かわいそうな大磯の中学生 (二)
昨日のテレビ報道その他によれば,神奈川県大磯町の中学校の給食に異物混入が多発している問題で,大磯町の中崎久雄町長は,原因が特定されるまでは給食業者を変更しない考えを示した.
どういうことかというと,弁当給食の導入以来これまでに判明した異物混入事故は84件だが,弁当製造工場側が製造ラインでの混入を認めたのは15だけで,残りは責任を認めていないことが背景にある.
生徒の保護者がSNSで発信した情報によると,ある教育委員会関係者は,異物混入は生徒による「ヤラセ」というかマッチポンプであるとの認識を持っているという.弁当業者には責任がない,悪いのは,自分たちが弁当に異物を入れておきながら騒ぎ立てている生徒たちだというわけだ.
だが長年食品工場の衛生管理を指導してきた経験からして,弁当業者が責任を認めた15件の異物混入だけで,もう十分にこの業者は給食製造を受託する資格がないと私は断定する..
東京には会社を相手に弁当を製造配達する業者が大変に多く激しい競争をしているが,一年半で15件も異物混入事故を起こしたら,全顧客が取引をやめるに違いないし,場合によっては保健所に届けるであろう.保健所の指導を受けたとか,営業停止を命令されたなどの評判が立てば,それで弁当屋商売は終わりである.
ところが中崎久雄町長と教育委員会は,原因が特定されるまでは給食業者を変更しないという.
原因が特定されるまで給食業者を変更しないという理由は,上に述べたように弁当への異物混入は生徒たちがやったことだと,町長と教育委員長が考えているからに他ならない.
ここで異物混入の調査について簡単に説明しよう.
食品会社に消費者から異物混入のクレームがあった場合,その消費者から届けられた混入異物の調査を行う.
異物が金属や樹脂片などであれば,高度の分析設備と鑑定技術を有する機関があるので,そこに依頼して分析してもらう.
虫の場合は,食品工場の衛生管理と指導を受託する民間会社が鑑定技術を有しているので,日頃から指導を受けているそれらの会社に頼んで鑑定してもらう.虫の場合は生きているときに混入したのか死んでから混入したのかが大変重要なので,普通は鑑定技術を持っている会社に依頼する.
異物混入事故の件数のかなりの部分を占めるのは人の毛髪で,これの混入経路の調査はかなり難しい.なにしろ髪の毛一本ではできる分析あるいは調査がかなり限定されるからだ.
教育委員会が持っている混入異物の資料をネットで見た限りでは,今後,大磯町や弁当業者たち食品衛生の素人が寄ってたかって調べても,異物の混入経路が判明するのは期待薄である.
大磯町立中学校の弁当給食に混入した異物の混入原因を調査すると町長は言うが,これまでに工場側が認めた15件もの異物混入事故は,この業者には学校給食を受託する能力がないことを示している.
業者に給食受託の能力がない.これが異物の混入原因に他ならない.調べるまでもなく明らかなのである.
そして問題の解決方法は,この業者との契約を破棄することしかない.
一部でつぶやかれているように,当該業者と中崎久雄町長の間には何らかの関係があるのではないか.そうでもなければ,異物混入原因が判明するまで,生徒の健康よりも業者との取引を優先するということの説明が困難である.
町長が狙っているのは,時間稼ぎだろう.弁当業者との取引をそのまま継続して,騒ぎが沈静するのを待つつもりと思われる.
昨日の記事には書かなかったが,実は綾瀬市にある弁当工場から大磯の中学校までの配送は,チルドではなく19℃以下の常温配送であるという.
有体に言えば,弁当工場で異物混入を防止するのはたやすいことである.
どうすればいいかは,教科書に書かれているくらいだし,勉強して書かれていることを実践すれば,異物混入は容易に根絶できるのである.なぜかというと「異物」は目に見えるからだ.
ところが目に見えない「異物」があって,それはつまり食中毒菌などの病原微生物である.病原微生物の制御はなかなか難しい.
難しいが,食品衛生の基本に忠実であれば,できないことではない.現に例えばコンビニ弁当を作っている業者などはきちんとやっている.
しかるに件の業者は,異物混入を多発させる不潔な弁当屋のくせに,夏場に綾瀬から大磯まで弁当を常温配送するなどは信じがたい暴挙である.いい度胸をしているし,それを許している大磯町教育委員会には呆れて言う言葉もない.よくまあこの夏に中学校で集団食中毒が起きなかったものだと思う.幸運としか言いようがない.
大磯町立中学校生徒の保護者の皆さんは,子供たちが食べている給食弁当の菌の数 (一般生菌数という) を調べたほうがいい.調べてくれる機関は保健所が紹介してくれるだろう.
今日も明日も大磯の中学生たちは,愚かな町長のおかげで,食中毒の危険に毎日さらされているのだ.まことにかわいそうである.
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