり,米飯給食はその逆だからである.

 しかし,なにしろ教育委員会という組織には学校給食に関する知識も見識もないらしく,実際には各地の低レベル (非衛生的) な給食弁当業者 (要するに非衛生的ということは委託費が安いということ) に丸投げをしているのが実情であるようだ.
 報道では,大磯町立中学校に給食弁当を導入するにあたっては,業者選定のために,同町教育委員会による競争入札が行われたという.
 しかし大磯町が,学校給食の弁当を委託製造する業者を競争入札で選定したということ自体が,同町教育委員会の頭のレベルの低さを示していると指摘せねばならない.
 集団給食業者の給食受託費と提供される給食の衛生度は,トレードオフの関係にある.
 つまり当然ながら厳しい衛生管理はコストを押し上げ,そのコストを下げるには業者の高い技術力が必要になるのだが,給食業者の技術力の水準を評価するには,受託費の競争入札は不適当なのである.給食業者を選定するに際しては,当該業者の食品衛生技術力をまず第一に考慮しなければいけない.これは集団給食の基礎だ.
 また,大磯町中学校の給食に異物混入が多発し,大量の食べ残しが発生していることをネットで告発した生徒保護者らがつぶやいたところによれば,大磯町から中学校給食を受託した給食業者 (大磯町から遠く離れた綾瀬市の「エンゼルフーズ」) の決定は,大磯町長の独断によるとの黒い噂がある.
 この噂は大磯町の町政の問題であるから,ここでは横に置いて触れないことにするが,そもそも大磯町の中学校に学校給食が導入される当初から問題含みであったらしい.

 給食業者の問題はそれとして,報道によれば,大磯町の中学校給食は献立作成を教育委員会にいる栄養士が担当しているらしい.
 しかし栄養士というのは管理栄養士と異なり,修業年限二年乃至四年の栄養士養成施設を単位取得卒業すれば都道府県知事の免許を受けてなれるのである.管理栄養士が,管理栄養士修業年限四年の管理栄養士養成施設を卒業して管理栄養士国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けた者であるのに比較すると,成長期の子供たちの食事設計を担当させるにはいささか心許ない.
 案の定,その担当者は何か心得違いをしているようで,学校給食なのに病院給食のような減塩献立を作成しているのだそうだ.
 それがために生徒たちからは「まずい」と酷評され,これが大量の残飯が発生する理由の一つになっているとのことである.
 私がテレビで見たある日の中学校給食弁当は,テレビカメラがアップした映像は実に情けない貧相なものであった.
 おかず入れの容器に,いわし団子 (つみれ) が二つほど入ったカレー汁が少量 (カレースプーンに三杯くらいか) 入れてあり,これが「主菜」らしい.副菜として大豆の煮豆がやはり少し.あとは野菜のお浸しか和え物のように見えるものがこれまた少し.
 飯は弁当箱に白飯が詰め込んである.おかずは少ないのに米飯だけは量が多い.
 おかずも飯も,弁当業者が綾瀬市にあり,大磯まで配達するまでに冷たくなっているという.しかも減塩だ.
 私が報道画面を見て思ったのは,昭和三十年代の私の小学校時代の学校給食より貧相なこんな昼飯を,今の子供たちが喜んで食うわけがないということだった.
 しかも,大磯町の中学校の給食弁当は,まずくて栄養的に貧相なだけではない.異物が混入しているのである.中学生徒の保護者の声 (SNS) によると,これが大量の残飯が発生する理由の二つ目であるという.

 この問題を報じた今日の朝日新聞デジタルの記事《髪の毛・小バエ…異物混入84件 給食食べ残し問題 》に次のような箇所がある.(←数日でリンク切れになるが)

町は、味や冷たさのほか、異物混入による不信感も食べ残しの一因とみている。全員協議会では、議員から「異物の心配がある給食を今後も子どもたちに食べさせるのか」、「製造業者を代えるべきだ」との批判が相次いだ。野島健二教育長は「混入防止のため委託業者にすべての弁当を写真撮影させ、衛生管理を徹底させる」と  (町議会全員協議会において <←ブログ筆者註>) 述べた。

 作った全部の弁当の写真を撮影することが,どうして衛生管理の徹底につながるのか.
 ひょっとしたらこの教育長,馬鹿ではないか.こんな教育長だから生徒たちに異物入りのまずい弁当を食わせることになったのである.大磯町の中学校給食弁当を巡る事態はさらに混乱を深めるであろう.

|

« 糖質制限食本・補遺(十二) | トップページ | かわいそうな大磯の中学生 (二) »

新・雑事雑感」カテゴリの記事

食品の話題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/505081/65814834

この記事へのトラックバック一覧です: かわいそうな大磯の中学生 (一):

« 糖質制限食本・補遺(十二) | トップページ | かわいそうな大磯の中学生 (二) »